世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ケニヤッタ大学の日本語――現在と将来

ケニヤッタ大学
小久保ひろし

総合大学

LL教室での授業の写真
LL教室での授業

 初めにケニヤッタ大学を簡単に紹介しましょう。キャンパスが7つあって、14の学部で約2万人の学生が学んでいる総合大学です。

 大学にはさまざまなコースがあります。4年制の学部コース(日本の大学とほとんど同じです)、大学院(修士課程、博士課程があります)、現職者コース、(主に現職の先生を対象に学期間の休みの時期に開かれます)、サティフィケートコースとディプロマコース(半年から2年の専門のコースです)、オープンラーニングコースとEラーニングコース(遠隔地にいたり忙しくてキャンパスに通えない人向けで、通信教育に似ています)。これらのコースは対象者も期間も場所(キャンパス)も学費もさまざまですが、そこで学んでいる学生はみなケニヤッタ大学の学生ということになります。

二つのコース

ケニヤッタ大学正門の写真
ケニヤッタ大学正門

 ケニヤッタ大学の日本語コースはフランス語、ドイツ語、ポルトガル語といっしょに人文社会学部外国語学科の中にあります。大学ではほかに英語、スワヒリ語、アラビア語、中国語などの言葉も教えられています。

 日本語にはビギナーズコースとサティフィケートコースの二つのコースがあります。ビギナーズコースはケニヤッタ大学のすべての学生に開かれていて、だれでも受講することができるみんなのコースです。サティフィケートコースは日本語だけを勉強する専門のコースです。日本語は人気があってビギナーズコースには100人以上の申し込みがありますが、一度に教室に入りきらないので、二つのクラスに分けています。それでも教室がいっぱいです。言葉の勉強ですから、本当は一クラスの人数は少ないほうがいいのですが、教室や先生の数を考えるとこれ以上クラスをふやすことはできません。サティフィケートコースのほうは有料ということもあって学生は数人しかいませんが。どちらも日本語能力試験4級が受験できるぐらいの力がつくことを目指しています。学生たちが困っているのは辞書がないことです。そこで、去年簡単な単語帳を作りました。今年は学生たちの勉強が少しはかどっているように見えます。

 日本語を勉強している学生たちのあいだに日本語クラブがあります。クラブの名前は「わたぼうし」。日本人学校の学習発表会を見学に行ったり、日本語弁論大会の応援に行ったりしています。弁論大会では応援だけでなく、日本の歌も歌いました。「おじいさんの古時計」です。コースの勉強が終わっても日本語に関心のある学生は日本語クラブを通じて日本語を続けています。

将来に向けて

 現在日本語のクラスは本部キャンパスでしか開かれていません。しかし、将来はほかのキャンパスでも日本語を始める計画が立てられています。ナイロビ市内には働きながら日本語を勉強したいという人も多いのですが、本部キャンパスは市内から離れていて通うことができません。ですから、こういう人たち向けにシティーセンターキャンパス(ナイロビ市中心部)やパークランズキャンパス(ナイロビ市内)でサティフィケートコースを開きたいのです。また、観光地のモンバサではホテルやガイドのための外国語が盛んで、モンバサキャンパスで観光日本語のコースを開くことも考えています。そのほか、サティフィケートコースの続きとしてディプロマコースも計画されています。これらの計画の実現までにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、将来の展望は開けています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 ケニヤッタ大学
Kenyatta University
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ケニヤッタ大学は、現在日本語クラスのある唯一の国立大学である。2004年から日本語の授業が開始され、現在は自由選択科目となっている。また、受講資格を満たせば、ケニヤッタ大学の学外からも聴講できる。専門家は日本語講座での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師の育成を行う。
所在地 P.O.Box 43844 00100 Nairobi Kenya
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
ケニヤッタ大学人文社会学部外国語学科
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   2004年
国際交流基金からの派遣開始年 2006年
コース種別
選択
現地教授スタッフ
常勤2名(うち邦人1名)、非常勤2名
学生の履修状況
履修者の内訳   選択で150名
学習の主な動機 日本語への関心、日本への憧れ、就職に有利
卒業後の主な進路 教員、その他
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力検定4級を受験可能な程度
日本への留学人数 なし

ページトップへ戻る