世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) シリアアラブ共和国 ダマスカス大学文学部日本語学科(2003)

ダマスカス大学
小部玲子

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教室
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講座室

 ダマスカス大学日本語学科は2002年9月に開講しました。カリキュラムを作成し、それが文学部、大学の会議にかけられた後、 当国の高等教育省に提出されて、2002年8月に認可が下り、学科が設立されました。初年度2002年度の学生数は1年生25人一クラスだけです。25人の学生と先生一人、助手一人の小ぢんまりした所帯で週20時間の充実した日本語学習をしています。
私以外に教員がいないということ、また学部から細かい指示が何もないということで、学科運営を自分の思うとおりにできるのはありがたいのですが、すべての仕事、すべての責任が自分ひとりにかかってくると言うのは、少々怖ろしくもあり、肩の荷が重いと感じることもあります。

 シリアには今まで日本語学科を持つ大学がありませんでしたから、この国で最初のそして唯一の日本語学科です。そのせいか、学科の業務だけではなく、日本・日本語に関するいろいろな質問やリクエストが外部から来ます。また、常勤・非常勤講師がいないため、助手と二人で授業や事務関係のことはもちろん、上記の質問やリクエストに対応しなければなりません。特に多いのが日本語からアラビア語・または英語への翻訳の依頼ですが、工業製品の機械本体の解説書や化学製品のパンフレットなどがほとんどで、私自身、その日本語を読んでも理解できないことが多く、理工系で日本に留学したことのある方に翻訳をお願いしています。

 シリアの日本語教師は国際交流基金からの派遣の私のほかに、アレッポという北部の町の大学にJICAの青年協力隊員が2名、専門は違いますがボランティアで日本語を教えている日本人の方が2名一般講座で教えているだけで、シリア人の教師は一人もいません。ですから、それぞれの授業以外の活動は弁論大会が精一杯といった状態で、しかも、本来は現地の先生の支援という立場であるはずですが、日本人だけで運営しているという状況です。

 シリアへの派遣は初めてで、学生の気質や学習方法の傾向などの情報が皆無、また、新設学科で教材の蓄積などがありませんでしたから、この1年は本当に手探り状態で、助手の身分・雇用の問題も解決に向けて努力しつつ何とか乗り切ったというのが正直なところです。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
シリアで最初の、また唯一の高等日本語教育機関。昨年までは本大学に日本語の一般講座にJICAの青年協力隊員が2名配属されており、ダマスカスの日本語教育・その他に関して協力体制をとっていたが、一般講座が無期限休止となり、ダマスカスには日本語教員が1名となったしまった。専門家は授業、学科事務等の運営全般を担当するほか、外部から持ち込まれる日本・日本語関係の要求・質問に一人で対応することが要求される。手に余るものは大使館や理工系で日本に留学経験のある人にお願いしているが、だれでも入ってこられる、気軽に行けるという大学の性質上、「日本の窓口」の役割はこれからも続くものと思われる。
ロ.派遣先機関名称 ダマスカス大学
Damascus University
ハ.所在地 Mezzeh, Damascu
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
Department of Japanese Language, Faculty of Literature
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2002年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 2002年
(ロ)コース種別
日本語専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤0名、非常勤0名
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年生 25名
(2) 学習の主な動機 日本への憧れ、日本語教師・翻訳者・通訳希望
(3) 卒業後の主な進路 昨年開講したので卒業生なし
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
不明
(5) 日本への留学人数 0名

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