世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 第2期生から4期生が在学する ダマスカス大学日本語学科 第2期生が、いよいよ卒業 ―最終課題、卒業調査レポート―

ダマスカス大学人文学部日本語学科
渡辺由美、斉藤誠

 ダマスカス大学日本語学科(以下日本語学科)は02年秋、シリア初の日本語教育専攻学科として設立されました。06年8月に第1期生が卒業して以来、今年の夏は、いよいよ第2期生が卒業します。

卒業調査レポート口頭発表風景の写真
卒業調査レポート口頭発表風景

 卒業生は、08年度後期最後の2ヶ月間、他の授業と併せ、最終課題である「卒業調査レポート」に全力投球してきました。

 日本語学科では中級教科書への移行段階から週6時間程、学習したことをレポートにまとめ発表するプロジェクト型の授業を取り入れています。

 卒業生もこれまで2 年間、読んだ情報から新たに資料を調べたり、さらにアンケート調査を行ない、その結果を原稿にまとめ発表することを実施してきました。今回の「卒業調査レポート」では、これまで学んだ「日本の文化・歴史・文学・行事・社会・人間関係・食生活」等から、各自特に興味あるテーマを選び、改めて独自の資料を探し、日本語でレポートを作成しました。

熱心に仲間の発表を聞く4年生の写真
熱心に仲間の発表を聞く4年生

 今年の卒業生が選んだテーマは「日本人の謝り方」「日本の神話」「いじめ問題」や「日本のアニメ」「日本人とストレス」など様々でした。普段は面倒くさがりでも、卒業レポート完成のために3 人以上の日本人にインタビューし、それを全て録音して書き起こしたTさん、夕方6時過ぎまで教師と議論(口論?)し、それでも自分の考えを貫き通したRさん、休日や授業後にも資料探しをしたいと教師に申し出た熱心なNさん、Fさん、Mさん。手のケガ、妻の出産といった事件・ハプニングも乗り越え、16人のレポートが完成して本当に嬉しいです。

 完成から2週間後の最終授業では、それぞれの調査内容を5分程度に要約して発表する「口頭発表と質疑」もおこなわれ、4時間近くに渡って16人の発表と大変活発な質疑がなされました。

 今後、「日本語学科で、卒業までに何を勉強したのか」と聞かれたら、「私はこれについては日本語で詳しく調べた。人前で、自信をもって日本語で発表することができる」と言えるようになってほしい、今後の学生にも卒業する前に、そのようなテーマを探すために、普段から1つ1つの課題に取り組んでほしいと望んでいます。

 ダマスカス大学日本語学科の現在の課題は、まず将来的に学科の主力となってくれるシリア人教師を育成すること。また、シリア国内だけでなく国外にも卒業後の活躍のチャンスを開拓していくことだと考えます。今後も様々な分野で活躍できるような卒業生を輩出し、シリア人スタッフが中心となって学科運営ができる日が、できるだけ早く実現するよう今後も協力したいと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
02年9月、シリア最大の総合国立大学に国内初の日本語専攻学科として開設された。将来的にシリアの日本語教育を担う人材を育てることが期待されている。日本語教育専門家、ジュニア専門家は、授業担当、カリキュラム作成、管理の他、学科運営について学科長に協力し、サポートしている。
ロ.派遣先機関名称 ダマスカス大学
Damascus University
ハ.所在地 Autostrade Al-Mezzeh, Damascus, Syrian Arab Republic
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名 ジュニア専門家:1名 指導助手:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
人文学部 日本語学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2002年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2002年
(ロ)コース種別
日本語主専攻学科
(ハ)現地教授スタッフ
常勤4名(うち邦人4名)、非常勤1名(うち邦人0名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   2年生:30名、3年生:16名、4年生:18名
(2) 学習の主な動機 日系企業への就職希望、日本語教師希望、日本文化・経済等への興味
(3) 卒業後の主な進路 国内一般企業、日系企業、大使館、中東湾岸諸国企業、日本語教育
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級を受験可能なレベル
(5) 日本への留学人数 1~2名程度

ページトップへ戻る