世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 土日基金文化センター便り

土日基金文化センター
杉山純子

1.コース

トルコ人はよく「今日はコースがある」という言い方をします。「コース」というのは、日本で言えば、「塾」あるいは「各種講座」にあたるものです。アンカラには、子どものころからこのような塾通いに慣れていて、大人になってもコースに通う人が多いようです。外国語コースの中で一番人気が高いのはやはり英語講座です。

2.一般講座の日本語学習者

土日基金ビルの写真
土日基金ビル

数ある外国語コースの中で日本語コースを選んだのは「日本に興味がある」「日本人の友達がいる」「新しい外国語を学んでみたい」「将来何かの役に立つかもしれない」という理由によるもので、漠然とした日本への興味・憧れがあるようです。中には、思い込みの強い日本傾斜型受講生もいます。日本人も知らないようなアニメのコレクションを持っている人、日本漫画のスタイルでイラストを描いている人、日本のB級若者文化の情報を集めている人、武士道を極めようと宮本武蔵の「五輪書」を読んでいる人、前世は日本人だったと主張する人、などです。ところで、土日基金受講生は全員「ラストサムライ」を見ました。全員というのはかなりすごいことだと思います。

3.土日基金文化センターの日本語講座

3.1.日本語講座の授業

カードゲームをする入門クラスの写真
カードゲームをする入門クラス

日本語講座の授業は週末の土曜日・日曜日に行われます。受講生は、社会人、大学生、高校生です。2004年春学期(4月-6月)には、入門Aクラス(2クラス)、初級前半Bクラス、初級前半Cクラス、初級後半Eクラス、中級特別クラス、ワープロクラス(2クラス)が開講されました。授業の基本方針は前年度と同じです。
1)1つのクラスをトルコ人教師と日本人教師の2名が担当する。
2)受講生が「日本語を話せるようになる」ことを第一目標にする。
3)教科書中心型の授業にせず、様々な副教材、視聴覚教材を使い、インプットの方法と範囲を拡大する。
4)受講生が楽しみながら学習できるように多様な教室活動を取り入れ、アウトプットの機会を増やす。

3.2.日本語講座特別行事

受講生の希望もあり、今年から、2ヶ月に1回というペースで「アニメ鑑賞会」を行うことになり、2月に『となりのトトロ』、4月に『千と千尋の神隠し』をみんなで見ました。また、4月末には日本語講座受講生の作文・イラストからなるジャーナル『オラン通信第1号』を発行しました。第1号にかかわり、休日返上でコンピューターと格闘してくれた編集委員は初級半ばから中級レベルまでの受講生16名です。『オラン通信第1号』は以下のサイトでも見ることができますので、のぞいてみてください。

http://www.geocities.jp/nanibah2002/index1.htm

3.3.今後の課題

まず必要とされるのは、トルコ人教師の日本語力レベルアップです。1名の専任教師は日本で国際交流基金の長期教師研修も受け、日本語能力試験2級にも好成績で合格しました。今年は1級合格をめざしています。もう1名の専任教師は日本語能力試験2級に合格することが第一目標です。次に、教師の自己研鑽意識も大切です。日々の授業準備や授業の中での問題点についての話し合い、および、昨年度の「第2回トルコ日本語教師会大会」への参加をきっかけとして、2名の専任教師の自己研鑽意識が高まり、今年の「第3回トルコ日本語教師会大会」では2名とも発表をしようと、がんばっています。

4.専門家の業務

4.1.土日基金での業務

土日基金日本語講座での主な業務は、1)日本語講座カリキュラム・シラバス作成、2)授業の準備・授業の担当、3)教材作成、4)教師ミーティングの実施、5)現地教師の日本語力増強のための指導、6)現地教師の研究発表に向けての指導・協力、7)日本語能力試験勉強会の実施、8)日本語講座特別イベントの企画と実施、9)日本語講座ジャーナルの編集と編集委員(受講生)への指導・編集会議の実施、10)日本語・日本関連相談者への対応、などです。

4.2.外部での日本語関連業務

土日基金日本語講座以外の仕事としては、1)日本語能力試験の準備・実施、2)アンカラ日本語弁論大会およびイスタンブール日本語弁論大会の審査員、3)日本語教師会への協力・参加、4)日本語能力試験2級および1級対策勉強会、5)他の日本語教育機関との情報交換、6)他機関訪問、7)日本語・日本研究分野での研究者へのアドバイス、などがあります。

4.3.第17回日本語教育連絡会議

この国際会議は日本語教育関連の教育実践者・研究者の研究発表会であり、毎年ヨーロッパの都市で行われてきましたが、今年は土日基金文化センターで開催することになりました。日程は8月18日・19日の2日間です。会議参加者に「トルコに来てよかった」と言われるように、心をこめた歓迎をするつもりです。

派遣先機関の情報
イ. 派遣先機関の位置付け
及び業務内容
土日基金文化センターは日土友好関係を推進する場として1998年に設立された。当該日本語講座は一般向け講座として2000年10月に開講された。開講当時は受講生が20名ほどだったが、現在では中学生から社会人まで70名以上の受講生が日本語を学んでいる。ほとんどの受講生が日本語会話能力の向上を望んでおり、到達目標は「日本語でコミュニケーションができること」である。専門家は日本語講座のコースデザイン、教材作成、現地教師の育成、授業担当、他機関との連絡、などの業務を担当している。
ロ.派遣先機関名称 土日基金文化センター
The Turkish-Japanese Foundation Culture Center
ハ.所在地 Ferit Recai Ertugrul Cad. No:2 Oran, Ankara, Turkey
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
土日基金文化センター日本語講座
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2000年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 2000年
(ロ)コース種別
一般講座
(ハ)現地教授スタッフ
常勤2名(うち邦人0名)、非常勤2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   70名
(2) 学習の主な動機 趣味、日本への興味
(3) 卒業後の主な進路 不明(卒業制度なし、コース修了のみ)
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日常会話ができる。
(5) 日本への留学人数 2名

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