世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) トルコの日本語教育アドバイザー

土日基金文化センター
村木 佳子

 土日基金文化センター(以下、TJV)には、日本語専門家(以下、専門家)が1名派遣されています。TJVは、トルコにおける日本・日本文化の普及のために作られたセンターです。ここでの専門家の業務は、TJVで行われている一般を対象とした日本語講座の授業担当、国内の日本語教育支援・ネットワークづくりなどが主なものです。それでは、具体的に幾つかの業務をご紹介しましょう。

TJV日本語講座

TJV日本語講座の教師と受講生たちの写真
TJV日本語講座の教師と受講生たち

 TJV日本語講座は今年で12周年を迎えました。現在、2人のトルコ人教師と3人の日本人教師(専門家も含む)によって一般を対象とした日本語教育を行なっています。受講生は中学生、高校生、大学生といったアンカラ市内に住む学生のほか、エンジニアや医者、軍人などといった社会人、合わせて80人程の受講生が講座に通っています。一つのクラスをトルコ人と日本人が一緒に担当するというのが当講座の特長で、週1回4時間の授業のうち2時間をトルコ人教師が、2時間を日本人教師が担当しています。主に初級コースが中心の講座ではありますが、初級終了後に受講生が希望をすれば中級コースを学ぶことも可能で、現在は「中級4」(1コースは週4時間×11週間で、これは中級の4コース目)というクラスが開講されており、このクラスは4時間すべてを日本人教師が担当しています。TJV日本語講座ではこれまでも時々中級クラスが開講されてきていましたが、継続して4コース目を開講したのは今年が初めてで、専門家は一般講座としての中級コースのコースシラバス作りや教材、クラス運営へのアドバイスを行ないました。

トルコ日本語教師会大会

これまでのトルコ日本語教師会大会の報告書の写真
これまでのトルコ日本語教師会大会の報告書

 年に1回国内の日本語教育機関の教員が集まり、研究発表、実践報告、機関紹介、情報交換などを行う場として「トルコ日本語教師会大会」が開催されています。会場は国内の教育機関が持ち回りで行なっており、今年は2012年9月に第11回大会がイズミルで開催されます。専門家は、大会が円滑に行われるよう大会主催機関等への協力・支援を行なっています。

アンカラ日本語弁論大会

 アンカラでは、毎年秋にアンカラ日本語弁論大会が開催されています。2011年で第20回を数えるこの大会は、2010年からUSTREAMを利用してインターネット生中継を行なっています。専門家は、この大会の審査員を担当するほか、インターネット生中継のアレンジも行っています。これまで、大会の様子は会場であるTJVのホールに来なければ見られなかったのですが、この中継のお陰でインターネットさえあれば自宅でも会場の様子を見ることができ、地方から、そして世界中から出場者を応援することができるようになりました。さらに、中継の内容は、大会終了後もネット上で見ることができます。これは弁士の大変大きなモティベーションに繋がっているようです。今年は第21回大会を11月11日(日)に開催予定で、こちらからご覧いただけます。世界中からの暖かい応援をお待ちしています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Turkish-Japanese Foundation Culture Center
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
トルコに於ける日本文化紹介、文化交流の中心となるべく設立された機関。センター内図書館には1万冊以上の蔵書と視聴覚ビデオが多数揃っている。大きなホールもあり、アンカラ弁論大会や各種文化事業が行われている。専門家は、内部業務として一般市民向け日本語講座の授業担当、コース設定の改善、現地講師のための勉強会の他、センターで開催される文化行事への参加協力を行う。外部業務としては、トルコ国内の日本語教育機関、日本語教育関係者、日本語学習者に対する支援・協力、教師会サポート、日本語能力試験や弁論大会の実施協力、その他交流基金プログラムに関する案内等を行い、トルコ全体の日本語教育の発展に努めている。
所在地 Ferit Recai Ertugrul, Cad. No.2 Oran, 06450 Ankara
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
土日基金文化センター 日本語講座
日本語講座の概要
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