世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 複合人材の育成を目指して

日中友好大連人材育成センター
立花秀正

発展を続ける大連

中国遼寧省大連市は中国東北部の沿岸部に位置する人口562万の都市であり、中国東北部有数の国際商業都市として発展してきています。1984年には中国で最初の経済技術開発区の一つが設立される等、中国東北地方においていち早く改革・開放を進めてきた都市であり、工業・海運業を中心に発展してきているとともに、大連市は中国の科学技術部(部は日本の省に相当)から、全国唯一の「ソフトウェア産業国際化モデル都市」の指定を受け、さらに国家発展改革委員会からは「ソフトウェア産業基地」(全国12ヶ所)及び全国唯一の「国家ソフトウェア人材育成基地」の指定を受ける等、IT産業の拠点として発展することが期待されています。

ますます必要とされるビジネス日本語ができる有能な人材

センター外観の写真
センター外観

 在、大連には2,500社を越える日系企業が進出しています。これに伴い日本語及び日本のビジネス文化を理解した現地スタッフのニーズが激増しましたが、供給が需要に追いつくことができず、中国政府より大連市と遼寧省の経済発展に寄与する日本語能力と専門技術を兼ね備えたビジネス人材の育成を目的とする日中友好大連人材育成センター設立に係る要請が出され、日本の無償資金協力により、当センターの建設が実現しました。

また、大連市はIT分野の人材育成及び日本からのソフトウェア等の業務拡大を見据えたハード及びソフトのインフラを整備しており、今後日本語及び日本的ビジネスを理解した複合人材の育成にも力を注いでいます。そのため、当センターは大学や民間の学校で行われている基礎日本語ではなく、日系企業の現地化を可能とする企業の中堅社員以上の人材育成及びIT人材育成を目指しています。

期待されるセンターの役割

授業風景の写真
授業風景

これを実現するためにはセンター建設だけでは不十分との判断により、今回国際協力機構(JICA)に対し技術協力の要請があり、3年をめどに自立発展を目指すべく専門家の派遣を行うことになりました。

日本から派遣されているのはセンターの運営及び日中間の業務調整担当のJICA専門家、経営管理、生産管理、及びIT分野を担当するコンサルタントの専門家チームそれにビジネス日本語担当の私です。

センターは2006年4月15日にオープンしました。所長をはじめとする中国人スタッフと協力しながら、「複合人材の育成」を目指し、その結果として「大連での日系企業の投資拡大&事業成功」にも資するために当センターが有効に活用されるべく、専門家一同努力しています。

日本語分野で言うと、一般に中国の日本語学習者は文法の知識は豊富でも「聞きとり」と「話す」練習が少ないように見受けられます。そこで、当センターでは「聴解」と「会話」の訓練にも力を注ぎ、様々なビジネス場面で応用できる実力が身につくような指導を心がけています。

派遣先機関の情報
イ.遣先機関の位置付け
及び業務内容
大連で必要とされる日本語人材の育成、日系企業の現地化に対応する「複合人材の育成」を目指している。2006年4月にオープンにしたばかりであり、現在スタッフ全員で基礎固めを行っている。日本語コースの他に経営管理、生産管理、IT分野の3コースがある。他の3コースと緊密に連携をとりながら、研修生の日本語の訓練を行い、ビジネス日本語及び日本のビジネス文化に精通した人材を育成する。研修生の弱点とされている「聞きとり能力」と「会話能力」のアップを念頭に置いて指導している。
ロ.派遣先機関名称 日中友好大連人材育成センター
 
ハ.所在地 中国・大連市沙河口区中長街26号
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
 
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2006年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2006年
(ロ)コース種別
(ハ)現地教授スタッフ
2名
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   企業の従業員、学生
(2) 学習の主な動機 仕事上必要、日系企業への就職希望
(3) 卒業後の主な進路 日系企業への就職
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験1~3級程度
(5) 日本への留学人数  

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