世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 日本語教育の拡大と充実のために

国際交流基金北京日本文化センター
小西広明

国際交流基金北京日本文化センターでは、中国の日本語教育界の発展に寄与すべくさまざまな取り組みを行っていますが、ここでは日本語教育の拡大と充実のための活動をいくつかご紹介します。

日本語教育の拡大

日本語教育が盛んな青海民族学院の写真
日本語教育が盛んな青海民族学院

日本語教育の拡大というのは、ここ中国では2000年以降とみに激しくなった傾向で、日本語学科を設置する学習機関が大幅に増加しています。特に大学や民間学習機関においての増加が著しいようです。2003年度国際交流基金の機関調査では高等教育機関数475機関、学士号授与機関数195機関となっていますが、ここ数年でなお増加の傾向にあるようです。

こうした量的増加に細かく対応していくことも大切な仕事ですが、わたしたちが特に力を入れているのは、地域的な拡大の支援という点です。

ご存知のように中国は日本の25倍以上の広大な国土を持っていますので、どの省でも一律に日本語教育が盛んだというわけではありません。一般に東北3省と沿海諸省では日本語教育が盛んだと言われています。

本年度わたしたちは青海省、甘粛省、広西チワン族自治区など、これまであまり盛んとは言えなかった地域に対して、文化祭や弁論大会の支援、出張講演など積極的に支援して行きたいと考えています。

日本語教育の充実

第1回全国大学日本語教師研修会の写真
第1回全国大学日本語教師研修会

わたしたちは2006年7月に「第1回全国大学日本語教師研修会」を主催しました。これは今まで研修機会のなかった大学の若手教員に質の高い研修会を提供しようというもので、中国内外の著名な先生方を講師としてお招きし、「日本語力の向上」「教授法の研究と実践」「日本文化」などの内容を1週間にわたって研修しました。全国から100名を超える先生方が参加され、大変好評を博しました。

2007年7月には南京において第2回目の研修会を実施します。多くの先生方の要望にこたえ、本年度は150名の方々を受講生としてお招きする予定です。こうした研修を受けられた先生方がまた全国の大学に帰り、実践と研究を続けていくことで大学のレベル、授業のレベルが一層高まることをわたしたちは願っています。

日本語教師へのよりきめ細かなサポートをめざして

国際交流基金日本文化センター
吉田 佳未

初代ジュニア専門家として北京日本文化センターに赴任して、まもなく2年になります。現在わたしが担当している業務の中から教師支援、情報発信の仕事についていくつかご紹介します。

教師研修会

「教師研修会」の写真
「教師研修会」参加者も講師もみんな真剣そのものです

2007年3月、広東省の中山市において、教育部課程教材研究所との共催で「全国中等日本語教師研修会」を開催しました。この研修会では、高校で日本語を教えている先生たちといっしょに高考(大学入試)の日本語問題とその教授法について検討しました。

現在、高校での日本語学習者のほとんどが第一外国語として日本語を選択、つまり、日本語で大学を受験します。しかし、高考(大学入試)は英語で受験する学生がほとんどなので、町の書店であふれんばかりに売られている受験者向けのマニュアル本、まとめの問題集、模擬問題集は英語学習者向けのものばかりで、学習者数が少ない日本語のものはまず見かけません。

そこで、今回の研修会では各学校でどのように受験生を教えているか、受験にも対応できる応用力を伸ばす教授法について、参加者の先生たちと講師で知恵を出し合いました。そして、参加教師たちは、「こういうアイデアも使ってみよう!」、「こういうテーマでも作文を書かせてみよう!」と、それぞれが検討会で学んだことを課題として持ち帰りました。

日本語を楽しく勉強してほしいという気持ち、また、高校生にとっては日本語が受験科目のひとつであるという厳しい現実もあわせて考えながら、今後も現場の教師への支援を続けていくつもりです。

北京日本文化センターでは、事務所ホームページとは独立した日本語教師対象のホームページ「215教師ホームページ」を運営しています。また、中国で日本語を教える教師のためのメーリングリスト「215教師メーリングリスト」もあわせて運営しており、こちらには現在約700名の方が参加しています。

「215教師」では国際交流基金が主催・共催した教師研修会の報告や、中国各地で開催された日本語学習者によるスピーチ、作文、朗読、演劇、アフレコなどさまざまなコンテストの情報を発信しています。また、「215教師メーリングリスト」では、国際交流基金からの情報提供以外に、参加者からの情報提供、参加者同士の交流も盛んに行われています。

2人しかいない北京日本文化センターの専門家が中国全土を出張して回るということはなかなか難しいことですが、これからも、このホームページとメーリングリストを通してできるかぎり多くの先生方に情報提供、そして先生方と交流していきたいと思っています。

日本語教材・教授法に関するアドバイザー業務

新図書館の教材コーナーの写真
新図書館の教材コーナー

2007年5月北京日本文化センターは北京市内国貿地区の新しいオフィスへ移転し、それにともなって図書館もリニューアルオープンしました。北京日本文化センター図書館の蔵書数は約1万5千冊。その中でも特に日本語教材は日本出版・中国出版を取り揃えた一大コレクションとなっています。

「いま使っているテキストが終わったあとに使えそうなテキストにはどんなものがあるの?」、「第二外国語の授業で使えそうなテキストありますか?」来館された日本語の先生たちからよせられるこういった質問にお答えするのも事務所付専門家の仕事です。もちろん、図書館の教材に関する質問だけでなく、「このテキストの効果的な使い方は?」といった教授法に関するご相談もお待ちしています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
1999年度より日本語教育専門家を1名,2005年度よりジュニア専門家を1名派遣している。専門家・ジュニア専門家は各種教育機関・団体と情報交換をおこないながら現地の日本語教育事情の把握に務め、また、中国各地で教師研修会・セミナー・ワークショップ等を実施し、カリキュラム・教材・教授法など各層の日本語教師に対する助言・支援などの活動を行っている。さらには、他地域派遣の専門家・ジュニア専門家とも協力しながら、教師会など各地の教師の自主研修の奨励、教師間のネットワークの形成促進にも力を注いでいる。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Beijing.
ハ.所在地 #301, 3F, Capital Tower Beijing, No6 Jia Jianguomenwai Ave., Beijing 100022
CHINA
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名 ジュニア専門家:1名

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