世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中国遼寧省から(2007)

遼寧省基礎教育教研培訓中心
鳴海佳恵

中国では、小学生から社会人まで、さまざまな年代の日本語学習者が存在します。その中でも、特に東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)は中等教育機関における日本語学習者が多いことで知られています。私の担当業務は、遼寧省内の小学校、中学校、高校の先生方がよりよい授業を行うためのサポートをすることです。具体的には、研修会の開催、巡回指導、高校・大学入試の模擬テスト作成、質問への回答などです。

広大な国土を持つ中国では、地域によって色々な違いがあります。例えば、遼寧省は面積が14万5900平方メートルで、漢族の他に満族、朝鮮族、モンゴル族などの少数民族も多く居住しています。中国語(漢語)を母語とする学習者と、朝鮮語やモンゴル語を母語とする学習者では、得意なところや不得意なところは当然違ってきます。また、小学校、中学校、高校の先生方はそれぞれ学歴も日本語のレベルも異なり、授業で必要なスキルも違います。このように、様々な違いを持つ先生方に対し、必要なサポートをすることが期待されています。

研修会・コンテスト

国際交流基金のほか、国際協力機構、国際文化フォーラム、その他の諸機関から様々な支援をいただき、2006年度は下記のような研修会を開催しました。

遼寧省初級高級中学校進学検討会 4月1日~3日
阜新市県小学校・中学校教師研修会(阜新市教師進修学校主催) 7月15日~19日
第3回全国小学校日本語教師研修会(国際文化フォーラム主催) 8月12日~19日
2006大連市中学校日本語教師研修会(国際文化フォーラム主催) 8月20日~24日
遼寧省朝鮮族初級・高級中学校教師研修会 10月27日~30日
遼寧省中学校・高校日本語教師研修会(模擬授業コンテスト) 11月25日~29日
第3回阜新県小学校日本語コンテスト 3月17日

巡回指導

凌源市第二高級中学校の校門前にての写真
凌源市第二高級中学校の校門前にて

2006年度はあまり多くの地域を見ることはできませんでしたが、これまで訪問したこことのなかった、北票・凌源地区を3月19日~23日の日程で巡回することができました。これらの地域では外国人がほとんどおらず、日本語学習クラスの学生だけではなく、英語クラスの学生にまで握手やサインを求められるなど、大歓迎を受けました。

この他に、昨年9月から、遼寧省基礎教育教研培訓中心の上部組織である、瀋陽師範大学の付属学校で、中学1年生の第二外国語の授業を担当することになりました。学生は素直で可愛いのですが、1クラス39人、48人と人数が多く、また、冬休み明けに突然新しい学生が3人ずつ追加されるなど、語学のクラスとしては難しい面もありました。しかし、もっと学生数の多い学校もあり、突然の方針転換などは日常茶飯事と言えるため、現場の先生方の苦労は並々ならぬものがあると思います。このように、授業を通して、本来の仕事である先生方への研修活動についても、色々と考えさせられました。赴任早々から学校で授業を持たせてもらっていれば、もっと多くのことを学び、先生方に還元できたのではないかと残念に思っています。

近年減少傾向にある初中等教育における日本語教育ですが、第二外国語としての日本語の設置や、大学受験のために日本語を高校から学び始める学生の増加など、新たな方向性も見えてきています。それぞれの学校で、中国人教師の直面する問題も多様化することと思われます。現場に近いところから先生方のニーズを探り、先生方とともに学び、考えていきたいと願っております。

派遣先機関の情報
イ.遣先機関の位置付け
及び業務内容
省内の中学校、高校の各教科について、教師の技能を向上させるために指導を行う省の機関。各市、各県に進修学校と呼ばれる同様の機関があり、教研員と呼ばれる職員が各科目数人配置される。ジュニア専門家は2002年より派遣が開始され、現在二代目のジュニア専門家が活動中。派遣先には外国語教研部に一人と民族教研部に一人日本語の教研員がいて、ジュニア専門家は主にこの二人と協力して業務にあたっている。主な業務は、各種研修会の開催、省内の巡回指導、テキストや模擬テストの作成など。
ロ.派遣先機関名称 遼寧省基礎教育教研培訓中心
Liaoning Basic Education Research&Training Centre
ハ.所在地 中国遼寧省瀋陽市皇姑区46-2 遼寧教育学院招待所5F
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名

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