世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 開所1年たちました!

国際交流基金ソウル日本語センター
坪山 由美子/隈井 正三/澤邊裕子

ソウル日本文化センターは、2002年日韓共催ワールドカップですっかり有名になった市庁前広場から歩いて15分ぐらいのところにあります。 センター入居ビルの横では写真(左)の「ハンマリング・マン」(作:ジョナサン・ボロフスキー)が毎日疲れを知らず黙々とその手を動かしています。

そして、私たちも動きを止めることなく、正式オープンしてから1年が過ぎ、センターの存在も徐々に知られるようになりました。

私たちのこの1年をご紹介しましょう。

★中・高校教師とともに★

ソウル日本文化センターが入っているビルの写真
ここ3階が、ソウル日本文化センター

世界一の日本語学習者数の韓国では、個々の学習者よりも、彼らを教える教師への支援、特に総学習者の7割強を占める中等教育段階を優先することで、より効率的な支援を行うとの方針のもと、各種活動をしています。

従来の高校教師対象の研修(夏季・冬季の集中研修、3ヶ月研修(週1回)×2期)に加え、中学校教師研修、更には日本語が主専攻でない教師を主な対象とした日本語研修を始めました。第七次教育課程の施行後、中等教育機関で日本語を教える教師が多様化したことがその背景にあります。
また、日本語ネイティブと韓国人日本語教師によるティームティーチングの韓国版プロトタイプを作るべく、5つの高校で韓国人教師と協力した授業を実践しています。いっしょに授業をした韓国人教師の数はすでに14人になっています。
さらに、各地の高校日本語教師研究会が主催するセミナーへの出講、高校教師などの自主的な活動(教材作成、ネットワーキングなど)に助成金を出すと共に、アドバイスも行っています。

★日本語講座で教える★

<センターで行われた授業風景>の写真
<センターで行われた授業風景>

センターの日本語講座で学ぶ受講生の約90%は、受講前に日本語能力試験1級を取得しています。どれほどの上級講座か想像していただけると思います。会社員、教師、学生、主婦などが、仕事で必要だから、もっと日本のことを理解したいから、日本滞在で覚えた日本語を忘れたくないから、とにかく日本語が好きだからといった、様々な動機で受講しています。現在、コースは10。学院(民間の日本語学校)では学ぶことができないレベルと内容の講座を提供すべく、非常勤講師の協力も得て、カリキュラムに工夫を加えています。

★ニュースレター「カチの声」★

「カチの声」というニュースレターをインターネット上で発信しています。受信希望の数は、当初323人でしたが、この1年で1219人にまで増えました。内容は上級学習者を対象に、単に日本語だけでなく日本について理解を深めてもらえるように配慮しています。世界中どこからでも見ることができますので、ぜひソウル日本文化センターHP(http://www.jpf.or.kr)の鳥(それがカチ。日本名:カササギ)が描いてあるバナーをクリックしてみてください。

<「カチの声4号」フロントページ>の写真
<「カチの声4号」フロントページ>

IT環境の整っている韓国では、教師が個人でインターネット上に「カペ」(café:登録制オンラインコミュニティ)を開き、お互いの情報交換、リソース提供が活発に行われています。そのような状況で、センターが提供すべき価値ある情報として何があるかを考えなければなりません。現在は、日本語を学ぶ高校生からの生の質問を題材にし、中・高校日本語教師を主たる対象に情報源の紹介及びそれを活用した授業のヒント、また、一般教師を対象に日本語教授における映像利用のヒントをアップしています。

上級日本語クラスで教えていたり、教師研修で教授法うんぬんを講義していたり、高校の教壇で直接日本語の授業をしていたり、さらにはニュースレターの原稿書きから編集まで、ときにはそこでかかわる人々とのやりとりに戸惑ったり笑ったりしながら1年が過ぎました。ソウル日本文化センターの仕事は発展途上・前途有望です。変化し続ける韓国日本語教育の中で、刺激的な毎日です。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
2002年1月に業務を開始し、4月に正式オープンした。韓国の日本語教育全般を的確に把握するため、資料収集、現状調査を行うとともに、教師を対象とした支援を大きな柱とした各種支援を実施している。具体的には、各種中等日本語教師研修、中・高校への訪問授業、地方高校教師研究会セミナーへの出講及び研究プロジェクトへの協力である。一方、学習者向けには、民間機関では実施していない上級講座を前・後期制で開講している。HPやニュースレターを媒体とした韓国全土に向けての情報提供にも配慮し、ソウルとその他の地方の情報格差をできるだけ小さくする努力している。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation Seoul Language Center
ハ.所在地 3F,226 Shinmunnno 1-ga, Jongno-gu, Seoul 110-061,Republic of Korea
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:2名  青年教師:1名

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