世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中等日本語教育普及に向けた取り組み

国際交流基金ソウル日本文化センター(嶺南地域担当)
山口敏幸

報告者は2005年9月に在釜山日本国総領事館からソウル日本文化センターに所属を変え、新たなスタートを切った日本語教育室も、まもなく2年を迎えようとしています。現在の主たる業務は、総領事館内の教室で行われる中等日本語教師職務研修クラスと、夏冬2回の中等日本語教育集中研修ですが、昨年度より、釜山の高校、大学に所属する日韓双方の日本語教師の協力を得て、中等教育用副教材(活動集&素材集)の作成にも力を入れています。それでは、業務の概要をご紹介します。

中等日本語教師職務研修

ソウル日本文化センターでの日本語教育関連の写真1ソウル日本文化センターでの日本語教育関連の写真2

このクラスは、現職の中学・高校の日本語教師を対象にした釜山教育庁認定の職務研修クラスです。大学で日本語を専攻した日本語教師を中心とした上級クラスに加えて、もともとドイツ語やフランス語などを専攻していた日本語教師を中心とした中級、中上級クラスの、計3つのクラスを運営しています。期間は、1年間2学期で、各15回30時間です。3つのクラス共に、主として日本語運用能力の向上を目指した内容で、中級クラスでは市販中級聴解教材を使った授業、中上級、上級クラスではNHKのニュースなどを編集したオリジナル視聴覚教材を使った授業を行っています。また、学期中、1~2回、日本文化体験として、盆踊りや浴衣の着付け、伝統の遊び体験などを行なっています。

もちろん、教師クラスなので、日本語能力を向上させるだけではなく、同時に少しでも日本語教授能力も向上させることを目指しています。

中等日本語教師集中研修

毎年夏と冬の2回、嶺南地域の中学・高校の日本語教師を対象に集中研修を行っています。釜山とソウルの2会場でそれぞれ1週間ずつ行っていますが、毎回定員を上回る応募が寄せられます。今年の夏から「教科書分析から効果的な授業を考える」という新しいテーマで研修を行ないますが、具体的な内容としては、普段先生方が使っている教科書から授業を振り返り、第7次教育課程(※注)で唱えられている「コミュニケーション能力の向上」について、どのような授業が効果的かということを参加者全員で考えるというものです。

(※注)中等教育機関における外国語の学習指導要領で、普通高校、外国語系列高等学校別に、シラバスが決められている。日本語については、日本人の日常言語生活と文化について関心と理解を深くし、日本人との意思疎通に能動的に参与する態度を養うことが目標として掲げられている。

中等教育用副教材作成

2006年春から始まった高校日本語教育向け副教材の作成作業も2年目に入っています。本教材は、日本文化理解とコミュニケーション能力向上に役立つ高校日本語教育向け活動集&素材集ですが、特に、現場教師の日々の負担を少しでも軽くするため、すぐに使える活動や素材をたくさん収めたものにするよう心がけています。内容としては、全25課、活動集と手引き、そして、素材集の3つの部分に分かれています。また、各課のタスクの中で出てくることば・表現で、特に、文化的、語彙・文法的に教師が知っておくべきことをマーキングし、手引き部分で解説としてまとめています。

本教材は、現在、韓国人高校日本語教師と日本人日本語教師がチームを組んで作業に当たっていますが、今回のプロジェクトを始めるにあたっての、一つの大きな目的が、日本人教師と韓国人教師の交流でした。タスク案をめぐる活発な意見交換を通して、交流は確実に深まっており、お互いにいい形で刺激し合う関係ができあがっています。また、今回は敢えて若手韓国人教師に多く参加していただきました。本教材作成作業を通して、日本語教育に関する多くの新しい知識を吸収し、将来的に嶺南地域の中等日本語教育の中核として活躍してほしいという意図からです。必ずや期待に応えていただけるものと確信しています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
1968年以来、在釜山日本国総領事館に日本語教育専門家が派遣され、嶺南地域の日本語教育を支援してきたが、2005年8月より、派遣先はソウル日本文化センター、勤務地は釜山という新たな派遣形態となった。日本語教育専門家の担当業務は、総領事館内の教室で行われる中等日本語教師職務研修クラス、夏冬2回の中等日本語教育集中研修、嶺南地域教育庁及び各中等日本語教師会への出講等である。
ロ.派遣先機関名称 国際交流基金ソウル日本文化センター
The Japan Foundation.Seoul
ハ.所在地 Hungkuk Life Insurance Bldg.3F, 226, Sinmunno 1-ga, Jongno-gu Seoul 110-061, Korea
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名(嶺南地域担当)

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