世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 教師とともに成長を目指して

国際交流基金ソウル日本文化センター
北村武士、長田佳奈子

韓国は、国際交流基金の日本語教育機関調査の結果でも毎回世界第1の学習者数を数えています。2006年度の調査でも学習者数は、約91万人です。その中でも初等・中等教育機関で学習している学習者数は約77万人(韓国の学習者数全体の中で84.4%)です。当センターでは、この最も学習者の多い中等教育の支援に力を入れています。

学習者の多い韓国では一人ひとりの学習者に直接支援を行うよりも、学習者を教えている教師に支援を行うほうが効果的であると考えて、主に日本語教師に対する支援を中心に置いています。今回は当センターが行っている教師支援についてご紹介します。

1) 中等学校日本語教師集中研修

中等学校日本語教師集中研修での茶道体験の写真
中等学校日本語教師集中研修で茶道体験をしました

この研修は、ソウルと釜山で8月と1月の年に2回、学校の休暇期間中に行う5日間、全30時間の集中研修です。中等教育機関で教えている日本語教師が参加します。この研修は教育庁から職務研修としての認可を受けています。

ソウルの集中研修は毎回、40名の定員で実施しています。07年度は「教科書分析から効果的な授業を考える」をテーマにして、教科書分析・ドリル練習・教材、教具の活用法を取り上げて、ワークショップ形式で行いました。その他に、日本文化体験(着付けや茶道など)、情報交換、教材紹介などを取り入れて、楽しい研修になるように心がけています。

参加した先生方からは、「具体的な教え方のアイディアが得られてよかった」などうれしい感想を聞くことができました。

2) 中等学校日本語教師教授法研修

調理実習でお好み焼きを作っている写真
調理実習でお好み焼きを作りました

この研修は前期と後期の年に2回、学期中の毎週水曜夜に行っている、11回、全30時間の研修です。中等教育機関の日本語教師を対象に高校教師コースと中学教師コースの2つに分けて実施しています。この研修も教育庁から教員研修としての認可を受けています。教授法を中心に扱い、教科書をどのように利用するか、どんな活動が効果的かなどについてクラスで話し合ったり、考えたりしています。研修は夜6時半に始まるのですが、遠くの学校から授業が終わって急いで駆けつけて参加する先生もいます。

3) 留学生ボランティア派遣プログラム

このプログラムは昨年度に始まり、昨年の「日本語教育の現場から」でも紹介しましたが、おかげさまで07年度は無事に終了することができました。07年度は26校の中等学校に延べ53人の日本語ネイティブの留学生を派遣し、約3400人の生徒と留学生が楽しく日本語の勉強をすることができました。この成果の一部をプログラム参加教師が韓国の釜山で2008年7月に開催される日本語教育国際研究大会でも報告する予定です。

07年度好評を得たプログラムは08年度も継続しており、ソウル近郊の中学と高校に留学生を派遣しています。また、08年度前期からこのプログラムも教育庁から職務研修として認可されました。今後は先生方が作成した授業計画案を整理して公開できるようにしたいと考えています。

4) 中等日本語教育研究会などへの出講

韓国は16の道及び特別市・広域市に分けられていますが、それぞれの地域に中等教育の教師の集まりである研究会が組織されています。それぞれの研究会は、2003年に創立された韓国日本語教育研究会の傘下に入って活動をしています。各研究会では日々の情報交換などの活動のほかに年に1回か2回総会を開いて、セミナーやワークショップを実施しています。その研究会に当センターの日本語教育専門家が出講して、効果的な授業の方法や新しい教材の紹介をしています。これは、遠いために普段はソウルの研修会に参加できない先生方にとっても、ソウル日本文化センターの日本語教育専門家にとっても、顔を合わせて話し合える貴重な機会となっています。当センター担当地域には11の研究会がありますが、07年度は7つの研究会の集まりに出講しました。

5) 地方中等教育機関視察

韓国は交通が発達していてどこへ行くのも比較的簡単ですが、地方の先生方がソウルで行われる研修に参加するのは難しく、センターの専門家もなかなか地方の先生方に直接会って話を聞いたり、授業を見学したりするチャンスはありません。そのためできるだけ、地方の中等学校を訪問して授業見学をしたり、授業についての相談に乗ったりしたいと考えています。専門家が直接地方に行くことは、研究会出講と同じく地方の先生方のニーズなどを聞く貴重な情報収集の場ともなり、今後のセンターの活動方針を考えていくのに役立ちます。今年もできる限り地方の視察を続けていこうと考えています。

以上、中等日本語教育支援を中心に紹介しました。当センターではこのほかにもさまざまな日本語教育の活動を行っていますが、それらについては次の機会にご紹介します。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金からの日本語教育専門家の派遣は2001年に始まり、韓国の日本語教育全般を把握するため、資料収集、現状調査を行うとともに、教師を対象とした支援を大きな柱として各種支援を実施する。
具体的には、各種中等日本語教師研修、地方日本語教育研究会への出講及び研究プロジェクトへの協力、中学校および高校への訪問授業等である。また、日本語能力試験1級合格レベルの学習者を対象とする上級講座を開講している。さらに韓国全土に向けてホームページや電子ニューズレター等の媒体を活用した情報提供も行っており、ソウルと地方の情報格差をできるだけ小さくする努力も行っている。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Seoul
ハ.所在地 Hungkuk Life Insurance Bldg. 3F, 226,
Sinmunno 1-ga, Jongno-gu Seoul 110-061, Korea
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:2名(嶺南地域担当除く)

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