世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 嶺南地域における中等日本語教育支援

国際交流基金ソウル日本文化センター(嶺南地域担当)
山口敏幸

ソウル日本文化センター所属の報告者は、2005年8月以来、釜山の日本語教育室において業務に携わっていますが、この間、在釜山日本総領事館内の教室で行われる中等日本語教師職務研修クラスと、夏冬2回の中等日本語教育集中研修、嶺南地域(注1)の各教師会への出講を主たる業務としながら、一方で、釜山の高校、大学に所属する日韓双方の日本語教師の協力を得て、中等教育用副教材(活動集&素材集)の作成にも力を入れてきました。新教材の作成は順調に進み、出版も間近となったため、今後は、新教材の普及のための環境作りにも力を入れていくつもりです。それでは、業務の概要をご紹介します。

中等日本語教師職務研修

職務研修クラスの写真
職務研修クラス

このクラスは、現職の中学・高校の日本語教師を対象にした釜山教育庁認定の職務研修クラスです。大学で日本語を専攻した日本語教師を中心とした上級クラスに加えて、もともとドイツ語やフランス語などを専攻していた日本語教師を中心とした中上級と上級の、計3つのクラスを運営しています。期間は、1年間2学期で、各15回30時間です。3つのクラス共に、主として日本語運用能力の向上を目指した内容で、中上級、上級クラス共にNHKのニュースなどを編集したオリジナル視聴覚教材を使った授業を行っています。また、学期中、1~2回、日本文化体験として、日本映画鑑賞、浴衣の着付け、折り紙体験などを行なっています。

もちろん、教師クラスなので、日本語能力を向上させるだけではなく、同時に少しでも日本語教授能力を向上させるべく、授業内容に工夫を凝らしています。

中等日本語教師集中研修

2007夏季集中研修の写真
2007夏季集中研修

毎年夏と冬の2回、嶺南地域の中学・高校の日本語教師を対象に集中研修を行っています。釜山とソウルの2会場でそれぞれ1週間ずつ行っていますが、毎回たくさんの応募が寄せられます。昨年の夏から「教科書分析から効果的な授業を考える」というテーマで2回研修を行なっていますが、今年の夏の3回目で完結し、冬からは、また新しいテーマでの研修がスタートします。

中等教育用副教材作成

2006年春から始まった高校日本語教育向け副教材の作成作業もいよいよ大詰めに入っています。本教材は、日本文化理解とコミュニケーション能力向上に役立つ高校日本語教育向け活動集&素材集ですが、第7次教育課程(注2)で唱えられている、生徒の「コミュニケーション能力の向上」という目標に頭を悩ませている現場の高校日本語教師をバックアップする目的で始まったものです。韓国人高校日本語教師と日本人日本語教師がチームを組んで作業に当たり、現場の意見を十分反映させながらこつこつと作り上げてきました。完成後は、高校現場への普及に努めていく予定ですが、すでに、釜山日本語教育研究会主催の中等日本語教師研修会での、新教材を使ったワークショップと、新教材を使った研究(公開)授業を実施することが確定しています。

中等日本語教師会支援

嶺南地域には、全部で5つの中等日本語教師会がありますが、それらの教師会の活動を支援しています。釜山以外の教師会には、年に何回か各地に出かけていって、日本語や日本文化、日本語教授法について講義やワークショップを行っています。釜山の教師会については、最近活動が停滞ぎみでしたが、新しい会長に代わったことを機に、今後活動を活発化していけるよう側面からサポートしていくつもりです。

※注1 嶺南地域:慶尚北道、慶尚南道、釜山広域市、大邱広域市、蔚山広域市の地域。
※注2 中等教育機関における外国語の学習指導要領で、普通高校、外国語系列高等学校別に、シラバスが決められている。日本語については、日本人の日常言語生活と文化について関心と理解を深くし、日本人との意思疎通に能動的に参与する態度を養うことが目標として掲げられている。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
1968年以来、在釜山日本国総領事館に日本語教育専門家が派遣され、嶺南地域の日本語教育を支援してきたが、2005年8月より、派遣先はソウル日本文化センター、勤務地は釜山という新たな派遣形態となった。日本語教育専門家の担当業務は、総領事館内の教室で行われる中等日本語教師職務研修クラス、夏冬2回の中等日本語教育集中研修、嶺南地域教育庁及び各中等日本語教師会への出講等である。
ロ.派遣先機関名称 国際交流基金ソウル日本文化センター
The Japan Foundation, Seoul
ハ.所在地 Hungkuk Life Insurance Bldg.3F, 226, Sinmunno 1-ga, Jongno-gu Seoul 110-061, Korea
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名(嶺南地域担当)

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