世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ネイティブスピーカーとしての役割

モンゴル国立大学
伊古田 絵里

一年生の写真
一年生

モンゴルは日本に対するイメージが頗る良いようで親日家が多い。民主化に伴う経済の混乱期に援助を受けたこと、地理的に近いこと、モンゴル人力士の活躍などの理由で、日本に対し好印象をもっている。また、日本のドラマやアニメ、漫画などの人気も高く、現代日本のサブカルチャーに興味を持っている若者も多い。日本に対して並々ならぬ関心を抱いている。

このような状況からか、モンゴルでの日本語学習者や日本語教育機関は増加傾向であり、先日も立ち寄った肉屋さんが私が日本人だとわかると、習った日本語を使って話そうとしてくれた。

配属先モンゴル国立大学はモンゴルにおける最高学府であり、日本語教育が最初に始まった機関でもある。日本語教育が開始された1975年より基金の専門家が派遣されている。当初はモンゴル語の専門家、やがて日本語教育の専門家へと移行した。代々の専門家の方々はモンゴル語母語話者を対象とした教科書を作成したり、教育環境を整えたりと当学科のみならずモンゴル全体の日本語教育の礎を現地の先生方と築き、発展させた様子である。現地の先生方も積極的に日本での教師研修などに参加され、日本語力のみならず、教授法をも磨く努力を惜しまない様子には頭が下がる。

二年生の写真
二年生

なお青年教師として派遣されるのは私が初めてであり、赴任して約2ヶ月、まだ手探りの状況である。日本語研究室は、日本語能力も人柄も素晴らしいスタッフに恵まれ、また設備などの環境も整っていると言える。派遣教師としての役割は、ネイティブスピーカーとして、会話や音声学等の授業を担当することである。学生たちは意欲的に日本語学習に取り組み、進歩も目覚ましいという印象を受ける。しかし、残念ながらあまり日本語を聞いたり、話したりする時間がないようで聴解や会話があまり得意ではない様子。少ない限られた時間の中でどれだけ発話量を増やせるか授業に創意工夫をすることが目下の課題である。また、親日であっても、日本に関する情報が限られているので、日本の色々な面を紹介し、それが学習意欲の向上につながっていけば、と願っている。日本の伝統文化、また現代社会を反映したサブカルチャーの紹介なども有効であるようである。前任の村上専門家がアニメやビデオを使って、授業をなさっていたが、学生はとても楽しそうにとりくんでいる。

また、特に指導するという立場ではなく、教授法や日本語、日本文化に関する質問や相談には、積極的に応じていきたい。経験も長く能力も高い同僚教師陣からは、私自身が学ぶことが多々ある。良い関係の構築を心がけながら、より快適に仕事のできる環境作りに尽力したい。

今後、少しずつ状況を把握しながら、他の機関との連携にも努めたいと思っている。それぞれの機関で抱えている問題点について、気楽に話し合えるような関係を作っていきたい。また教授法などの相談にも応じていきたいと思っている。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
 当大学はモンゴル随一の最高学府であり、優秀な人材を多数輩出している。モンゴルで初めて日本語教育が行われた機関でもあることから、この分野においても中心的役割を担っている。モンゴル日本語教師会の会長は当学科の学科長であり、当学科内に教師会事務局が設置されるなど、モンゴルの日本語教育全体に対して大きな影響力と指導力を持っている。青年教師は日本語講座での日本語教授、カリキュラム・教材作成への協力・助言等を行う。
ロ.派遣先機関名称 モンゴル国立大学
National University of Mongoia
ハ.所在地 P. O. Box 857, Ulaanbaatar 46, Mongolia
ニ. 国際交流基金派遣者数 青年:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
学科名称
国際言語文化学部日本研究室
ヘ. 日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1975年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 専1975
青2002
(ロ)コース種別
専攻、公開講座(夜間コース)
(ハ)現地教授スタッフ
常勤4名(うち邦人0名) 非常勤1名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年:20名、2年:18名、3年:14名、4年:15名
(2) 学習の主な動機 留学、就職、日本への興味
(3) 卒業後の主な進路 大学院進学、一般企業就職など
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級後半から1級
(5) 日本への留学人数 3名

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