世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 開所三周年記念のモンゴル日本センター

モンゴル日本人材開発センター
村上吉文

みなさん、こんにちは。私はモンゴル日本センターに日本語コース運営専門家として勤務している村上と申します。早いもので、この欄を書くのももう四回目です。

地平線の向こうへ

さて、昨年の記事の最後に書いた「ラジオでの日本語教育番組の放送」の準備が今、一番たいへんな時期に入っています。この放送はスキットの部分が昔のドラマ風になっていまして、まず、その録音がたいへんです。私も普通の教材ならよく自分の声で録音するのですが、今度は演技が必要になってきますので、私のような芸のない人間にはつとまりません。そこで、現地にいる青年海外協力隊員や、日本語のできるモンゴル人学生に声をかけているところです。

次にたいへんなのが、教科書です。教科書を作る前にはシラバスやその提出順序など、たくさんの決めなくてはならないことがあります。とは言っても、そういうことは日本語教育の専門家なら誰でもできることなのですが、問題は製本した後の配送です。ラジオの電波をモンゴル全国に届けるのは一瞬なのに、教科書を配るとなると、日本のように書店と出版社をつなぐ流通ルートが確立しているわけでもありません。一応、郵送で配ることを考えていますが、クロネコヤマトのトラックが全国を駆けめぐっているわけでもないので、なかなかたいへんなことになりそうです。

しかし、地方に行くたびに、「日本語を勉強したいのに先生も学校もない」というモンゴルの熱心な人たちの声に触れますので、何としてもこの番組は成功させたいと思っております。

首都でも足りません!

来場者でにぎわう日本語教育機関入学説明会の写真
来場者でにぎわう日本語教育機関入学説明会

もっとも、日本語を勉強したいという声が高いのは地方に限ったことではなく、先日、当センターで開催された「日本語教育機関入学説明会」には、二日間の合計で1500人もの来場者がありました。首都でも明らかに勉強したいという需要に供給が追いついていないのですが、これにはいくつかの理由があって、一番大きな理由は日本語の先生が足りないという点です。モンゴルのNPO、モンゴル日本語教育振興協会がまとめた資料によりますと、アンケートに答えた学校の過半数で「日本人の日本語教師が足りない」との回答だったそうです。詳しくはNPOのサイトをご参照ください。

http://blog.goo.ne.jp/mongolia_2005/

はばたけ現地教師たち

教育実習コースのブレンチメグ先生(右端)と、修了生たちの写真
教育実習コースのブレンチメグ先生(右端)と、修了生たち

上記のアンケートは日本人の日本語教師に関するものですが、モンゴル人の日本語教師の育成に関しては当センターで活動が継続されています。特に先日終わったばかりの日本語教育実習コースは、三年目でやっと「打てば響く」といった、しっかりした手応えを感じることができました。日本ではいかにもウケが悪そうな手法ですが、いろいろ考えた結果、今年は試験的に「実習生でなく講師陣が教案を書き、それをそのまま実習生が教える」という形式を取ってみたのです。講師が教案を書くのは一人の実習生につき一回だけなのですが、実習生が自分で書く二回目からの教案も、これまでの参加者に比べてはるかにレベルの高いものになっていました。座学で授業の流れなどを学ぶだけではなく、標準的な授業を、自分で身をもって体験してみるということが大切だったんですね。

今後

私がこの記事を書くのは、今年が最後になります。今後は次の専門家の方針にもよりますが、基本的には教員養成と地方展開が主なテーマになるでしょう。私は一線を離れますが、このセンターを通じて、より多くのモンゴル人が日本に親しみを感じてくれるようになることを、切に祈っております。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
専門家はセンターのコース運営の他、任国全体の日本語教育の振興と現場のサポートを行う。
当センターの目的は、モンゴルの市場経済化のための人材開発を行うこと、日本に興味のある人に、日本語・日本文化など日本についての情報を提供することなどを通して、両国の友好関係をますます発展させ、両国民の相互理解を深めることである。日本語の話者や教員を養成する日本語コース、モンゴルの経営者を育成、支援するビジネスコースなどがある。
ロ.派遣先機関名称
The MONGOLIA-JAPAN CENTER
ハ.所在地 P.O.B.46a/190, Ulaanbaatar, MONGOLIA
ニ.国際交流基金派遣者数 1
ホ.日本語講座の所属学部、
学科名称
日本語コース
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2004年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2004年
(ロ)コース種別
選択(ノンフォーマル教育) 教師研修
(ハ)現地教授スタッフ
常勤2名(邦人) 非常勤7名(うち邦人2)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   各コース定員32名以下
(2) 学習の主な動機 日本への憧れ
仕事上必要
(3) 卒業後の主な進路 日系企業就職
日本語教育機関に就職
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
コースによるが敢えて平均を取れば三級以上二級以下程度。
(5) 日本への留学人数 留学経験者は数十名。

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