世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) モンゴル日本人材開発センターの日本語専門家の業務

モンゴル日本人材開発センター
藤島夕紀代

日本語専門家の業務

モンゴル・日本人材開発センター(以下、「日本センター」と略す)の日本語コースでは、2002年からこれまでの7年間に、約150コースが実施され、約1万2千名が日本語コースの主催する事業に参加しました。日本センターにおける日本語専門家(以下、「専門家」と略す)の業務は、(1)中間評価(※1)の結果をふまえた新規日本語コースの開発と継続コースの整備、(2)現地日本語教師の技術向上支援、(3)現地スタッフの日本語能力および教授力向上、(4)他機関との連携強化と支援・協力、(5)日本語学習環境の整備・支援、(6)日本語教育事情の把握などとなっています。

その業務内容は多岐にわたっていますが、ここでは、現地日本語教師の技術向上支援、他機関との連携強化と支援・協力、日本語学習環境の整備・支援について、現状と今後の展開を中心に述べてみようと思います。

現地日本語教師の技術向上支援

09-10年教育実習コースの修了生の写真
09-10年教育実習コースの修了生

日本センターでは、教師を対象とした「日本語教育実習コース」と「日本語教授法演習コース」を実施しています。このコースは、実習や演習を通して教授技術の向上を目指す現職教師や教師志望者のためのコースです。これまで日本語教授法演習コースでは、中学校教員を対象として実施してきましたが、今後は一般日本語学校の教師へも広く門戸を開放し、モンゴル日本語教育全体の教授レベルの底上げに貢献することを目指しています。

他機関との連携強化と支援・協力

2009年日本語教育シンポジウムの参加者の写真
2009年日本語教育シンポジウムの参加者

2009年10月16日(金)・17日(土)に、日本センターとモンゴル日本語教師会の共催で、「2009年日本語教育シンポジウム」が開催されました。これは、国際交流基金の「海外日本語教育ネットワーク形成助成」プログラムの助成を受け、帝京大学と桜美林大学から2名の講師を招き、講演、ワークショップ、分科会などを行ったものです。

分科会では、機関別に発表・報告がなされましたが、両分科会ともモンゴル人教師3名による授業実践報告や意見交換が行われ、前年と比較してもレベルの高い発表・報告となりました。3年連続でシンポジウムを開催していることや「モンゴル日本語教育研究会」(※2)の例会が定期的に行われていることが、質の向上につながっていると考えられます。2010年も10月中旬に実施予定ですが、参加者のニーズに応え、実りある日本語教育シンポジウムになるよう支援したいと考えています。

日本語学習環境の整備・支援

2009年4月から1年間、「教育チャンネル」というモンゴルの民間テレビ局の日本語講座の制作に協力しました。この番組は、日本人教師がモンゴル人生徒に対し、教室で授業を行う形式でしたので、コミュニカティブな授業の流れを取り入れ、教師の参考となるよう、教授法の例示も念頭においた授業構成を心がけました。また、教具、副教材などを多用し、楽しく学べることも目標としました。スタジオ内の教室で生徒に教えている様子を収録し、20分間の語学学習番組にするのは大変な作業でしたが、無事40課分の収録と放送が終わりホッとしています。

また、日本語学習環境整備のため、別のプロジェクトも始まっています。2005年に制作したラジオ日本語講座(詳細は本ページ2005年度分をご参照ください)は、国営ラジオ局と地方のFMラジオ局の計22局で放送されました。モンゴルの日本語学習者数は約1万人ですが、このラジオ講座のテキストはこれまでに約7千冊が売れ、今も売れ続けている、大変人気の高い教材となっています。現在、この教材の続編を作成するプロジェクトが進んでいますので、来年のこのページでは、どのような教材になったか、皆さんにお知らせできると思います。どうぞお楽しみに。

今後の課題

昨年のこのページにも書きましたが、現地スタッフの担当範囲を拡大させることがますます必要になってきました。スタッフが中心となって教材・教案作成、授業担当を進められるよう支援を続けたいと思います。

また、これまで日本センターでは、初級コースを実施してきませんでしたが、中間評価の結果を受け、サバイバル・ジャパニーズコースと初級日本語コースを実施することになりました。これまで培ってきた日本語コースの知識と技術をもとに、日本センターならではの初級授業を提供し、当地の日本語教育へも貢献できればと考えています。

※1日本センターは「モンゴル日本人材開発センタープロジェクト」として、ビジネス人材育成事業、日本語教育事業、相互理解促進事業を行っています。プロジェクトの進捗を5年間でひと区切り(フェーズ)としていることから、2002年から2007年までを第1フェーズ、2007年から2012年までを第2フェーズとしています。2009年8月~9月の第2フェーズ中間評価では、フェーズ終了に向けた今後の方針や提言が出されました。
※2 2007年10月に実施された日本語教育シンポジウムをきっかけとして設立されました。モンゴルにおける日本語教育に関する研究を深め、日本語教育の発展に寄与することを目的とし、月1回の例会で様々な発表・報告などが行われています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Mongolia-Japan Center
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
モンゴル日本人材開発センターの目的は、モンゴルの市場経済化のための人材開発を行うこと、日本に興味のある人に、日本語・日本文化など日本についての情報を提供することなどを通して、両国の友好関係をますます発展させ、両国民の相互理解を深めることである。日本語の話者や教員を養成する日本語コース、モンゴルの経営者を育成、支援するビジネスコースなどがある。
所在地 P.O.B.46a/190, Ulaanbaatar, Mongolia
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2002年

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