世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ♪聞けば聞くほどわかるよ -ラジオ日本語講座続編放送中

モンゴル日本人材開発センター
藤島夕紀代

モンゴル日本人材開発センター(以下、日本センター)における日本語専門家(以下、専門家)の業務はいろいろありますが(詳細は過去のページをご覧ください)、今年は、現在進行中のラジオ日本語講座続編(以下、ラジオ講座)制作と初級日本語コースを中心に述べてみようと思います。

ラジオ講座と専門家の業務

ラジオ講座の放送原稿と教科書の原稿は、2009年末までにできあがっていましたので、2010年度はラジオ番組として録音・放送することと、教科書を印刷して販売するための作業を行ないました。具体的には、予算の確保、契約書の準備、ラジオ局との交渉・調整、スケジュール管理、放送原稿チェック、出演者選びと演技・発音指導、実際の録音・編集、教科書原稿チェック、印刷、印刷チェック、出版などです。このように見ると、たくさんの業務をこなしたように見えますが、実際には担当スタッフを中心に、その業務に精通したプロの方々のお力を借りて進んでおり、専門家の業務は、このプロジェクトの指揮者のようなものと言えると思います。

ラジオ講座の内容

『みんなのうた』の歌詞

ここで少し講座の内容についてご紹介します。この講座は、2005年から2007年にかけてモンゴル国営ラジオおよびFMラジオ局を通じモンゴル全土に放送した「ラジオ日本語講座」(詳細は2005年の本ページをご覧ください)の続編となっています。前作同様、ラジオドラマ(スキット)形式になっており、オユンナというモンゴル人の女の子が、日本人留学生の次郎や謎の人物とのやりとりを通して、自分の出生の秘密に迫っていくというストーリーになっています。1回の講座の最初にこのスキットが入っており、スキットからその日の文法を取り出して説明し、新しい言葉を練習した後、リピート練習、変換練習、QA練習などをするという構成になっています。

また、ラジオ講座のテーマ曲「みんなのうた」は、モンゴルでバンド活動をしているD.ブドバザルさんが、学習者が楽しく日本語を学べるようにと作詞・作曲した曲を、本番組のために提供してくださいました。ちょっと不思議な歌詞のようにも聞こえますが、耳になじみやすいメロディーを口ずさんでいるうちに、動詞の活用も覚えられるという、まさに日本語学習者のための曲です。本ページをご覧の皆さんも、どうぞご活用ください。

ラジオ講座の放送とCD化作業

講座収録の様子の写真
講座収録の様子
ラジオ講座の教科書とCDの画像
ラジオ講座の教科書とCD

講座の録音は2010年10月から始まり、12月1日からは前作と同様に国営ラジオの放送網を使い、全国21県331村へ放送されています。全部で100課の講座ですが、2011年5月末現在で78課まで放送が進みましたので、7月末に放送終了となる予定です。教科書は日本センターやウランバートル市内の書店で販売中で、放送終了後にはCDも発売する予定です。現在はCD化するための録音、編集作業に入っていますので、このページがアップする頃にはCDの販売も開始していることと思います。

また、前作は地方FM局ネットワークを通じ、無料で再放送をしていただいておりましたので、今後は、この方面への働きかけもできればと考えています。

初級日本語コースの開講

これまで日本センターでは、初級講座を実施していませんでしたが、2010年9月から「初級日本語コース」を開講しました。このコースは、先に述べた「ラジオ日本語講座」(前作、続編とも)のスキットを聴いて、その日の新しい言葉と文型を学んだあと、その文型を実際に使って会話や活動を行なうよう設計されています。また、日本人講師とモンゴル人講師が同時に教室に入り、ティーム・ティーチング形式で授業を進めることを特徴としており、日本センターならではの授業となっています。専門家はこれまで、教師養成コースや上級コース以外、授業に入ることは多くありませんでしたが、今後は初級日本語コースを充実させることが求められていることから、初級授業を担当することも増えてくると思います。担当講師や担当スタッフと協力し、日本センターらしい初級授業を展開できればと考えています。

これからの日本センター

日本センターは2012年1月21日に10年間のプロジェクトが終了し、新たな形で再出発する予定です。どのような形になるかは関係機関と調整中ですが、先に述べたように、初級日本語コースをコース運営の柱に据え、当地の初級日本語コースのモデルコースとなれるような取り組みが必要になってくると思います。

また、2012年は日モ外交関係樹立40周年を迎え、日本とモンゴルの関係がますます緊密になることが期待されます。日本語教育も量から質への転換期となっています。日本語教育の質の向上をめざすこと、教師や研究者のネットワーク化をさらに進めること、若手研究者を支援することなどが今後の課題になってくると考えています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The MONGOLIA-JAPAN CENTER
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
モンゴル日本人材開発センターの目的は、モンゴルの市場経済化のための人材開発を行うこと、日本に興味のある人に、日本語・日本文化など日本についての情報を提供することなどを通して、両国の友好関係をますます発展させ、両国民の相互理解を深めることである。日本語の話者や教員を養成する日本語コース、モンゴルの経営者を育成、支援するビジネスコースなどがある。
所在地 P.O.B.46a/190, Ulaanbaatar, MONGOLIA
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2002年

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