世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)日本語は何番目?

アルバータ州教育省
齊藤真美

おべんとう、おひさま、なかま、いま、きせつ、みらい、げんき、わかった!これらの言葉をみてどんなイメージが沸くでしょうか?そして、どんな言葉の集まりかわかりますでしょうか?どれも少し楽しそうで、明るいイメージだと思いませんか?

実はこれらは英語圏で使用されている日本語教材のタイトルのことばです。世界で日本語を勉強している人たちには、学校のカリキュラムのひとつとして、中学や高校で学習している人も多くいます。私が赴任しているカナダ、アルバータ州にも、日本語を学ぶ高校生がたくさんいます。上記の中の教科書の一つを使って勉強しています。

アルバータ州の場所の画像
アルバータ州の場所

まずアルバータ州について少しお話しますと、カナダ全体から見て西部地域にあります。アルバータ州の面積だけでも、日本国土の1.75倍ほどですので、カナダ全体を見るとどれだけ広いのかがお分かりいただけると思います。私が所属しているのはアルバータ州教育省です。その中に、国際教育サービス部があり、私を含めて5人の言語アドバイザーがいます。ドイツ語、スペイン語、ウクライナ語、中国語、そして日本語です。他の州にはこのような言語アドバイザーは配置されていませんので、アルバータ州の言語教育政策に対する積極性が見られます。

このアルバータ州教育省国際教育サービス部で、日本語アドバイザーとして、主に中等教育機関(中学や高校)での言語教育についてのサポートを行っています。くわしい業務内容は過去のレポートにもありますが、カリキュラム開発や教師研修、インターンシッププログラムや日本関連イベントの支援など、その他にも多くの業務を担当しています。さらに、派遣専門家としてはアルバータ州内における業務だけでなく、カナダ全域の日本語教育の支援も行っています。

カナダの公用語は英語とフランス語ですが、西部地域では主に英語が話されています。そのため、フランス語についても学校では言語の学習科目として勉強されています。他にも、学習言語としてさまざまな言語があります。州都であるエドモントン市には、エドモントン教育委員会があり、そこは第二言語センター(IISLE;The Institute for Innovation in Second Language Educationを持っています。学区内で第二言語として10の言語の中から希望のものを選んで学ぶことができると案内しています。

ここで日本との違いに少し注目してみると、日本では日本人が日本語を学習する場合、学校教育では「国語」という科目になります。それ以外の言語を学習する場合「外国語」科目としていますが、こちらではいわゆる「外国語(foreign language)」という名称を使いません。学校によってはModern Language(現代言語), International Language(国際言語), Second Language(第2言語), Language(言語)など表現はさまざまです。このあたりがカナダの事情をよくあらわしているようにも思います。カナダでは移民が多く、町の中を歩いていても、さまざまな言語を耳にします。複数言語・文化が広く存在する国です。公用語の英語自体が第2言語、第3言語である人たちも多くいます。移民の多くは自らの母語である言語と英語、さらに学校教育の中では別の言語も学習しています。そのような言語環境の中で、日本語を学習している人たちには、日本語は3番目の言語であったり、4番目の言語であったりします。

日本文化イベント参加の日本語学習者の写真
日本文化イベント参加の日本語学習者

その、3番目でも、4番目でも、言語として日本語を学習している人たちは、アニメ、ゲーム、ファッション、J-POPなどのサブカルチャーからの興味だけでなく、日本食や日本文化などが好きだからという人もいます。過去のレポートでも報告されていますが(2011年度版参照)、年に1回、2日間実施の高校生対象の日本文化イベントExplore Japanもすでに2015年で6回目となります。昨年、2014年も7つの高校から生徒317名、日本語教員及び引率者13名、合計330 名が参加しました。日本語が何番目であっても、多くの人に興味を持ち続けてもらう、「日本ファン」を増やしていきたいと思っています。それでも、願わくは、日本語が、学習者の言語ランクの上位にランクインすることを祈って、これからも試行錯誤しながら多くの先生方とも協力し、学習のサポートをし続けたいと思います。

「いま」を生きる生徒たちに「なかま」と一緒に「おひさま」のしたで「げんき」に「わかった!」と、「きせつ」を問わず響き渡る教室で、ときには一緒に「おべんとう」を食べながらカナダと日本の関係が深くつながっていくように、「みらい」に向かってともに進んでけるような支援、活動をしていきたいと思います。

参考文献 Worldatlas, Alberta, 28/05/2015 access

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Alberta Education
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
州内の初等中等教育を管轄する政府機関。国際教育サービス課に所属し、交流プログラムや日本語教育への支援(学習指導要領、指導手引書、到達度評価文書等の開発、教材情報の提供、日本文化及び日本語教育振興行事の企画運営)を行う。カナダ全域のアドバイザーを兼任し、国際交流基金トロント日本文化センターとの連携のもとに、全国レベルでの日本語教育振興、教師研修、ネットワーク形成支援等を担当する。
所在地 Main Floor, 10044-108 Street NW, Edmonton, Alberta, Canada T5J 5E6
国際交流基金からの派遣者数 日本語上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年

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