世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) N5合格!

国際交流基金ニューデリー日本文化センター
伊勢田涼子 竹村徳倫

初等・中等学校では7年間

日本語の授業の写真
日本語の授業

 2006年に6年生(日本の小学校6年にあたる)で日本語を始めた生徒が昨年は10年生(日本の高校1年にあたる)になり、『みんなの日本語』1の前半を終了しました。それで、12月の日本語能力試験でN5を受けたのですが、かなりの率で合格したようで、気をよくして、次はその上を受けようとしています。それで、「先生はNの何を持っているの」と生徒たちに質問されて、追い越されないように先生方が現在N2に向けて猛勉強中です。生徒がいい結果を出すと、その生徒を教えた先生も勉強せざるを得なくなるといういい循環が始まりました。先生のレベルが高くなれば、生徒の日本語のレベルも上がるでしょう。楽しみです。それに、今年は11年生、来年は12年生も日本語が勉強できるようになりました。

 このように6年生から12年生までの7年間正式に日本語が教えられるようになったのですが、もっと下の学年、4年生からとか、それより下の学年から教えている学校もあります。また、正式な日本語の授業と平行して、ホビイ・クラスといって、クラブ活動のような授業で日本や日本語を教えるクラスもあります。

日本文化教育

 この国の初等・中等教育の日本語教育ではその中核に日本文化教育があります。日本語はやらなくても、日本文化は教えたいという学校も複数あります。こういう場合、日本文化とは何でしょうか。日本語を始める前の4年生や5年生でも学べる日本文化とは、12年生でも面白いと思う日本文化とは何でしょうか。現場の先生方にも、われわれ派遣専門家にとっても日本文化として何を提供するかというのは難しい問題です。最も広く行われているのが、折り紙です。そのほかにお習字とか、日本料理、ラッピング、いけばな、早口言葉などが授業で使われています。日本のアニメは生徒には大変人気があります。「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」はみんなが知っています。また、日本は科学技術の国と思われているので、ロボットなどの技術には関心が高いです。それだからでしょうか、日本語を取っている生徒に理系の生徒が多いと言われています。

 高等教育でも技術系のカレッジなどで日本語を導入するところが増えてきています。現在は年60時間くらいの授業しか行われていませんが、日本へ行ったときに会話ができるようにと学んでいるようで、日本語や日本になじんでもらえたら嬉しいです。

震災へのお見舞い

励ましのポスターの写真
励ましのポスター

 3月11日の東日本大震災に対して日本語学習者をはじめ多くの日本語や、日本と関係のあるかたがたから、そして、私たちの家の近くに住んでいる人、道を歩いていてたまたま行き会った人などからも、温かいお見舞いの言葉をいただきました。センターの入り口のところにも折り紙のグループが作った「ガンバレ日本!」と書いたポスターが貼られ、その前に日本語学習者たちが作った義捐金箱がおいてありました。こういうことが起こらなければ考えてもみなかったインドの人の優しさを感じさせられました。

 同時に震災後日本人が怒ったりも泣いたりもせずに、黙々と日常の仕事をやり遂げようとしている姿については、賞賛の言葉をいただいていますが、こういうことこそインドの子供が見ておくべきことだと初等・中等教育の先生方の間で言われました。思わぬところで、日本人の行動様式の一面を日本文化として示していると言えるでしょう。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, New Delhi
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
インドおよび周辺の南アジア諸国における日本語教育支援を目的としている。具体的な業務としては(1)インド国内およびバングラデシュ、ネパール、パキスタンなどでの教師セミナー、勉強会、コンサルティングなどを通じて日本語教師や日本語教育機関への協力を南担当、西担当と手分けして実施。(2)日本語弁論大会や学校行事への参加協力。(3)当センターにおける初等・中等学校の教師研修の実施。(4)初等・中等教育用の教材、試験問題の作成など、多岐にわたる。
所在地 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-IV, New Delhi, 110024, India
国際交流基金からの派遣者数 シニア専門家:1名、上級専門家:2名(西インド在駐1・南インド在駐1)、専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1999年

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