世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 新設 国立英語外国語大学 日本語学科の教師より熱心な学生!?

国際交流基金ニューデリー日本文化センター(南インド担当)
渡邊 由美

 南インド担当アドバイザーは、カルナータカ(州都バンガロール・カンナダ語)、アンドラプラデーシュ(ハイデラバード・テルグ語)、ケーララ(トリヴァンドラム・マラヤーラム語)、タミルナードゥ(チェンナイ(マドラス)・タミル語)の4つの州を担当しています。以前は、バンガロール大学日本語講座のあるバンガロールに配置されていましたが、2009年国立英語外国語大学(以下EFL-U)に専攻課程が設置されたため、2010年からは、このEFL-Uのあるハイデラバードに配置が換わりました。

国立英語外国語大学の写真

 さて、上記のように、南インドの主要言語(使用文字)はヒンディー語ではなく各州によって違っており、宗教・文化も違うのです。ですから、一口に「南インドでは、南インドの教師は、学習者は…」と言うことは、とても出来ません。が、インド全体において学習者も教師も「試験重視」、もっと言えば「実用性のある日本語能力試験(JLPT)の結果重視」であることは間違いないようです。インド全体の学習者が約18,000人(2009年現在)と言われ、昨年12月のJLPTでは、この1/3以上の約6,200人が受験しました。南インドのチェンナイとバンガロールだけで、2,300人もが受験したのです。

 では、ハイデラバードEFL-Uの話に戻りましょう。EFL-Uはインドで唯一の外国語大学であり、デリー大学、ネルー大学、ビシュラババラティ大学に次ぐ、4つめの国立大学専攻講座、南インドにおける最初の専攻講座として一昨年日本語講座が開講しました。EFL-Uの日本語講座では、現在5人の優秀な先生達が教えています。北インドデリー出身のリマ先生、東インドコルカタ出身ターリク先生、そして西インドプネ出身のニッシム先生と、南インドここアンドラプラデーシュ出身スルヤカント先生(日本留学中)、ケーララ出身のアルン先生です!何とバラエティに富んだ人材なのでしょうか。

 学生の特徴はというと、先日私も参加した歓送迎会では、40人以上の学生(1年生と2年生)のうち、何と女子学生は二人だけ。9割以上が男子学生なのです。一般的にインドの大学に女子学生が少ないとはいえ、日本語のコースでここまで男性が多いのは逆に珍しいことで、日本語教師も学生も女子が主流です。EFL-Uのこの現象については、理由は明らかではありません。「語学専門の大学」で日本語を学べることに、「就職や進学に直接結びつく」と、これまでの日本語講座以上に男子学生の注目が集まったのでしょうか。

 実は4月にこのハイデラバードに赴任したばかりの私は、まだEFL-Uでの担当授業を一度もおこなっていません。インドでは、一番暑いのが4月から6月にかけてなので、前期の授業は4月に終わってしまい、試験が終わり現在(2011年5月~8月初めまで)は夏休みなのです。他の先生もそれぞれの出身地へ帰っている中、私の携帯電話が鳴りました。先日会った学生の一人からで、「7月のチェンナイでの試験の準備がしたいです。本を貸してください!」というのです。 

 今度大学で会うことになりました。一度しか会っていない日本人の先生に連絡を取り、夏休みを返上してまで勉強したいという熱心な学生です!これから、彼のような暑い、いえ熱い学生の期待に応えられるよう、他の先生方と協力し合い、本格的なMAコースの準備に追われることになりそうです。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, New Delhi
派遣先機関の位置付け インドおよび周辺の南アジア諸国における日本語教育支援を目的としている。具体的な業務としては(1)インド国内およびバングラデシュ、ネパール、パキスタンなどでの教師セミナー、勉強会、コンサルティングなどを通じて日本語教師や日本語教育機関への協力を南担当、西担当と手分けして実施。(2)日本語弁論大会や学校行事への参加協力。(3)当センターにおける初等・中等学校の教師研修の実施。(4)初等・中等教育用の教材、試験問題の作成など、多岐にわたる。
所在地 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-IV, New Delhi, 110024, India
国際交流基金からの派遣者数 シニア専門家:1名、上級専門家:2名(西インド在駐1・南インド在駐1)、専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1999年

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