世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 西インド担当日本語アドバイザーとしての業務を終えて

国際交流基金ニューデリー日本文化センター(西インド担当)
田邉 知成

報告者は西インド担当日本語アドバイザーとして、マハラシュトラ州プネ市にあるティラク・マハラシュトラ大学に籍を置きつつ、プネ日本語教師連盟(JALTAP)、そしてマハラシュトラ州の州都ムンバイの日本語教師会(TAJ)と協力しながら地域の日本語の先生方のサポートをおこなってきましたが、ちょうどこの5月に4年間の任期を終え、帰国しました。本稿ではプネ、ムンバイの最近の日本語事情を紹介したいと思います。

報告者が籍を置かせてもらっていたティラク・マハラシュトラ大学では、2011年度から日本語専攻修士課程を立ち上げましたが、この3月に第1期生の修了試験がおこなわれ、無事6名の合格者を出すことができました。この6名には来年2月に西インドの教育機関としては初の日本語修士号が授与されます。6名のうち4名は3年制学士コースから進学した学生たちで、ティラク大学日本語コース立ち上げ支援として派遣された報告者にとっては4年間ずっと担当してきた学生たちです。かれらの修了試験まで立ち会うことができたことをとてもありがたく思っています。

JASCOP2013のようすの写真
JASCOP2013のようす

また、昨年のこのコーナーで紹介したプネの日本語教育機関の垣根を越えた日本語関連イベントJASCOP(プネ日本語ソングコンペティション)ですが、今年は各所からの資金協力も得ることができ、ついに参加対象を「All Japanese Lovers」とした完全公開イベントとして開催することができました。当日会場まで足を運べる人であれば、どこの学校に所属していても、また所属していなくても、学習時間が何時間でも、日本語を使って働いている人でも、日本語を知らない人でも、日本語で歌を歌ってみたい人ならだれでも参加できるようになりました。

2月におこなわれた大会には、結局14の学校、企業、そして個人から23グループの応募があり、そのすべての参加が認められました。参加者の中には特に日本語を採用しているわけではない高校の生徒さんや、遠くムンバイ近郊やアウランガーバード、サタラといったプネ市域以外からの参加もあり、会場は大いに盛り上がりました。このJASCOP、来年以降もたくさんの日本語愛好者が集うイベントとして、プネの町に根付いてくれるといいなと思っています。

ムンバイ教師会、セミナーのようすの写真
ムンバイ教師会、セミナーのようす

報告者はプネでの活動のほかに、同じマハラシュトラ州の州都ムンバイもほぼ毎月訪問し、日本語関連イベントに参加したり、日本語教師会TAJとともに教師セミナーを実施したりしてきました。定例となっている教師セミナーも、人数はさほど多くないものの、参加する先生方はみな熱心で、日本語の教え方や、敬語などの日本語の疑問点をテーマに、毎回楽しい時間を過ごすことができています。TAJの先生方による研究発表や訪日報告の時間もあったりして、教師会の活動は活発です。このような教師セミナーは4年間で23回を数えました。日本語教育の面では、学習者数その他でどちらかというとプネの後塵を拝してきたムンバイですが、最近は学習者数も増え、レベルの高い学習者も多く出てくるようになりました。

ムンバイには日本の領事館や日本人学校があり、そういった日本人団体のサポートを得られやすい環境にあります。教師会TAJ、領事館、日本人学校、日本人会の協力で開催されるムンバイ日本語文化祭も、毎年活況を呈しています。何と言ってもインド一番の大都市ムンバイ、今後の日本語教育界のさらなる発展を期待したいところです。

マハラシュトラ州、そしてお隣のグジャラート州を含む西インド地域は今後日本との産業連携が多く見込まれる地域です。これからもこの地域で多くの日本語学習者が生まれることでしょう。報告者も、数年後にまたこの地を訪問してみたいです。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, New Delhi
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ニューデリー日本文化センターより西インド担当アドバイザーとしてマハラシュトラ州プネに派遣され、西インドを対象地域としてアドバイザー業務を行う。具体的な業務は、現在事務所を置かせてもらっているティラク・マハラシュトラ大学日本語コースへの出講、担当地域の教師会と連携しての日本語教育セミナーの開催など。
所在地 5-A, Ring Road, Lajpat Nagar-IV, New Delhi, 110024, India
国際交流基金からの派遣者数 専門家1名、指導助手1名
国際交流基金からの派遣開始年 2009年

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