世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 西オーストラリア州の日本語教育(2004)

オーストラリア
西オーストラリア州教育省
永井和子

西オーストラリア州はオーストラリアの西約3分の1を占め、日本のほぼ7倍という大きな州で、人口は約185万人です。そのうち140万人が州都パースとその近郊に住んでいます。日本語学習は、初等、中等、高等教育機関で行われています。州内にある5つの大学のうち4つの大学には日本語コースがあります。

初等、中等教育では日本語を含むLOTELanguages Other Than English…英語以外の言語)は8つの必修科目の一つになっています。LOTEの中で日本語はイタリア語、インドネシア語に次いで3番目に学習者が多いです。2003年の教育省の調査結果では公私立学校をあわせると、日本語学習者は約3万9000人、学校数は247校、日本語教員数は200人あまりです。

右はSIDEのスタジオで、日本語教材を作成、撮影するメンバーたちの写真
右はSIDEのスタジオで、日本語教材を作成、撮影するメンバーたち

教師のいない地方の生徒のためにはSIDE(遠隔地教育センター)が衛星を使っていろいろな科目の通信教育を行っていますが、SIDEにも日本語教師のチームがあって、独自の教材を開発してビデオを通した授業をしています。このシステムで約450人が日本語を学んでいます。1学期に1回ほど、遠隔地に
遠征して実際に子供たちと交流しています。

日本語アドバイザーは教育省で唯一の日本語教育スタッフで、仕事は多岐にわたっています。主な仕事をいくつか紹介します。

日本語教師サポート

先生のための会話クラス:生徒もそうですが、教師も日本語を使う機会がほとんどないので、週1回会話クラスを開いています。日本で人気のある歌を聞いたり、話題になっていることについて話したりします。
会話を楽しむだけでなく、教材研究やネットワーク作りの場にもなっています。

ニュースレターの発行、発送:各学期の初めに(年4回 )「こんにちは」というニュースレターを発行して、日本語教育を行っている全ての初等、中等教育機関に発送しています。内容は教材紹介、セミナーやワークショップの案内や報告、教師の実践報告やアイディアの紹介、日本語日本文化関係のウェブサイト、イベントや会話クラスの案内などです。広い西オーストラリアの全ての学校を訪問することは難しいですが、ニュースレターは送ることができます。楽しみに待ってくださる先生方がいるのはとても嬉しいことです。

じゃんけんをして自己紹介ゲームをしているハーベイ高校の8年生。の写真
じゃんけんをして自己紹介ゲームをしているハーベイ高校の8年生。

学校訪問:教師からの要請で、学校訪問をします。訪問校の教師と一緒に日本文化を楽しむゲームをしたり、生徒と会話をしたりします。勉強している学習項目にあったアクティビティを準備していって、やってみたりもします。日本の音楽を一緒に聞くこともあります。準備したアクティビティに生徒たちが真剣に取り組んでくれたり、そのアクティビティを先生に喜んでいただけたりすると、やりがいを感じます。SIDEの先生と一緒に遠隔地の学校に行くこともあります。

日本語教育セミナー、ワークショップの企画運営:日本語教師といってもレベルはまちまちです。2003年は経験の浅い教師を対象に2日間のセミナーを開きました。対象を絞ったために、効果的なセミナーになりました。

その他:電話、FAXE-mailなどで寄せられる問い合わせや質問に応じます。

日本語・LOTE教育促進のイベントの企画運営

ひらがな/かたかなコンテスト:有志の先生方と委員会を作り、1年生から12年生までを対象にカルタ、しりとりブック、絵カードなどのコンテストを行っています。昨年は68点の応募がありました。

外国語映画祭:教育省が8月に行うNational Language Weekに合わせてLOTEの主要六言語(イタリア語、インドネシア語、日本語、フランス語、ドイツ語、中国語)の映画を上映しています。映画館との交渉、映画の選択、広報、切符の販売まですべてフランス語のアドバイザーと二人でやっています。とても大変な仕事ですが、日本語、日本文化はもとよりLOTE全体の広報活動として大きな役割を果たしていると思います。

その他:多文化絵本コンテスト、各地方で行われる日本語を含むLOTEプロモーションイベントを支援します。

今後の展望:大学で日本語を勉強し、在学中に交換留学などの機会を得て、日本に留学した、若い日本語の教師が増えつつあることは明るい展望だと思います。このような新進の教師たちは国際交流基金の教師研修に積極的に参加して教授法を学び日本語の力を磨こうという意欲に燃えています。これからの彼らの力に期待したいと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
専門家の所属するカリキュラム指導課は 州内の公立初等中等教育機関のカリキュラムに関わる政策を実施する部署である。11の科目があり専門家の属するLOTE(英語以外の言語)もそのひとつである。現在西オーストラリア州ではインドネシア語、中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、日本語が選択できるようになっている。LOTEカリキュラム指導課はどの学校でどの言語が選択できるかを把握してホームページ上で公開している。国際交流基金からの専門家は1998年から継続して派遣されている。
ロ.派遣先機関名称 オーストラリア西オーストラリア州教育省
Department of Education and Training of Western Australia
ハ.所在地 151 Royal Street、 East Peth、 WA 6004 Australia
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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