世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) カリキュラム変革の嵐のなかで

オーストラリア
タスマニア州教育省
友岡純子

ELsEssential Learnings

タスマニアの教育の現場では、現在、新しいカリキュラム「エッセンシャル・ラーニングス」導入に向けて全てが動いている。幼児教育から義務教育最終年の10年生までの総合的なカリキュラムで、ひいては職業教育、生涯教育までを視野に入れた壮大な構想だと言える。公立学校では2008年の完全実施まで評価方法も段階的に切り替えていくことになっていて、既にあちこちの学校で、新カリキュラムに基づいた授業と評価が試みられている。ELsは五つの必須学習項目からなる。「考えること」、「他とコミュニケートすること」、「個人の未来」、「社会的責任」、「世界の未来」の五つである。この、五本柱にはそれぞれ二つから四つのキー・エレメントが設定されていて、教師は、このエレメントを生徒が達成するべく、自分の授業を組み立て実践し評価することになる。当然のことだが日本語教師もまた、この枠組みの中で授業することになる。日本語を学習することが、どのELのどのエレメントに、どうかかわっていくのかを具体的な授業を通して示すことが、日本語教師には、ひいては日本語アドバイザーには求められている。公教育のなかの日本語教育は、日本語を教えるという以上に、現地のカリキュラムに示された全人教育の一環としての日本語教育なのである。

アドバイザーの独り言日記

○月△日

自作の教材を使って実験授業する筆者の写真
自作の教材を使って実験授業する筆者

今日は小学校でNative Animalsという授業をやってみたけど、子供たちは本当に楽しそうだった。子供は動物が大好きだからなあ。日本とオーストラリアのNative animalsを比較するのに、日本のNative animalってなんだろうと、考えちゃった。そういえば、Native animalという概念が日本ではあまりないものな。問題はこの授業の中でどう日本語を入れていくかだけど・・・。

×月◎日
もうすぐ高校の先生たちのセミナーだというのに、今日は二人の先生が出席できないと言ってきた。いろいろな行事が重なって授業を補講にすることができないらしい。何度もアンケートをとって一番都合のいい日を選んだはずなのに・・・・。会場の手配もプログラムの準備もここ一ヶ月はてんてこ舞いしたのに・・・・。ま、仕方ない。みんな忙しいんだから。参加人数の問題じゃあない。中身だ!セミナーの企画と実施はホント胃が痛む思いなのに・・・・。
◎月☆日

教師研修会で、筆者の作った「日本語学習者用―棒縛り」を演じる日本人アシスタントの写真
教師研修会で、筆者の作った「日本語学習者用―棒縛り」を演じる日本人アシスタント

小学校の先生が、学期の終わりのイベントにおにぎり作りをしたいと言ってきた。全クラス合計150個以上のおにぎり作りの手伝いに行かなきゃ。やれやれ。でも、子供たちと何か食べ物を作るのは楽しい。みんながわくわくしていると、こっちもわくわくしてくるからね。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
タスマニア州教育省は、公立初等・中等教育、図書館・教育関係情報サービス、専門学校・職業訓練校、教育査定・証明等の教育業務を運営する州政府機関である。国際交流基金からの専門家は1998年から現在まで継続して派遣されている。アドバイザーは、日本語教師の語学レベルの維持へのサポート、教材・資材に関する助言、勉強会・セミナー・ワークショップ開催による学習機会の提供、Tasmanian Certificate of Educationテスト問題文作成、Newsletterを発行して教師のネットワーク作りなどを行っている。
ロ.派遣先機関名称 オーストラリア・タスマニア州教育省
Department of Education, Tasmania
ハ.所在地 Letitia House, Olinda Grove, Nt. Nelson, Tasmania
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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