世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ニュージーランドの日本語アドバイザー(2006)

ILANZ(アイランズ)ニュージーランド・アオテアロア外国語教育
茅本百合子

 ニュージーランドには、現在1名の日本語教育専門家が、日本語アドバイザーとして派遣されています。2005年末まで2名の日本語アドバイザーがいましたが、2006年からはアドバイザーは一人になりました。

 アドバイザーの受入機関はInternational Languages Aotearoa New Zealand (ILANZ)という機関で、「アイランズ」と呼ばれています。ILANZは初等・中等教育の中での外国語教育支援と外国語教師の研修プログラムを教育省から請け負っています。教育省と連絡を密にとるため首都のウェリントンにあります。ここには他言語のアドバイザー(フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語)も所属しています。

 日本語アドバイザーの業務は、主なものとして以下のものがあげられます。
1. 全国の小・中・高等学校訪問
2. 研修会の企画・開催
3. ニュージーランド全国語学教師会等主催の研修会への参加
4. 他言語のアドバイザーや、教育省関係者との会議
5. 日本大使館や総領事館、日本関係諸団体との協力
6. 日本語・日本関係の情報提供と問い合わせへの返答
7. 日本語能力試験の促進

ワイメア・カレッジの日本語クラスの写真
ワイメア・カレッジの日本語クラス

ネルソン・カレッジ・フォー・ガールズの日本語クラスの写真
ネルソン・カレッジ・フォー・ガールズの日本語クラス

 学校訪問時に、アドバイザーは教師の実際の教育現場を見学し、生徒と一緒にクラス活動に参加します。ニュージーランドでは400校以上の学校で日本語を教えています。任期中にすべての学校を訪問できないとしても、できるだけ多くの先生たちの現場に行って、支援を続けたいと思っています。学校訪問は日本語教師を支援するだけでなく、その学校全体に日本語教育の価値を理解・認識してもらうという意味もあります。名刺を用意しておき、校長や教頭先生たちとお話しをするときに配るだけでなく、他の主要な先生がたにも渡し、日本語教育をアピールします。

 また、アドバイザーは、弁論大会や、ロールプレイ大会の審査員にもなります。このような大会は地元の先生たちが集まって開催するものです。外部から審査員を、という必要性もありますが、アドバイザーにうちの生徒たちを見せたい、という思いが伝わってきます。

 ニュージーランドでは各地域に日本語教師会があり、年に1,2回、会合をしています。また、地域のアドバイザー主催の勉強会も年に2,3回あります。集まった教師は、発表を聞いたり、ワークショップをしたり、自作の教材を交換したりします。このような会合は参加者同士が知り合い、新しい知識を得、またその知識を分かち合うのに最適の場となります。

 しかし、一方で、地方の学校にはたった一人で日本語を教えている先生たちも多くいらっしゃいます。定期的な会合も車で2.、3時間以上かけて行かねばならず、夕方の会合などなかなか出席できません。そういう先生方をアドバイザーは訪ねていって、さまざまな情報交換をします。

 2005年のニュージーランドの日本語能力試験受験者数は494人でした。国際的に通用するこの資格は、ニュージーランドではまだ十分に普及・理解されていないのが実情です。ニュージーランドは日本語教育が学校教育の中で盛んで、約2万人の高校生が日本語を学習していますが、能力試験を受けるのはごくわずかです。日本語能力試験は、出来るかぎり多くの学習者に受験してもらいたいと思います。アドバイザーは高校生だけでなく大学生や日本語教師にも受験を勧めています。

 アドバイザーは学校訪問や研修会で全国を回りますが、それ以外は、ウェリントンのオフィスにいます。学校訪問の日程調整、教師向け・高校生向けのニュージーランド内外での研修会の準備、ニュースレターの発行、教材作成と編集、教材や人材に関する問い合わせへの回答などをしています。自分の担当するワークショップの準備や国際交流基金本部への現地業務活動報告もあります。

 ニュージーランドのアドバイザーは、今後も各地の日本語教師との連携を深め、日本語教育の促進と内容の向上に努力していくことが大切だと思います。

 ニュージーランドの日本語教育についてのさらに詳しい情報は、以下のウェブサイトをご参考ください。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ニュージーランド・アオテアロア外国語教育(ILANZ=アイランズ)は、NZ教育省からの業務委託を受け、外国との教育関係交換プログラムの運営、初等中等教育機関の外国語教師の支援等を行っている。ここには現在、ナショナルアドバイザーと呼ばれるドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語、日本語教育の専門家が各1名から2名所属している。ナショナルアドバイザーは教育省の言語教育アドバイザーや地域ファシリテーターと協働するともに、NZの初等中等教育機関を訪問したり、研修会を開いたりして、教師への支援を続けている。
ロ.派遣先機関名称
ILANZ (International Languages Aotearoa New Zealand)
ハ.所在地 Level 15, 111 The Terrace, Wellington
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名

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