世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 永遠に平和な国ブルネイの日本語講座

ブルネイ教育省技術教育局
新田洋子

東南アジアの王国ブルネイ

 ブルネイという名前を聞いて、どこにある国なのか、場所が思い浮かぶでしょうか?ブルネイはマレー半島とフィリピン諸島の間に位置する、ボルネオ島にあります。人口約35万の王国で、以前はイギリスの保護領でしたが、1984年に独立しました。国土は南シナ海に面した長さ160kmの海岸線と、東マレーシアのサラワク州との国境線に囲まれています。面積は三重県とほぼ同じで、その大部分が熱帯雨林に覆われ、珍しい動植物が生息する自然豊かな国です。そして、豊富な石油と天然ガスのお蔭で、所得税もなく、福祉が行き届いた国となっています。ブルネイの正式名称はNegara Brunei Darussalam、「永遠に平和な国ブルネイ」という意味で、その名の通り静かな治安の良い国です。国民に慕われる国王のもと、人々は高い生活水準の暮らしをしています。

生涯教育の場

生涯教育課の建物の写真
生涯教育課の建物

 ブルネイは子弟を塾に通わせている家庭が多く、教育熱心な国です。一般社会人も習い事をしている人が結構いると思います。そんなブルネイの人たちのために、教育省は生涯教育の場を提供しています。その運営にあたっているのが教育省技術教育局生涯教育課で、語学講座をはじめとして、商業関係の講座、料理・服飾・手芸の講座、進学試験の準備講座などを開講しています。

 ブルネイで日本語教育を行っている機関は僅かです。2004年は3機関だけでした。その内、一般社会人が日本語を学習できる場はブルネイ大学の夜間成人講座と生涯教育課講座の2箇所だけです。生涯教育課の講座は場所が街の中心に近く、授業料も大変安く(年間二、三千円ほど)、誰でも気軽に参加できる講座です。

ボランティア講師の協力

ボランティア講師による授業の写真
ボランティア講師による授業

 生涯教育課が開講している講座で、授業をしているのは外部からの非常勤講師です。日本語講座でも授業を担当するのは国際交流基金派遣の筆者だけで他に日本語の講師はいません。現在日本語講座には4つのレベルがありますが、今年は二人のボランティアの協力を得て、週1回だった授業を2回ずつに増やすことができました。二人とも教育現場での経験が長く、其々の特性を生かした授業をしてくださっています。

日本語講座の受講者

 日本語講座は1986年に始まり、約20年間続いています。近年は100名ほどの新規登録者を毎年迎えています。受講者は一日の仕事を終えてから講座にくる社会人が主ですが、学生や主婦もいます。仕事が忙しくなった場合、また学生は学校の試験期間中、どうしても日本語クラスを休みがちになってしまいます。暫く休んでしまうと来にくくなるのか、そのまま受講を止めてしまう人が多く、登録者は大勢いても、終了試験まで続ける人は多くはありません。

 ブルネイでは日系企業も少ないですし、日本からの旅行者を見かけることもあまりありません。教室以外で日本語を使うことはまれです。日本語を勉強しても、実利に繋がることはまずありません。日本への興味や、日本語そのもののおもしろさに引かれて、日本語学習を始める人が多いようです。余暇の時間を使っての日本語学習なので、進度は非常にゆったりとしたものになり、レベルもなかなか向上しません。それでも、毎年多くの登録者があり、また何年も日本語の勉強を続けている人がいます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
ブルネイで社会人が日本語を勉強できる機関は教育省技術教育局生涯教育課の日本語講座とブルネイ大学ランゲージセンター内の日本語講座の二つしかない。教育省の講座は社会教育事業の一環として一般社会人のために開講されているので、授業料が非常に安く、誰でも気軽に日本語学習ができる場となっている。生涯教育課講座には現地日本語講師はいないので受講者に直接授業をすることがブルネイでの主な業務である。2005年はボランティア日本語講師の協力を得て、授業を行っている。また、生涯教育課の講座とは別に、公立学校の一つに課外活動として開講された日本語クラスの授業も担当している。
ロ.派遣先機関名称 教育省技術教育局
Department of Technical Education, Ministry or Education
ハ.所在地 BlokJ、Simpang 347, Jalan Pasar Baru, Gadong, Negara Brunei Dalussalam, BE1310
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
生涯教育課日本語講座
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1986年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1987年
(ロ)コース種別
日本語1,2,3,4
(ハ)現地教授スタッフ
現地教授スタッフは無し、ボランティア2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   日本語1:125名、日本語2:29名、日本語3と4:各16名
(2) 学習の主な動機 趣味、日本と日本語への興味
(3) 卒業後の主な進路
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力検定4級を受験可能な程度。それ以上の受講者も有り。
(5) 日本への留学人数 なし

ページトップへ戻る