世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ブルネイ日本語教育概観

ブルネイ教育省
新田洋子

日本語教育機関

授業風景の写真
授業風景

 ブルネイで日本語教育が行われている機関には筆者が所属する教育省技術教育局生涯教育課の日本語講座のほかに、ブルネイ大学のランゲージセンターがあります。そこでは二種類の講座が開かれています。一つはブルネイ大学の学生向けの講座で、選択外国語の一つになっています。もう一つは一般社会人向けの講座で、これは夜間開講されています。学生対象の日本語講座は2001年から、夜間一般講座は2003年から始まり、受講者は学生、一般社会人をあわせ100名を越えます。

 生涯教育課日本語講座は歴史が古く、開講以来約20年になります。対象は15歳以上の一般成人で、夜間のクラスです。ここでも新規登録者数は100名を越えます。

 その他にマクタブ・サインスというセカンダリー・スクール(小学校卒業後に入る7年制の中等教育の学校)の課外活動のひとつとして日本語クラブがあり、約50名の学生が日本語を勉強しています。

 ブルネイには日本の車や電気製品が多数輸入されています。また日本の音楽やアニメはブルネイの若い人たちに大変人気があります。日本の科学技術、そして、音楽やアニメなどから日本に興味を持ち、日本語学習を始めるという人が多いです。最近は日本へ留学したいと言う高校生の声を聞くことも稀ではありません。夜間一般講座の受講者は若い人たちばかりではなく、仕事を持った社会人、そして主婦など様々です。

日本語の講師

 ブルネイで日本語教育に携わっている講師は今のところ極少数です。ブルネイ大学では専任の講師が一人で昼間の学生向けの講座と、夜間の一般講座を担当しています。そして、生涯教育課には筆者とボランティアの講師がいるだけです。日本語を教える場が少ないのですから、当然講師も少数ですが、現在、生涯教育課の講座で日本語を勉強しながら、日本語入門のクラスで教え始めた人がいます。日本語を学ぶだけではなく、教えることにも意欲を持つ人たちが出てくるのはうれしいことです。将来は、ブルネイで日本語を勉強した人たちが主となって、ブルネイの日本語教育ができるようになればと願っています。

日本語関連行事

弁論大会会場の写真
弁論大会会場

 ブルネイで日本語関連の行事と言えば弁論大会です。日頃の学習の成果を発表する機会の少ないブルネイの日本語学習者にとって、弁論大会は貴重な発表の場となっています。弁論には生涯教育課とブルネイ大学の日本語講座の受講者が参加しています。日本語学習期間によってビギナーとアドバンスの二部門に分かれ、例年10名前後の出場者が各部門でスピーチをしています。日本語学習を始めるきっかけがアニメということを反映してか、昨年はスピーチのテーマにアニメを取り上げる出場者が多く、優勝したスピーチも「アニメ」でした。

 弁論の審査が行われている間、マクタブ・サインスの日本語クラブの学生たちが日本語の歌と劇を披露し好評でした。学生たちが演じた日本語劇はブルネイの人なら誰でも知っているブルネイの歴史の一こまを劇にしたものです。

日本語能力試験

 今までに日本語能力試験を受験したことがある人は、ブルネイでは多くありません。というのは、ブルネイ国内では試験が行われていないからです。昨年の試験では、生涯教育課の学生たちがお隣の国マレーシアまで受験に行きました。試験の時間帯と飛行機のスケジュールの関係で、2泊3日の受験旅行となりました。初めての受験、しかも外国でという状況だったので、皆とても緊張したそうです。しかし、今度は次の級を受験したいと張り切っています。能力試験が日本語学習の具体的目標の一つになったようです。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
ブルネイで日本語教育が行われている機関は非常に少ない。その中で社会人が日本語を勉強できる機関は教育省技術教育局生涯教育課の日本語講座とブルネイ大学ランゲージセンター内の一般向け日本語講座の二つしかない。教育省の講座は社会教育事業の一環として一般社会人のために開講され、授業料が安く、誰でも気軽に日本語学習ができる場となっている。主な業務は生涯教育課日本語講座受講者に直接授業をすることであるが、生涯教育課の講座の他に、公立学校の一つで課外活動として始まった日本語クラブの授業も担当している。
ロ.派遣先機関名称 教育省技術教育局
Department of Technical Education, Ministry or Education
ハ.所在地 BlokJ、Simpang 347, Jalan Pasar Baru, Gadong, Negara Brunei Dalussalam, BE1310
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
生涯教育課日本語講座
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1986年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1987年
(ロ)コース種別
日本語1,2,3,4
(ハ)現地教授スタッフ
ボランティア講師3名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   日本語1:135名、2:51名、3:12名、4:21名
(2) 学習の主な動機 趣味、日本と日本語への興味
(3) 卒業後の主な進路
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験4級程度。それ以上の受講者も有り。
(5) 日本への留学人数 なし

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