世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) カンボジアの国づくりを支援する

カンボジア日本協力センター(CJCC
市瀬俊介

1.日本センターとは?

 日本センターは旧社会主義諸国の市場経済化促進を目的として、これまでベトナム、ラオス、モンゴル、カザフスタン、ウズベクスタンなどに設置されてきました。活動の柱は「ビジネス界の人材育成」「日本語教育」「交流事業」の3つ。JICAプロジェクトですが、日本語教育の部分は国際交流基金派遣専門家が受け持つなど、オールジャパンの体制でのぞんでいます。

 カンボジア日本協力センター(CJCC)は2004年4月、プノンペン大学をカウンターパートとしてプロジェクトを開始。現在は同大学外国語学部に間借り中ですが、予定では今年11月に大学敷地内にセンターが完工、いよいよ本格的な活動が開始されます。

2.カンボジアという国

プノンペンの街角の写真
プノンペンの街角

 カンボジアの歴史は1975年クメール・ルージュの政権掌握によって暗転します。毛沢東の文化大革命に感化され、それをより激烈なかたちで実現してしまったポルポト派は極端な農本主義・共産主義を実行し、都市生活者を地方に連行、強制労働と恣意的な処刑により、ベトナム軍が介入するまでの3年間で推定200万の自国民を虐殺したといわれています。その後も内戦が続きます。国土は幾千幾万の地雷の巣となり、かつて「インドシナのパリ」とうたわれた美都プノンペンも荒廃しました。

 何より深刻なのは、知識と学校を否定したクメール・ルージュがインテリ層を集中的に抹殺したため、学術・教育が崩壊、国づくりをになうべき人材が失われてしまったことです。その結果「アセアンの最底辺国」に転落したカンボジアは今も混迷にあえいでいます。

3.カンボジアで日本語を学ぶ人たち

 カンボジアで日本語教育が本格的に始まったのは、1993年UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)が任務を終了して内戦が完全に終結してからのことです。プノンペン大学、国立経営大学、王立法律経済大学と首都プノンペンの主要大学が青年海外協力隊日本語隊員を受け入れ、世界遺産アンコールワットのあるシェムリアップでもガイド養成のための日本語学校が次々と開かれました。

 国際交流基金の調査(2003年)では、カンボジアで日本語を学ぶ人の数は約2,300人。旧宗主国のフランス語はすでに過去のことばとなり、日本語は今や英語に次ぐ外国語となりました。

 しかし、カンボジアはJICANGOなど日本のプレゼンスが大きいわりに日系企業の進出が低調、日本に留学できる人数も限られていて、プノンペンではせっかく日本語を勉強してもそれを生かす道がきわめて少ないのが実情です。それに加えて、カンボジア人教師のレベルがあまりに低く、時には教師が初級学習者をかねるというようなこともめずらしくないため、いくら勉強しても上達せず、日本語ブームにも多少かげりが見えてきたとも言われています。

4.CJCC日本語コースのこれからの活動

教師養成コース授業風景の写真
教師養成コース授業風景

 上記の事情から日本語コースでは現在「教師養成コース」を開講中。私のカウンターパートを含め8名の現役日本語教師が1年間日本語教育の理論と実践を学んでいます。

 ただ、教員養成については、将来的には、プノンペン大学外国語学部に今年開設される日本語学科が担っていくことになりますので、CJCCとしてはより社会に開かれた形で、JICAの他のプロジェクトやNGO、観光局など諸省庁、日本の大学との連携を通して、留学・研修を促進し雇用の拡大をはかりながら日本語のすそ野を広げてゆく方針です。

 もう一つ、私たちがとりくんでいる活動に翻訳事業があります。児童書を中心に日本語からクメール語に翻訳して出版してゆこうという試みで、カンボジアの貧困な出版文化に刺激を与えて読書人口の拡大をはかり、同時に日本語コース修了者のための仕事を創出するという二つの目的があります。パイロットケースとして児童書2点『だれも知らない小さな国』と『ふたりのイーダ』の翻訳出版権を講談社より取得、現在「翻訳グループ」を組織して翻訳にあたっています。

 CJCCはさまざまな情報の発信基地となり、カンボジアの国づくりを支援します。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
日本センターは旧社会主義諸国の市場経済化を促進するためのJICAプロジェクト。CJCCはプノンペン大学をカウンターパートとする。「ビジネス」「日本語」「相互交流」を三つの柱とし、国際交流基金派遣専門家は「日本語コース」の運営を指導する。
ロ.派遣先機関名称 カンボジア日本協力センター(CJCC
ハ.所在地 RUPP, Blvd.Confederation of Russia, Phnom Penh, CAMBODIA
ニ.国際交流基金派遣者数 1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
CJCC日本語コース
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2004年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2004年
(ロ)コース種別
(ハ)現地教授スタッフ
2名
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   「教師養成コース」8名、「中級I」25名、「1級対策」13名
(2) 学習の主な動機 日本企業への就職、留学希望など
(3) 卒業後の主な進路
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
(5) 日本への留学人数

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