世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 船出するCJCC

カンボジア日本人材開発センター(CJCC
市瀬俊介

カンボジア日本センター(CJCC)の写真

 カンボジア日本センター(CJCC)は2年近い準備期間をへて、2006年2月開所式を迎えました。プノンペン大学のキャンパス内に設置されたセンターは多目的ホールや和室を備え、ロビースペースの広々とした空間と中庭の合歓の緑が印象的です。オープニングセレモニーにはフンセン首相のほかマハティール元マレーシア首相も招かれ、2020年の先進国入りを目ざすアセアンの先人として「ルックイースト」の理念を満員の聴衆に伝えました。

 日本センター計画は旧社会主義国家の市場経済化促進とそのための人材育成が趣旨。すでにベトナム、ラオス、モンゴル、それにカザフスタン、ウズベキスタンなどの旧ソ連圏で活動を開始しています。JICAプロジェクトですが、「日本語コース」は国際交流基金の専門家が担当するなどオールジャパンの体制でのぞみます。

 さて、カンボジアの日本語教育ですが、一時のブームは去り、伸張著しい中国語や韓国語におされている状況です。これは中国・韓国企業のさかんなカンボジア進出に較べて日系企業の進出が依然として低調なことが原因の一つです。CJCCのビジネスコースでも投資を呼び込もうと人材育成など下地づくりに力をいれているのですが、日本企業はどうしてもリスクの高いカンボジアを避けベトナムへ流れてしまうようです。

オープニングセレモニーの写真

 カンボジアの日本語学習者の大半は大学生などの若い世代で、彼らは日本・日本語とつながることで自分たちの将来を少しでも明るいものにしようと苦闘しています。CJCC日本語コースはこうした状況の中で、学習者の未来を拓くためのコースづくりを心がけています。「留学支援」はその大きな柱で、留学希望者のための特別クラスをもうけて奨学金や日本の大学についての各種情報を提供するほか、日本の新聞社と連携して「新聞奨学生」の送出を現在模索中です。これは少子化の影響から新聞配達員の確保・宅配サービスの維持が困難になりつつある新聞社側と、経済的理由から日本留学のチャンスに恵まれないカンボジア学生双方の事情がかみ合ったプロジェクトで、軌道にのれば毎年50名もの学生が続々と日本の大学で学ぶ機会をえることになります。

 CJCCには日本のNGOや地方自治体からのスタディツアーが頻繁に訪れます。特に広島とは縁が深いようで、今回もそのつながりで広島市立大平和研究所の方に「復興」をテーマに講演をお願いしました。集まった学生たちは核兵器のむごさに息をのみながらも、広島の人々の目ざましい復興努力に深い感銘を受けていたようです。日本語コースでも児童向けのファンタジーですが原爆をテーマにした『ふたりのイーダ』(松谷みよ子著)をクメール語に翻訳し出版する作業が進んでいます。

 CJCCはこうしたさまざまなセクターの活力を生かしネットワークを広げアイデアを持ち寄って、「人と文化と情報の往来するセンター」を目標にカンボジアの国づくりを支援していきたいと考えています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
日本センターは旧社会主義国の市場経済化を促進するためのJICAプロジェクト。CJCCはプノンペン大学をカウンターパートとする。「ビジネス」「日本語」「相互交流」を三つの柱とし、国際交流基金派遣専門家は「日本語コース」の運営を指導する。
ロ.派遣先機関名称 カンボジア日本人材開発センター
Cambodia-Japan Cooperation Center (CJCC)
ハ.所在地 RUPP, Blvd.Confederation of Russia, Phnom Penh, CAMBODIA
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名  指導助手:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
CJCC日本語コース
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2004年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2004年
(ロ)コース種別
(ハ)現地教授スタッフ
常勤3名、非常勤5名(うち邦人3名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   「RUPP学生コース」「中級I」「教師養成」などに約200名
(2) 学習の主な動機 日本企業・NGOへの就職、留学
(3) 卒業後の主な進路
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
(5) 日本への留学人数

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