世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 日本語いかして、国を発展

カンボジア日本人材開発センター
石田英明

「私は日本文化、日本人、つまり 日本のことを知りたいですから、CJCCで日本語を勉強することにしました。」

 これはCJCC中級Iコースを修了したピセットさんのスピーチの一部です。CJCCとは「カンボジア日本人材開発センター」のこと。JICA(独立行政法人国際協力機構)と王立プノンペン大学との共同プロジェクトで2004年に始まった日本センターです。センターはビジネスコース、日本語コース、交流事業を三本柱として活動しています。2010年4月23日、このCJCCの多目的ホールにおいて、日本語コースとビジネスコース合同で修了証書授与式が行われました。日本語コースからは修了生2名が代表としてスピーチを行い、その一人がピセットさんだったのです。ただ、カンボジアの日本語学習者の主要な学習動機は、ピセットさんのような人でも「留学」や「仕事」など実利目的に、まだまだ大きく偏っています。他国で見られる日本のポップカルチャーから入る日本語学習者は、非常に少ないのが特徴です。

CJCCの図書館に日本語にかんする本がたくさんありますので、日本語が好きな私にとってとても便利です。」

修了式でスピーチするピセットさん、ブティナーさんの写真
修了式でスピーチするピセットさん、ブティナーさん

 CJCCの図書館は日本に関する本やDVDを多く取り揃えており、CJCCの受講生だけでなく、日本に興味を持つカンボジア人、日本人や外国人が集まる場所になっています。CJCC日本語コースでは初級から中級IIまでの定期コースのほか、ビジネス日本語コースや教師養成コース、日本語能力試験対策コースなど多様なコースがあり、昨年度は延べ220人以上が学びました。ここでの日本語教育専門家の役割は、コース運営アドバイスのほか教師ブラッシュアップ、新コースやイベントの企画、実際の授業担当など多岐にわたります。

「日本のビジネスにとって大切な敬語の使い方とマナーも学んで、本当に役に立ちました。このコースで勉強したことで、自分はよく成長したと思います。」

「現在私はUCという大学で国際関係を勉強しています。・・・将来カンボジアの外務省で国際関係に関係がある仕事をすることで日本語をいかそうと思っています。」

 こうスピーチしたのは二人目の発表者、ブティナーさんです。ブティナーさんは「ビジネス日本語コース」に参加しました。カンボジアの日本語学習者は約3000人、日本語教育は他国に比べるとまだ始まったばかりだと言えますが、中級終了者も徐々に増え始めています。一方で、長らくほとんど進出してこなかった日本企業も、最近増え始める兆しが感じられます。これまで内戦の影響でなかなか思うように発展できなかったカンボジア。未だに基礎教育などで問題は山積していますが、若い世代は確実に育ちつつあります。

 修了証授与式でスピーチをした二人は、現在「中級IIコース」で肩を並べて勉強しています。ピセットさんはスピーチをこう締めくくりました。

初級の授業風景の写真
初級の授業風景

「カンボジアと日本の友好は永遠になりますように。」

 カンボジアの発展に、日本の果たす役割は様々あります。その中の一つとして「日本語教育」が存在します。CJCCでの日本語教育専門家は現在8名の日本語教師(カンボジア人日本人含め)とともに、将来この国を支える若者を育てるために日々努力を続けています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
Cambodia-Japan Cooperation Center (CJCC)
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
カンボジア日本人材開発センターは王立プノンペン大学の一機関。市場経済化促進のための人材育成およびカンボジアと日本の相互理解を深めることを主な目的とし、JICAが支援している。センター事業の中心はビジネス、日本語、相互交流の3コース。日本語コースの業務は、1)初級~中級の定期コースの運営、ビジネス日本語など特別コースの企画・運営、2)日本語教育セミナーなど各種イベント実施、3)その他の事業(翻訳・出版ほか)など。
所在地 Blvd. Confederation of Russia, Khan Tuol Kork, Phnom Penh, Cambodia
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2004年

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