世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)CJCC日本語コースの取り組み

カンボジア日本人材開発センター
小嶋香織

カンボジアはインドシナ半島に位置し、ベトナム・ラオス・タイと国境を接する人口約1500万人の国です。首都プノンペンではビルの建設が進んでおり、街はいつも活気にあふれています。国の発展にともないカンボジアの日本語教育においても、将来を担う人材、例えば仕事や留学に必要となる日本語能力を持った人材の育成が急がれています。私の派遣先であるカンボジア日本人材開発センター(以下、CJCC)は、ビジネス人材育成,日本語教育,相互理解事業を3つの柱とし、日本とカンボジアの協力によって運営されています。ここでは、CJCCにおける日本語教育の取り組みの一部をご紹介します。

1.CJCC学生スピーチ大会

CJCC学生スピーチ大会の様子の画像
CJCC学生スピーチ大会の様子

毎年1回、日本語講座の受講生によるスピーチ大会を行っています。先輩の部、後輩の部と分かれており、初級から中級までのすべての学習者に出場のチャンスがあり、日ごろの日本語学習の成果を発揮する場でもあります。今年は3月18日に開かれました。見事優勝を勝ち取ったスピーチのタイトルは「仕事」(先輩の部)、「ご飯」(後輩の部)でした。どちらのスピーチも日常生活の1コマに焦点を当て、自分が伝えたい思いをうまくまとめて発表していました。今後もCJCCでは、このスピーチ大会のように学習者が「CJCCで日本語を学んでよかった」と思える取り組みをたくさん取り入れたいと思っています。

2.オープニングセレモニー(開講式)

CJCCは、毎年4月と9月に新学期が始まる2学期制となっています。学期の初日は、CJCC内にあるAngkor-Kizuna Hallという大きな会場でオープニングセレモニー(以下、開講式)が行われています。今年から、この開講式の場を借りて専門家として派遣されている私が、国際交流基金(以下、基金)の取り組みや、基金の日本語講座、コースブック『まるごと』についてご紹介しました。カンボジアだけでなく、世界の様々な国で『まるごと』を使って学ぶ“仲間”がいるということを、ぜひ受講生のみなさんに知っていただくことも大切な取り組みの1つです。

3.『まるごと』中級クラスを紹介

まるごと6クラスの風景の画像
まるごと6クラスの風景

2017年4月開始学期のレギュラーコースは『まるごと入門』から『まるごと中級2』まで、7つのレベルのクラスが開講されており、全部で436名の学習者がCJCCで日本語を学んでいます。ここでは、その中の1つ「まるごと6」のクラスをご紹介します。このクラスは、週2回(火曜日・木曜日)の夜(18時~19時30分)のクラスで、1回の授業時間は90分です。4月から9月までの全43回で『まるごと中級1』の後半を学びます。

『まるごと中級1』にある日本語のタスクの中には、「好きな漫画、昔話、小説のストーリーをメモにまとめて長く話す」というものがあります。クラスのメンバーはみなさん一生懸命タスクに取り組み、自主的にミニ発表会も開いてくれました。カンボジアの昔話にはうさぎがよく登場するということや、ストーリーが日本の昔話に似ていることなど、おもしろい発見がありました。日本人とカンボジア人だけでなく、クラスメート同士のやりとりの中から、何かおもしろいことが発見できるような授業の工夫もどんどんしていきたいと思います。

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