世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) インドネシア西部ジャワ州における青年日本語教師の活動

西ジャワ州地域派遣
鈴木雅恵

授業の様子の写真
配属校SMUNI Lembang
(レンバン第1国立高校)での授業の様子

 インドネシアでは多くの高校で日本語が第2外国語として教えられています。現在の主な形態は高校3年生の選択必修科目や学校裁量で決定する追加科目、観光専門高校での旅行業務用の観光日本語などです。

 西ジャワ州の青年日本語教師(以下、青年教師)は現地の高校日本語教育支援として、学校訪問、配属校、高校日本語教師会、高校日本語教員研修、地域別小研修など様々な業務に携わっています。いずれも、現地高校教師と協力し、互いに学び会えるネットワーク整備や活動の自立化・現地化を目指しているものです。

学校訪問

 西ジャワ州には、日本語実施校が50~60校程度、日本語教師が80名近くいます。青年教師は、担当地域内にある日本語実施校を訪問して、各校の日本語教師の指導やコンサルティングを行います。西ジャワ州は日本の四国地方ぐらいの広さに当たりますが、交通網が整備されていないので、車で何時間もかけて移動することになります。

 訪問先の高校では教師指導の他に、生徒と日本語で話したり、日本について紹介したりもします。山奥の学校に行けば行くほど、「最初で最後に会う日本人」になってしまいますが、楽しそうに日本語を勉強している生徒達に会うと、こちらまで元気になる気がします。

配属校

 西ジャワ州全体が担当ですが、その中で2つの高校に配属され、週1回の勤務で教師指導にあたっています。その高校の日本語教師と1週間交代で授業見学・モデル授業実施を行い、1年間続けて指導します。配属当初と比べて、教え方がだんだん改善されたり、その効果が直接生徒に影響したりしている様子を見ると、とても嬉しく思います。

 また、配属校では直接生徒に教えることができるため、日本の文化や生活を紹介することもあります。生徒の知っている日本といえば漫画やアニメがほとんどなので、日本の季節や一般的な住宅、高校の様子などの話をとても興味深く感じるようです。

高校日本語教師会

日本文化祭でゆかたの着付の写真
高校日本語 日本文化祭でゆかたの着付

 インドネシアには各州の教育省で認可されている活動として高校教師会というものがあります。各教科ごとの活動なので、日本語にも高校日本語教師会(以下、教師会)があります。西ジャワ州の教師会は2か月に1度定期的に行われており、青年教師はそこでの講師を務めます。主に、教材分析や授業計画の立て方、教具使用法、テスト作成法、日本事情など日本語の授業についての基本的な内容を扱っています。

 この教師会の他に、追加科目や観光日本語を担当している教師用の勉強会も行っています。今は、勉強会で扱った内容を教師会で発表したり、教師会で学んだ理論を勉強会で実践してみたりするなど、西ジャワ州全体の教師会と小規模な勉強会が連動する形で行われています。

 また、この教師会は、年に1度、西ジャワ州全土の高校から参加者を募って、高校日本語・日本文化祭を行っています。習字やスピーチ、歌のコンテストなどがあり、折り紙や浴衣といった日本文化の紹介もされています。

高校日本語教員研修

 国際交流基金ジャカルタ日本語センターと国家教育省語学教員研修所の共催による高校日本語教員研修が1年に3回程度、各地域巡回型で行われています。高校教師にとっては数少ない研修の機会で、日本語力、教授力の向上を目指すものです。青年教師も担当地域の研修での講師を務めます。日本語を忘れかけている高校教師に日本語を教えるのは容易ではありませんが、担当地域の教師達と信頼関係を築ける貴重な機会でもあります。

西ジャワ州地域別小研修

 西ジャワ州では、3年生の選択必修科目クラスで教えている日本語教師を対象として、州内の各地域ごとに短期間で小規模な研修を行っています。西ジャワ州の教師会と国際交流基金ジャカルタ日本語センターとの共催で、地方教育局の後援を受けています。

 参加者は2日間の全体研修で講義や演習を通して授業の準備について学んだ後、引き続き各所属校で実際に準備した授業を行い、最後に反省や改善を一緒に考えます。現場に直結した形式の研修なので、高校教師達からも「教室で実際に何をすればいいのかわかった」と好評です。この研修で扱えることは決して多くはありませんが、少しずつでも、いい授業とは何かをつかんでくれればと思います。

 また、近隣の教師達が集まるため、各地域で教師間につながりができ、お互いに学び会おうという姿勢が生まれたことや、西ジャワ州の教師会との共催であったため、同行講師の育成にもつながったことが、この小研修を行ったことの効果としてあげられます。2001年度は西ジャワ州内で拠点となる5地域で各1回ずつ開催され、総参加校数20校、参加教師34名となりました。

 上記のような地域ごとの業務に加え、日本語教育指導者養成のための研修や日本語教材作成など共同で進められるプロジェクトもあります。他の地域の青年教師と実際に会える機会は少ないのですが、同じように高校での日本語教育を担当しているもの同士、情報や意見交換を大切にしながら業務を行っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
 西ジャワ州における青年日本語教師の派遣開始年は1997年。現在、西ジャワ州には、日本語実施校56校、日本語教師74名が存在する。青年教師は、配属校のレンバン第1、バンドン第10国立高校の3年生語学系日本語クラスで、インドネシア人日本語教師への技術移転を主眼に、日本語教育に関する指導を行う。また、日本語勉強会を兼ねた高校日本語教師会(MGMP)の活動に協力したり、車で何時間もかかる地方に行って地域別小研修を行うなど、ネットワークの構築、教師のレベルアップを支援する。また、月に多くて10回の学校訪問を行い、助言・指導すると同時に、生徒にネイティブと話す機会を与え、日本語学習に対する動機を高める。
ロ.派遣先機関名称 西ジャワ州
ハ.国際交流基金派遣者数 青年教師:1名

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