世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東ジャワ州における青年日本語教師の役割

東ジャワ州地域派遣
山口真帆子

東ジャワ州の概要と青年日本語教師の役割

配属校バトゥ国立第2高校での授業の写真
配属校バトゥ国立第2高校での授業

 東ジャワ州では80校近くの中等教育機関(高校)において日本語が第二外国語として教えられています。インドネシア国内で日本語教育が盛んで青年日本語教師(以下、青年教師)が派遣されている他の5地域と比べると、正課として日本語が教えられている高校の割合が9割と多いこと、そして、高校日本語教師のレベルが他の地域より全体的に高いこと(とはいえ平均日本語能力試験3級レベル)が特徴です。

 そんな中で東ジャワ州青年教師は、現地教師の指導もさることながら、当地域の高校日本語教師による活動を促す原動力として、また現地教師と他機関とのパイプラインとしての役割を意識しています。四国とほぼ同じ広さの州をたった1人で担当し、80校もの高校を訪問指導のために遁走するのは、疲労をこえ、爽快です。配属校勤務、学校訪問などの通常業務に加え、2年目からは、インドネシア教育文化省語学教員研修所と国際交流基金による「高校教員研修」などの様々な研修での講義、大学と共催の文化祭等、様々な業務を通して、「青年」という未熟さを反省しながらも、自分自身に挑戦しつづけている面白さを日々実感しています。

通常業務(配属校勤務、学校訪問)

 青年教師は2つの高校に配属され、各校週1回程度の勤務で、授業見学と模擬授業を1週間交代で行い、その高校の日本語教師を1年間続けて指導しています。

 そして、配属校の勤務日以外はその他の高校で訪問指導を行います。各高校の日本語教師の授業を見学した後、青年教師が模擬授業をした上で様々なアドバイスをします。知らない高校を平均3時間ほどかけて訪問し、その場で授業や指導を行うのは、それまでの授業の様子などがわからず、かなり苦労を伴いますが、「初めて見る日本人」に興奮している生徒の様子はそんな疲れも忘れさせてくれます。また、就職や進学といった具体的な動機を呼び起こすのが難しそうな山奥の学校で孤軍奮闘して授業を行っている日本語教師に出会うたび、ネットワークの重要性を実感します。

教師間ネットワーク形成(高校日本語教師会、地域別小研修、地域別勉強会)

配属校マラン国立第9高校での教師とのディスカッションの写真
配属校マラン国立第9高校での教師とのディスカッション

 インドネシアでは各州の教育省で認可されている活動として、同じ教科の教師が州内各地から定期的に集まり、情報交換や勉強会が行われています。日本語も同様に「高校日本語教師会」が存在し、1995年以降東ジャワ州でも3ヶ月に1回定期的に勉強会が開かれています。しかし、3ヶ月に1回ということ、そして、片道4時間以上かかる遠方からの日本語教師も多いため、全員が毎回参加できるわけではなく、青年教師による支援の波及効果は万全とはいえませんでした。

 そこで、2001年度から、東ジャワ州高校日本語教師会との共催で、東ジャワ州内の4地域で「地域別小研修」を行いました。高校日本語教師会などで活躍している優秀な高校教師と青年教師が協力して、講義、演習をした後、実際に全参加者の高校へ出向き、演習の実践として授業を見学しました。これにより、高校日本語教師会の活動が活発になり現地化を促せたことや、学校訪問指導や教師会ではカバーしきれなかった教師支援が効果的にできたことが、当研修の成果としてあげられるでしょう。

 さらに、この小研修で近隣の日本語教師が少人数のグループで共に学んだことより、「地域別勉強会」が発足し、地域内での教師間ネットワークも形成できました。

他機関とのネットワーク形成(高校日本文化祭、高校教育実習プログラム)

 高校日本語教師会が青年教師以外からも学ぶ機会を作るために、大学や研究会などとの連携はかかせません。今まで大学と高校との壁は厚かったですが、最近活発となった東部ジャワ州日本言語文化研究会が仲介役となり、高校日本文化祭に大学関係者が日本舞踊など文化面の催し物を携えて参加したことで、盛況な文化祭となりました。

 また、東ジャワ州の専門家を通して、スラバヤ国立大学(旧スラバヤ教育大学)の高校教育実習プログラムに青年教師がアドバイスする機会がありました。高校の日本語クラスの様子を知らないまま、1ヶ月間教育実習を手探りで行っていた実習生に対し、青年教師が現場の様子を伝えることで、教育実習の効果があがり、今後の高校日本語教師が育つことを願うばかりです。

今後の課題

 各ネットワークのさらなる強化のために随時出講するとともに、優秀な人材とともに研修などを運営することにより、各活動の現地化が図れると考えています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
 東ジャワ州での青年日本語教師の派遣開始年は1996年。現在、東ジャワ州には、日本語教授校82校(うち普通高校71校)、日本語教師73名(うち普通高校63名)が存在。青年教師は、配属校のバトゥ国立第2高校、マラン国立第9高校の3年生語学系日本語クラスで、インドネシア人日本語教師への技術移転を主眼に、日本語教育に関する指導を行う。また、高校日本語教師会(MGMP)の活動に協力したり、高校、地域別研修を行うなど、ネットワークの構築、教師のレベルアップを支援する。また、年に40校、月に平均5回の学校訪問を行い、助言・指導すると同時に、生徒にネイティブと話す機会を与え、日本語学習に対する動機を高める。
ロ.派遣先機関名称 東ジャワ州
ハ.国際交流基金派遣者数 青年教師:1名

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