世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東ジャワ州における青年教師の活動

東ジャワ州地域派遣
森本由佳子

配属校の先生・生徒との写真
配属校の先生・生徒と

インドネシア派遣青年教師の活動は多岐にわたっています。ここ東ジャワ州でも、配属校勤務、学校訪問、教師会支援、地域別勉強会出講などのさまざまな業務をとおして、現地教師の支援を行っています。日本語教育を実施している学校は約80校、教師数は約70名で、この範囲を青年教師が一人でカバーすることになります。

配属校勤務

青年教師は通常2つの高校に配属され、各校週1回ずつ1年間勤務します。インドネシア国家教育省と国際交流基金ジャカルタ日本語センターが共同で制作した『インドネシア普通高校日本語学習書』(3分冊+聴解テープ)を使って、現地教師と1週間交代で授業見学と授業実施をします。筆者の授業担当日には、補助教材の使い方や練習の方法など、現地教師が参考にして取り入れられるような授業をするよう心がけています。逆に、現地教師の授業を見学することによっていろいろなアイディアをもらうことも多々あります。授業の前後には毎回ディスカッションの時間を設け、現地教師と一緒に授業計画を立てたり、よりよい授業になるよう話し合ったりしています。

学校訪問

学校訪問のとき、生徒がキロロの「未来へ」を披露してくれた写真
学校訪問のとき、生徒がキロロの「未来へ」をひろうしてくれました。

配属校の勤務日でない日には東ジャワ州内の高校を訪問して、現地教師の指導にあたります。2002年度は、約80校のうち43校を訪問しました。インドネシアの高校では基本的にひとつの教科が2~3コマ(1コマ45分程度)連続しているので、学校訪問では授業の前半は現地教師が担当し、後半は青年教師がモデル授業をします。授業後は授業についてディスカッションしたりアドバイスしたりします。また、学校訪問は生徒にとってネイティブスピーカーと話すいい機会でもあります。授業の最後には、日本文化紹介や質疑応答のために時間をとることもあるのですが、生徒たちは習った日本語をなんとか使っていろいろな質問をしてくれます。どの学校でも日本人の訪問を歓迎してくれ、帰るときには「次はいつ来るの?」と聞かれることもしばしば。実際には、学校数が多いため1年ではすべて回りきることができず、また同じ学校を2度訪問することも難しいのですが・・・。

高校日本語教師会および地域別勉強会

インドネシア各州には教育省に認可された教科別の教師会があり、日本語の盛んな州には日本語教師会があります。3ヶ月に1度開催される「東ジャワ州高校日本語教師会」は会長を中心によくまとまっており、州内各地から毎回40~50名程度の参加者が集まります。青年教師は講義を担当したり、適宜助言をしたりして教師会活動を支援しています。

また東ジャワ州では、教師会とは別に、現在4つの地域で普通高校の教師を対象にした「地域別勉強会」があり、それ以外に「専門高校日本語教師勉強会」も行われています。各勉強会とも活動が軌道に乗ってきており、それぞれ1ヶ月~3ヶ月に1回、定期的に活動しています。筆者は各勉強会に講師やアドバイザーとして関わっていますが、現地教師も各回担当者を決めて日本文化について発表するなど、積極的に活動に取り組んでいます。勉強会は立ち上がってから1~2年程度ですが、地域のリーダーを中心に現地教師が自主的に運営していけるようサポートしていきたいと考えています。

大学等とのネットワーク

東ジャワ州の特色のひとつに、高校側と大学側との連携があるということがあげられるでしょう。東ジャワ州高校日本文化祭では、2002年度も、日本語コースのある大学やその他の日本語関係機関および派遣専門家やボランティア日本人教師からいろいろな形での協力を得ることができました。

また、2001年度から派遣専門家をとおして国立スラバヤ大学の日本語教育実習プログラムに青年教師が関わるようになりました。実習生が高校での実習を効果的に行えるよう事前に現場の様子を知ってもらうのが目的ですが、2002年度は教育実習担当教員向け勉強会を2回、教育実習生向け勉強会を1回開き、高校での日本語教育について説明しました。実習生向け勉強会では高校のインドネシア人教師にモデル授業を担当してもらいました。

今後も、大学や他機関とのこのような連携を継続させ、現地教師と日本人との交流の場も設けていきたいと思っています。

学校訪問や勉強会に行くのに片道2~3時間かかるのはふつうです。体力的精神的に疲れてしまうこともありますが、いつも明るく熱心な先生方や生徒たちに、「明日への活力」というものをわけてもらっているような気がします。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
東ジャワ州における青年日本語教師の派遣開始年は1996年。現在、東ジャワ州における日本語教育実施校は76校(うち普通高校65校)、日本語教師は74名(うち普通高校64名)である。青年教師は、1年に2つの配属校の3年生語学系日本語クラスで、インドネシア人日本語教師への技術移転を主眼に、日本語教育に関する指導を行う。また、高校日本語教師会(MGMP)の活動への協力や、勉強会や研修での出講などをとおして、ネットワークの構築、教師のレベルアップを支援する。また、月に平均6回程度、1年に約40校の学校訪問を行い、助言・指導すると同時に、生徒にネイティブと話す機会を与え、日本語学習に対する動機を高める。
ロ.派遣先機関名称 東ジャワ州
ハ.国際交流基金派遣者数 青年教師:1名

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