世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) バンドン日本語便り

インドネシア教育大学/西ジャワ州地域派遣
森西志保子

バンドン日本語教育事情

スピーチコンテストの写真
スピーチコンテスト

 バンドン市は標高が高く、木々の緑に屋根のオレンジ色がよく似合う、とてもきれいな街です。別名「学園都市」とも呼ばれるこの街には、有名なバンドン工科大学を始め、多くの教育機関が集まっており、日本語教育も、中等教育、高等教育を問わず、盛んに行われています。日本語専攻学科を持つ八つの大学の中には、インドネシアで最初に日本語教育を始めたパジャジャラン大学や、多くの日本語教師を送り出しているインドネシア教育大学などがあります。ちなみに、バンドンにおける2003年日本語能力試験の受験者は約1,800人で、インドネシアではジャカルタに次いで二番目となっています。

 他のアジアの国々同様、インドネシアでも、アニメ、漫画、J-POPなどのサブカルチャーへの関心から日本語に興味を持ち始める学生が多く、街には、インドネシア語に翻訳された日本の漫画が氾濫しています。ただ、日本語の教材や辞書・参考書などは、良質のものが少ないうえ、量的にもかなり不足しており、満足のいく学習環境には程遠い状況です。

地域派遣専門家の業務

 西ジャワ州の地域派遣専門家は、インドネシア教育大学が受け入れ機関となっています。大学では、会話や作文などの科目を担当したり、学科会議に出席したりしています。また、学科内の先生方を対象に、日本の社会現象を紹介しながら日本語力のアップも意図したミニ勉強会を開いています。学生や同僚の先生方とじかに触れ合うことができるのは、貴重な経験でもあり、また嬉しいことです。

 インドネシア教育大学は、将来高校で日本語を教えたいと思っている学生が多いのですが、ここ数年新規の採用がなく、日本語教師は安定した仕事になりえていません。資質ある学生の受け皿がない現状は、今後の日本語教育にも影響をあたえるものと思われます。

 地域における業務としては、日本語専攻学科のある大学を訪問したり、地域の先生方を対象にした勉強会を実施したりしています。勉強会は、日本語教育の質の向上とネットワークの強化を目的に、日本語教育学会西ジャワ支部への支援という形で、昨年の十月以来毎月実施しているものです。企画や実施の方法については、まだいろいろ試行錯誤を重ねているところですが、勉強会の活動そのものは、徐々に定着しつつあります。今年の三月には学会の支部総会が開かれ、今後の活動方針なども話し合われました。

第30回バンドン日本語日本文化祭

大正琴の演奏の写真
大正琴の演奏

 5月27日から29日の3日間、パジャジャラン大学で日本語日本文化祭が行われました。この文化祭はバンドンの日本語学科を有するすべての大学が参加する、今年で三十周年を迎える行事です。スピーチ、作文、習字、かな、漢字、聴解、ボーカル、クイズ、朗読と、多種多様なコンテストが実施されたほか、大正琴の演奏や盆踊りなども行われました。コンテストは、さながら大学対抗レースの観を呈しており、どのコンテストも学生の応援で盛り上がりました。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
当該日本語講座は1965年に創設された。インドネシアの高等教育機関の中では、バ ンドン市近郊にあるパジャジャラン大学(UNPAD) の日本語講座に次ぐ伝統のある大学である。高校の日本語教師養成を当講座の目標に掲げていることでも分かるように、西ジャワ州の高校の日本語教師の大半が当講座の出身者である。また、スラバヤ国立大学、マナド国立大学など、高等教育機関にも多くの人材を輩出しており、インドネシアにおける日本語教育の中心的・指導的存在の一つといえる。2001年度には、インドネシア初の日本語教育専攻課程が大学院に開設され、現在三十数名が在学中である。
ロ.派遣先機関名称 インドネシア教育大学
Universitas Pendidikan Indonesia (略称UPI)
ハ.所在地 Jl.Dr.Setiabudhi No.229 Bandung 40154 Jawa Barat Indonesia
ニ.国際交流基金派遣者数 現在 1名 (派遣開始以来、報告者で11人目である)
ホ.日本語講座の所属学部、
学科名称
言語芸術教育学部外国語教育学科日本語教育プログラム
Program Pendidikan Bahasa Jepang
Jursan Pendidikan Bahasa Asing
Fakultas Pendidikan Bahasa dan Seni
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1965年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 1979年
(ロ)コース種別
日本語教育専攻(S1)
(ハ)現地教授スタッフ
常勤14名 (内留学中 1名)
非常勤 1名
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   学生総数 231
男子 63 女子 168
日本留学中 3
(2) 学習の主な動機 「先進国日本」というイメージから、日本語を学び、将来に活かしたいと考えている者が多い。
(3) 卒業後の主な進路 一般企業・高校の日本語教師
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
在学中に2級に合格する者も数人いるが、平均すると2級と3級の間。
(5) 日本への留学人数 計3名(全員女子)

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