世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 青年日本語教師の活動 インドネシア 中部ジャワ州及びジョグジャカルタ特別州

中部ジャワ州地域派遣
田尻 由美子

中部ジャワでの日本語教育の現場写真

 中部ジャワにおける青年日本語教師(以下青年教師)の活動は、今から3年前、2001年から開始されました。これは現在いる6名の青年教師の配属地域としてはいちばん新しいもので、私は2代目となります。現在では普通高校42校、宗教高校4校、専門高校20校の合計66校の存在が明らかになっています。

 中部ジャワの面積はだいたい四国全域と同じくらい。私の住んでいるソロは中部ジャワのほぼ中央に位置しますが、そこからいちばん遠い高校までは、車で片道7時間ほどかかります。交通機関がほとんど整備されていないので車でなければ移動できませんし、その車でさえもアスファルトが穴だらけだったりするので、移動はかなり大変です。

 以下、主な活動別にここでの青年教師の活動をご紹介しましょう。

学校訪問

 上にも述べたように、私の配属地域では、現在のところ66校の高校で日本語教育が行われています。それらの学校を訪問し、先生方の教案をチェックしたり授業のやり方をアドバイスしたり、また授業に関係するいろいろな問題の相談に乗っています。研修や、大きな集まりの時などには出てこない問題点が出てくるのは、この時です。各校の先生方とじっくり話ができる機会はあまり多くありませんから、このような個別の学校訪問は非常に貴重な機会です。

 またこの学校訪問は、生徒達にネイティブと話す機会を与えるという意味もあります。中部ジャワではほとんどの高校で「外国人を見るのは初めて!!」という状態なので、学校中が大騒ぎになることもしばしばです。私が話すことを一生懸命に聞き、理解しようとし、そして楽しそうに日本語を使う生徒たちからは、いつもたくさんのエネルギーをもらいます。

配属校勤務

 中部ジャワ全域の高校を支援しながらも、特に重点的に教師指導にあたる高校として、専門高校1校、普通高校1校に配属校として週一回勤務します。他の学校には1年に1度か2度訪問するのがやっとですが、配属校には1年間毎週通うので、先生の成長も生徒の成長もずっと見守ることができます。

 また私が生徒に実際に授業するのもこの配属校ですから、授業を通して一教師として"インドネシアにあったやり方とは何か""インドネシアの生徒達が興味あることは何か"など、いろいろなことを考える材料も得ることができます。

高校日本語教師会

 日本語教師会には大きく分けて2つの重要な役割があります。それはネットワーク形成と勉強会的役割です。

 ネットワーク形成というのは、教師間のネットワークを作り、お互い何か困った時に相談できるようにしたり、教育省や基金からの伝達事項を伝えたりという情報伝達のための役割。中部ジャワと一言で言ってもとても広く、またインフラも整っていないところですから、ミーティングでの関係作りというのは非常に大切なのです。

 勉強会的役割というのは、教科書の使い方、授業の流れ、教具の作り方と使い方など教授法に関わるところと、それから先生方自身の日本語力アップのための場としての役割です。これらは、インストラクターと呼ばれるインドネシア人の先生方を中心としながら、青年教師がサポートする形で行われます。先生方自身が学ぶ機会は他にないので、先生方のレベルアップのために活用されます。

高校日本語教員研修

 国際交流基金ジャカルタ日本文化センターと国家教育省語学教員研修所の共催による高校日本語教員研修が1年に3回行われています。青年教師はこの研修に講師として出講します。

 中部ジャワでは2003年に普通高校の教師を対象とした基礎研修が行われました。約20名が参加し、2週間にわたり教授法や日本語について研修を受けました。この集中的な研修により、自身の日本語能力や授業の手法について大なり小なり進歩が見られました。この効果を定着させるために、青年教師はまた研修を受けた高校を一つひとつ巡回訪問していくのです。

中部ジャワでの今後の課題

 中部ジャワで今問題になっていることは、まず学校数が他地域に比べて多くなく、しかも点在しているために地域ごとの小研修や勉強会の実施が難しいということ。単発の学校訪問による指導では、やはり限界があります。

 それから、インストラクターの養成。インストラクターというのは、他の先生を指導できる立場の先生のことです。教育省が定めたインストラクター研修で優秀な成績を修めなければその資格を得ることはできません。現在、中部ジャワには正式なインストラクターはまだいないのです。また高校教師会発足からの歴史も浅いため、地域の先生方をまとめるリーダーも育っていないのが現状です。

 基金が最終的に目指す「現地の自立化」を目指す足がかりとして、地域をまとめることのできるリーダーの育成は重要な位置をしめるはずです。

青年教師のその他の活動

 青年教師は上で述べたような活動のほかに、専門高校の観光科や普通高校のための新カリキュラム準拠の教科書を教育省と共同で製作したり、配属地域での日本語教育機関実態調査を行ったりしています。その活動は多岐に渡り、また地域派遣ということで近くに同僚がいるわけではありません。困難なことも多いですが、ジャカルタセンターや他地域の青年教師と連絡を取り合い相談しながら日々業務に取り組んでいます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当する中部ジャワ全域の中等教育機関について、以下のような活動を行っています。
1.配属校において日本語教育に関する指導を行う。
2.派遣地域の現地教師に対する支援を行う。
(1) 高校日本語教師会の活動を支援する。
(2)派遣地域の高校を訪問し、指導を行う。
3.高校日本語教師研修に講師として参加し指導を行う。
4.高校用日本語教材の作成に協力する。
5.派遣地域の日本語教育に関する情報を収集し、センターに報告する。
ロ.派遣先機関名称 中部ジャワ全域(配属校はマグラン国立第2宗教高校)
ハ.所在地 Central Jawa
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家1名 青年日本語教師1名

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