世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ゆうべのひととき

スラバヤ国立大学/東ジャワ地域派遣
山門健二

日本語ラジオ放送開始

日本語放送のDJ(アグンさん)の写真
日本語放送のDJ(アグンさん)

 「Around the world to Japan 日本探検。文化、言葉、生活、あんなことからこんなことまで、日本を丸ごと探検しましょう!」

 軽快なキャッチフレーズとともに始まる日本語のラジオ放送が4月にスラバヤで始まった。JJFM (105.10MHz)というビジネスステーションの毎週木曜日、午後7時から8時までの1時間である。この日本語放送は、JASMIN(元ASBBJ;東部ジャワ日本言語文化研究会)とスラバヤ総領事館の協力で運営されることになっている。

 第二、第三、第四木曜日の「Around the world to Japan」は、JASMINによるインドネシア語を交えたプログラムである。その内容は、日本の今を伝える「日本何でもニュース」、日本人をゲストに迎えて文化や生活について触れる「季節の話題」、そして、J-Popを中心とする「音楽」等で構成されている。

 4月と5月には、花見、ゴールデンウィーク、日本語弁論大会、大阪弁等をテーマにしてトークがなされた。また、トークの間には、「お花見には子供も行くのですか。」「ゴールデンウィークは1年に何回あるのですか。」「弁論大会に優勝したときの気分は?」「大阪弁は怖いイメージがあるけど、なぜ?」など、聞いている人たちから電話やメールでたくさんの質問が寄せられる。そのほとんどが日本語を学んでいるインドネシア人からである。ゲストと進行役のドラさん、近藤さんが、時間が許す限りそれらに返答している。

 また、言葉や日本事情に関するクイズも出され、正解者はスタジオに招待される。例えば、「花より団子」の意味は、次の3つの内のどれでしょう。」とか「日本で、一番面積の小さい県はどこでしょう。」といったものである。

 一方、第一木曜日は、日本語だけを用いたトークショーである。ゲストは総領事館の呼びかけに応じた日本人である。第一回目は、5月に日本のJリーグのチームがスラバヤ近郊の町で地元のチームと試合をすることになっていたため、「サッカー」をテーマにしてトークが繰り広げられた。さすがに日本語だけの放送になると、いつもより電話やメールの数が少なくなる。しかし、いつも決まり切った日本人や教師としか話せない学習者や、日本人と話す機会の少ない学習者にとっては、ナチュラルスピードと、使用語彙にフィルターのかかっていない生の日本語に触れるよい機会となることだろう。特に、初級、中級レベルを終えた学習者にとって、この放送の持つ意義は大きいと思われる。

 報告者や青年日本語教師もすでに、それぞれゲストとして招かれ、生の日本語と日本情報を届ける役を引き受けたが、今後も、さまざまな角度からの協力が求められていくことになるであろう。

 また、スラバヤ総領事館では、Sonora FM (98.00MHZ)においても一般市民に向けて「Serba-Serbi Negeri Sakura サクラの国アレコレ」というインドネシア語でのラジオ番組を放送している。このプログラムは、毎週日曜日の午後4時から5時までの一時間で、日本に関する身近なトピックを紹介している。また、元日本留学生をゲストとして招き、インドネシア人の目を通した日本の姿や体験を紹介している。

碁ブーム?

碁で遊ぶスラバヤ国立大学の学生の写真
碁で遊ぶスラバヤ国立大学の学生

 スラバヤ国立大学で、今流行りつつあるのが「碁」である。火付け役は、日本人ボランティア日本語教師の一人であった。インドネシア人の学生たちは飲み込みが早く、いとも簡単にマスターしてしまったようである。休み時間や授業の空き時間になると、ベンチやソファに座って碁盤をにらみ合っている姿をよく見かけるようになった。最近では日本語プログラムの学生だけではなく、同じ校舎内のドイツ語の学生や他の校舎で学んでいる学生もわざわざ日本語プログラムのある校舎までやってきて碁に興じるようになってきた。日本の文化の一つが学内の交流の場にも変化を与えそうである。

 東ジャワにおいては、日本人ボランティア日本語教師の教育に及ぼす影響や貢献が著しい。それは、日本語教育のみではなく、このような文化活動においても顕著である。そのため、彼らとのネットワークをどのように築いていくかがこの地域の課題の一つでもある。現在は「教師向け勉強会」等が、現地教師及び日本人ボランティアとのコミュニケーションの場となっている。今後もこのような場を継続して設け、彼らをまとめていくことが派遣専門家の大切な業務の一つであると思われる。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
スラバヤ国立大学は、東ジャワ州において最初に日本語コースを設置した。日本語教師の養成を目的とし、日本語日本文化の学習に留まらず、教授法や具体的な授業の進め方を学び、2ヶ月間の教育実習でそれを実践する。東部ジャワ地域の中等教育レベルの日本語教師の殆どが当大学の卒業生。さらに大学レベルにおいても多くの卒業生が日本語教育に携わっており、この地域の日本語教育の普及と発展に大きな役割を果たしてきた。専門家は日本語講座での日本語教授、カリキュラム・教材作成に対する助言、現地教師の育成を行う。また、地域派遣専門家として、域内の日本語教育の底上げ、教師支援を行う。
ロ.派遣先機関名称 スラバヤ国立大学
National University of Surabaya
ハ.所在地 Lidah Wetan, Surabaya, Indonesia
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
言語芸術学部外国語外国文学科日本語プログラム
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1981年
(2)専門家・青年教師派遣開始年 1981年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤13名(うち邦人0名、留学中の者2名)、非常勤6名(うち邦人4名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年:92名、2年:50名、3年:48名、4年:38名
(2) 学習の主な動機 1)テレビからの情報(アニメやドラマ)で日本への興味
2) 日系企業就職
3) 奨学金や留学
(3) 卒業後の主な進路 大学・高等学校の日本語教師、総領事館、日系企業等
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級に合格できる学生は少ない
(5) 日本への留学人数 複数あり

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