世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東ジャワ州における青年教師の活動

東ジャワ州地域派遣
森本由佳子

配属校の先生・生徒との写真
配属校の先生・生徒と

インドネシア派遣青年教師の活動は多岐にわたっています。ここ東ジャワ州でも、配属校勤務、学校訪問、教師会支援、地域別勉強会出講などのさまざまな業務をとおして、現地教師の支援を行っています。日本語教育を実施している学校は約100校、教師数は約100名で、この範囲を青年教師が一人でカバーすることになります。2003年度は、ジャカルタ日本文化センターのさまざまなプログラムへの協力も行いました。

ジャカルタ日本文化センターのプログラムへの協力

(1)普通高校日本語教員研修

この研修は、ジャカルタセンターとインドネシア国家教育省語学教員研修所との共催で、1年に3回(各2週間)、3地域で行われています。筆者もこの研修に出講しました。また、東ジャワ州のリーダー的存在の現地教師も講師としていくつかの授業を担当しました。筆者と十分打ち合わせを行っていたこともあり、当日は講師としての役割を十分果たしていました。

(2)通信日本語教育

能力試験4級レベルに満たない教師が対象で、現地教師がチューターとして活躍しており、筆者はチューターの側面支援にまわっています。

(3)新カリキュラム準拠シラバス・教材作成会議

普通高校の新カリキュラムへの移行をうけ、2003年度から「新シラバス・教材作成プロジェクト」が5年計画で始まりました。青年教師の派遣されている地域で現地教師から成る地域委員とともにそれぞれ会議を行い、シラバスを作成しました。

配属校勤務

青年教師は通常2つの高校に配属され、各校週1回ずつ1年間勤務し、現地教師と1週間交代で授業見学と授業実施をします。筆者の授業担当日には、現地教師が参考にして取り入れられるような授業をするよう心がけています。逆に、現地教師の授業を見学することによっていろいろなアイディアをもらうことも多々あります。授業の前後には毎回ディスカッションの時間を設け、現地教師と一緒に授業計画を立てたり、よりよい授業になるよう話し合ったりしています。

学校訪問

学校訪問のとき、生徒がキロロの「未来へ」を披露してくれた写真
学校訪問のとき、生徒がキロロの「未来へ」をひろうしてくれました。

配属校の勤務日でない日には東ジャワ州内の高校を訪問して、現地教師の指導にあたります。2003年度は、約100校のうち46校を訪問しました。インドネシアの高校では基本的にひとつの教科が2~3コマ(1コマ45分程度)連続しているので、学校訪問では授業の前半は現地教師が担当し、後半は青年教師がモデル授業をします。授業後は授業についてディスカッションしたりアドバイスしたりします。また、学校訪問は生徒にとってネイティブスピーカーと話すいい機会でもあるので、できるだけ多くの学校を訪問したいと思っています。

高校日本語教師会および地域別勉強会

(1)高校日本語教師会(MGMP

インドネシア各州には教育省に認可された教科別の教師会があり、日本語の盛んな州には日本語教師会があります。3ヶ月に1度開催される「東ジャワ州MGMP」は会長を中心によくまとまっており、州内各地から毎回55名程度の参加者が集まります。青年教師は講義を担当したり、適宜助言をしたりして教師会活動を支援しています。2003年度は、「東部ジャワ日本クラブ婦人部」の方々との懇談会の時間を新たに設けました。ふだん筆者としか話す機会のない現地教師たちは、筆者以外の日本人との会話を楽しんでいます。

(2)地域別勉強会、専門高校日本語教師勉強会、2級対策勉強会

教師会とは別に、現在4つの地域で普通高校の教師を対象にした「地域別勉強会」があり、それ以外に「専門高校日本語教師勉強会」も行われています。各勉強会とも活動が軌道に乗ってきており、定期的に活動しています。筆者は各勉強会に講師やアドバイザーとして関わっています。勉強会は立ち上がってから1~4年程度ですが、地域のリーダーを中心に現地教師が自主的に運営していけるようサポートしていきたいと考えています。また、2003年度は「能力試験2級対策勉強会」も実施しました。

(3)地域別小研修

「小研修」では、ある地域の教師が集まって、教授法について2日間集中的に勉強します。今年度は2地域でしか行えませんでしたが、ふだん上記の勉強会に参加したことのない教師が多く含まれていたため、彼らにとっていい機会となりました。またその地域のリーダーを育成するという面からも効果がありました。

大学等とのネットワーク

2001年度から派遣専門家をとおして国立スラバヤ大学の日本語教育実習プログラムに青年教師が関わるようになりました。実習生が高校での実習を効果的に行えるよう事前に現場の様子を知ってもらうのが目的ですが、2002年度に引き続き、2003年度も大学教員向け情報交換会を行いました。昨年度、教員向け勉強会は筆者が一人で担当しましたが、今年度は現地教師にも協力してもらい、普通高校の新カリキュラムについて説明してもらいました。今後も、大学や他機関との連携を継続させていきたいと思っています。

学校訪問や勉強会に行くのに片道2~3時間かかるのはふつうです。体力的精神的に疲れてしまうこともありますが、先生たちが進歩していく様子、生徒たちが楽しそうに学んでいる様子を見ると、やはりうれしいものです。また、緑がいっぱいの景色を眺めながら学校訪問をするのは、ちょっとした小旅行という感じで、楽しんでいます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
東ジャワ州における青年日本語教師の派遣開始年は1996年。現在、東ジャワ州における日本語教育実施校(高校)は113校、高校日本語教師は106名である。青年教師は、1年に2つの配属高校の3年生語学系日本語クラスで、インドネシア人日本語教師への技術移転を主眼に、日本語教育に関する指導を行う。また、高校日本語教師会(MGMP)の活動への協力や、勉強会や研修での出講などをとおして、ネットワークの構築、教師のレベルアップを支援する。また、月に平均6回程度、1年に約40校の学校訪問を行い、助言・指導すると同時に、生徒にネイティブと話す機会を与え、日本語学習に対する動機を高める。
ロ.派遣先機関名称 東ジャワ州
ハ.国際交流基金派遣者数 青年教師:1名

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