世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) スラバヤの日本語教育

スラバヤ国立大学
小栗 潔

スラバヤ国立大学とは

 スラバヤはジャワ島の東の端に位置するインドネシア第2の都市です。私が勤務するスラバヤ国立大学(以下、「UNESA」)はそのスラバヤにある東部ジャワ地域で唯一日本語を専攻できる4年制国立大学です。前身が教育大学だったこともあり、東部ジャワ地域の中等教育機関で日本語を教える教師の多くがUNESAの出身者です。現在も約300名の学生がここで日本語を学んでいます。

UNESA

現地の日本人学校での写真
現地の日本人学校で

 私は2004年7月にUNESAに赴任しました。ここでの私の業務は多岐にわたっています。現在、コース唯一の日本人教員ということもあり、他の教員や学習者からの期待も大きく、それだけに責任も重いと言えるでしょう。

 日々の授業は勿論、インドネシア人教員の育成、コース整備(カリキュラム整備、教材作成等)へのサポート、各種行事(文化祭、弁論大会、日本人学校との交流等)の手伝いなどです。これらの業務の中で最も重要なものの一つが教員の育成です。その一環として、授業改善や教授技術向上の参考にしてもらうために、担当授業を同僚のインドネシア人教員に開放し、見学自由にしています。また、回数はまだまだ少ないですが授業見学などを通して同僚に適宜アドバイスを行うよう心がけています。これらのことは一朝一夕には成果は現れませんが、気長に続けていくことが大切なのではないでしょうか。

東部ジャワ地域で

勉強会のひとコマの写真
勉強会のひとコマ

 インドネシアに派遣されている専門家の場合、地域派遣専門家という側面もあります。派遣機関のある地域全体の高等教育機関での日本語教育のレベルアップと活性化という役割も担っているのです。私の場合はUNESAのあるスラバヤを中心とした東部ジャワ地域がその対象です。

 現在、地域業務の一環として高等教育機関の日本語教育関係者向けにスラバヤとマランの2ヶ所で月1回のペースで勉強会を開催しています。両地域とも教員は熱心で、スラバヤではほぼ毎回20名以上、マランでも10名以上の参加者があります。これまでに「絵カードの作り方」「テストについて」「現在の聴解指導とその問題点」「敬語から待遇表現へ」等といったテーマを取り上げてきました。私は勉強会を通して彼らが日本語教育について考えたり自身の日々の授業の改善に取り組んだりしてくれることを期待しています。

 この勉強会は当初意図していなかった効果ももたらしました。それまで日本人に依存しがちだったインドネシア人教員が、地域の勉強会を自分達でコーディネートすることで、地域の日本語教育にかかわる者だという自覚が芽生えてきたことです。今後この流れが自然な形でネットワークに育って行くようサポートしていきたいと考えています。

今後は

 配属機関のUNESAは講師が18名(常勤17名、非常勤1名、報告者を除く)と、大所帯です。スタッフの中には若くて経験の浅い者も少なからずいます。彼ら彼女らを育てることがこのコースの今後のあり方を左右する大きな課題だと言えます。

 東部ジャワは高等教育レベルのネットワーク形成が遅れているようです。小規模のまとまりは存在しますが、地域全体のネットワークの存在は見られません。しかし、前述したように一部には、自分の所属する機関の一員であると同時に地域の日本語教育にかかわる者という意識が生まれつつあります。これがネットワークへ、そして将来インドネシア人教員の手による日本語教育の確立、つまり自立化につながるようサポートしていく必要があります。

 以上の2つが今後私の果たすべき重要な役割だと考えます。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
1981年スラバヤ国立大学(以下、「UNESA」と略す)の前身スラバヤ教育大学に東部ジャワで初めて日本語プログラムが設けられた。1999年総合大学へ改組されたが、中等教育の日本語教員養成という設立時からの目標に変化はない。現在東部ジャワ地域の中等教育機関の日本語教師の多くが本学出身であり、また、同地域の高等教育機関の日本語教員にも本学出身者が相当数存在することを考えれば、当地域でUNESAが果たしてきた役割の大きさが理解できる。専門家の主たる業務は日本語教授、カリキュラム・教材整備へのアドバイス、教員養成がである。また、地域業務として、域内の高等教育機関へのサポートを行う。
ロ.派遣先機関名称 スラバヤ国立大学
National University of Surabaya
ハ.所在地 Lidah Wetan, Surabaya, Indonesia
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
言語芸術学部外国語外国文学科日本語プログラム
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1981年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1981年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤17名(うち邦人0名)、非常勤2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年82名、2年 72名、3年 73名、4年 45名
(2) 学習の主な動機 「日本文化への興味」、「日系企業への就職」、「日本語教師志望」等
(3) 卒業後の主な進路 中・高等教育の日本語教育機関、日系企業等
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験3級以上2級未満
(5) 日本への留学人数 これまでに多数

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