世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ジュニア専門家の活動 インドネシア中部ジャワ州およびジョグジャカルタ特別州(2006)

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター 地域派遣
ジュニア専門家 齊藤真美

 インドネシアの日本語教育支援のひとつとして、地域派遣の仕事があります。そのなかでジュニア専門家(以下JJLE)はインドネシアに6名、主に中等教育機関(いわゆる高校)の現地教師たちの支援をしています。各地域で特色はありますが、ここジャワ島のちょうど真ん中、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州ではJJLEの支援が導入されてやっと5年目。他の地域に比べて遅いスタートでしたが、年々日本語教育は盛んになっており、今では昨年に比べて約1.5倍の120校ほどが第2外国語として日本語を教えています。

 2つの州を合わせた面積はほぼ四国全域と同じくらい。その広い地域のいろいろなところで日本語が教えられています。あるときは車で6時間かけて学校を訪問します。日本人もいない田舎のその小さな町で日本語を勉強している学生がいることは、驚きとともに感動を与えてくれます。では、その具体的なJJLEの活動内容を項目に分けてご紹介します。

配属校勤務

 現在私が滞在しているのはジョグジャカルタ特別州です。ジャワ島の南に位置し、2006年5月末の震災で大きな被害を受けたところです。本来であれば世界遺産を有する歴史深い趣のある町として有名ですが、ジャワ島地震のほうですっかり有名になってしまいました。南側では学校も損壊が激しく、テントを校舎にして授業を行っているところもあります。しかし、幸いほとんどの高校ではなんとかその姿をとどめ、学生達の学び舎として存続しています。その中の二つの高校に1年間毎週通い、重点的に教師指導にあたります。JJLEの配属校になると、毎週授業内容を確認し、教案のチェック、モデル授業の提示、授業終了後のディスカッションなど、多くのアドバイスを受けることが出来ます。またJJLEは1年を通して先生と生徒達の成長を見守ることも出来ます。
また現在作成中の教科書を試用し、その内容を一緒に検討し、教科書完成に向けてその効果を配属校ではかることも大切な役目の一つです。

学校訪問

震災後の教室の写真
震災後の教室

 120校ほどある内の2校だけでの活動ではもちろんありません。配属校以外の学校は学校訪問という形で順番に回っています。そのため1年に1回または2回ほどしか学校へ行くことができません。しかしその中で、授業見学前から教案のチェックやその後の授業に関するアドバイスやそのほか教授法、授業に関する問題点など様々な相談に応じます。個々の先生方の問題点を含めて時にはすばらしいアイデアや提案をもらったりもします。また、学校長との話や学生とのふれあいはお互いの異文化交流の場としてとても貴重です。また教師会以外の場で、多くの先生方とゆっくり話をできる貴重な機会でもあります。

高校日本語教師会

勉強会の打合せの写真
勉強会の打合せ

 2つの州をあわせて四国ほどの大きさですが、その全域から先生方が集まってくる機会があります。年に3回行われる日本語教師会大会議です。そこでは様々な情報提供を始め、教科書の使い方、教授法ワークショップ、模擬授業など様々な活動が行われます。遠くは7,8時間かけてやってくる先生方のためにも、一日の内容にはいろいろな情報がつまっています。その準備のために開催地の先生方が集まり、何度も議論を重ね、会議の内容を検討します。先生方自身で必要だと感じるものを選び出し、考えていく力もつけていくことにもなります。JJLEはそれも手伝います。そして、そこからネットワークを広げ、情報を交換し、助け合いながら自分たちで問題解決を図る、いわゆる現地教師の自立化を支援することが大きな役目でもあります。また、先生方自身の日本語能力をアップするために地域別小会議では日本語指導も行っています。教える立場になると、日本語を「学ぶ」場は少なく、地域別の小会議も貴重な勉強の場になっています。

教材作成

 教科書作成も現在の大きなプロジェクトの一つです。インドネシア教育省が決めた新しいカリキュラムを検討し、同時に教材も検討しなければなりません。それに沿って作成された新しい教科書、普通高校用の教科書2冊(2種類)が現在試用中で、2007年度には完成する予定です。それにむけて学校での試用状況を確認し、現地の先生方と会議を繰り返し、検討を重ねています。インドネシアの先生と学生のための、現地型、地域密着型の教材です。

その他の活動

 日本語の学習を盛り上げる一つとして、各地で文化祭やひらがなコンテストや弁論大会などがあります。その企画や問題作成、審査などの手伝いもしています。大会で上位を取るとトロフィーがもらえたり、記念品、参加証明書などがもらえたり、学生にとっては大きな楽しみの一つです。

これからの課題

 日本語教育が各地域で発展していくために、国や州の教育省、各学校、校長、そして日本語教師会とがつながりを持ち、ネットワークを拡大、維持しながら現地の先生方がよりよく仕事をしていける環境を作っていくこと、自立化できるように支援していくことが大きな目標になります。そしてそのためにも中心となるリーダー教師の育成に現在力を入れています。良質な日本語教育の提供が、日本語学習者の発展を支えるのです。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当地域、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州における中等教育機関(高等学校)において
1.配属校における日本語教育・教授法指導
2.現地教師支援
a)高校日本語教師会活動支援、日本語教授法指導
b)担当地域の高校訪問、授業見学と教授法等の指導
3.高校日本語教師研修(インドネシア教育省主催)へ講師として参加、指導
4.高校用教材作成、支援
5.地域日本語教育事情の把握と情報収集、報告書の作成
ロ.派遣先機関名称 国際交流基金ジャカルタ日本文化センター 中部ジャワ州・ジョグジャカルタ特別州地域派遣
The Japan Foundation, Jakarta
(Central Jawa and Yogyakarta)
ハ.所在地 Central Jawa and Yogyakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ジュニア専門家:1名

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