世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東ジャワ州の日本語教育

スラバヤ国立大学
小栗 潔

1 東ジャワ州の日本語教育

 私が業務を行っているのはスラバヤを中心とする東ジャワ州という地域です。

 ここには日本語、日本文学など日本に関係した専攻をもった高等教育機関が6つあります。スラバヤに国立スラバヤ大学、ドクター・ストモ大学、1945年8月17日大学の3機関、近隣のマランにブラウィジャヤ大学、カンジュルハン大学、マラン外国語大学の3機関の計6機関です。スラバヤの機関は全て4年制のプログラムで、マランの機関は全て3年制のプログラムです。これらに加え来年度からスラバヤのアイルランガ大学で新たに4年制の日本研究コースが開設されることが決っています。選択科目として日本語教育を行っている大学も幾つかあります。そこでは専門が日本語や日本研究とは違っても日本に興味のある学生が日本語を学んでいます。また、日本語教育を行っているのは高等教育機関だけではありません。インドネシア‐日本教育・文化センター、JASMIN、国際相互活動センターといった文化交流団体や語学学校も日本語コースを開設しており、そこには様々な年齢層の人たちが通っています。

 このような多様な教育機関の間のネットワーク形成を促すのが私の主な業務の一つになっています。

2 東ジャワ州のネットワーク

学会支部セミナー風景の写真
学会支部セミナー風景

茶の湯のデモンストレーション(文化祭で)の写真
茶の湯のデモンストレーション(文化祭で)

 東ジャワ州にはインドネシア日本語教育学会東部ジャワ支部(以下「学会支部」)という日本語教育に関係するインドネシア人の団体があります。この団体は暫く活動を休止していましたが、2005年1月に活動を再開しました。私はこの学会支部の活動のサポートを通して、この地域のネットワーク形成の促進を支援しています。

 これまで東ジャワ州はインドネシアの他地域に比べて日本語教育関係者の繋がりが希薄だったようです。教育機関や教師間の情報交換や交流は行われていたようですが、限られたものでした。しかし、学会支部の活動再開を機に、少しずつですが地域のまとまりが出てきたように思えます。学会と派遣専門家が協力して、先生達の日本語能力の向上や教授技術のブラッシュアップを目的とした勉強会を定期的に開催しています。これは単なる勉強の場に留まらず、日頃あまり顔を会わすチャンスのない先生たちのための定期的な情報交換の場という役割も果たしているようです。

 また、昨年の11月には国際交流基金の支援を受けて学会支部により東ジャワ州では暫く行われていなかった日本語教育に関するセミナーが開催されました。当日は160名以上の来場者があり、何とか無事終了しました。勿論、色々と反省すべき点はありましたが、セミナーは今後も定期的に行っていく予定とのことなので、次回以降の宿題ということでしょう。しかし、セミナー成功はもちろんですが、その準備を通して様々な教育機関の先生達が1つの目標に向かって一致協力したことも貴重です。その他にも東ジャワ地域にある有志の教育機関による合同文化祭の開催などにも学会支部は深く関っています。

3 今後の展望

 いかがでしたか?このように学会支部の活動を通じて私はこの地域の日本語教育のネットワーク形成を支援しています。しかし、将来に亘って東ジャワの日本語教育を支え発展させていくのはここに暮らすインドネシアの人たちです。幸い、学会支部の活動再開でその第一歩は踏み出されたように思います。今後はこの団体がネットワークの核となって地域の日本語教育関係者の間により自立的な関係が形成され、それが東ジャワ州を越えて他地域の日本語教育関係者との繋がりに育っていくよう期待しています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
1981年スラバヤ国立大学(以下、「UNESA」)の前身スラバヤ教育大学に東部ジャワで初めて日本語プログラムが設けられた。1999年総合大学に改組されたが、中等教育の日本語教員養成という設立時からの目標に変化はない。現在東部ジャワ地域の中等教育機関の日本語教師の多くが本学出身であり、また、同地域の高等教育機関の日本語教員にも本学出身者が相当数存在することを考えれば、当地域でUNESAが果たしてきた役割の大きさが理解できる。専門家の主たる業務は日本語教授、カリキュラム・教材整備へのアドバイス、教員養成である。また、地域業務として、域内の高等教育機関へのサポートを行う。
ロ.派遣先機関名称 スラバヤ国立大学
National University of Surabaya
ハ.所在地 Lidah Wetan, Surabaya, Indonesia
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
言語芸術学部外国語外国文学科日本語プログラム
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1981年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1981年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤18名(うち邦人0名)、非常勤2名(うち邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年83名、2年 77名、3年 72名、4年 70名
(2) 学習の主な動機 「日本文化への興味」、「日系企業への就職」、「日本語教師志望」等
(3) 卒業後の主な進路 中・高等教育の日本語教育機関、日系企業等
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験3級以上2級未満
(5) 日本への留学人数 これまでに多数

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