世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 東ジャワ州の日本語教育 ~さらなる成長に向かって~

ジャカルタ日本文化センター(東ジャワ州)
栗原明美

東ジャワ州の現状と課題

 インドネシアでは、約6万人の高校生が第2外国語として日本語を学んでいます。その中でも、東ジャワ州は、日本語を教えている高校が最も多い地域で、その数は現在172校に上ります。2002年の82校と比べると、この4年で倍以上に増えています。毎年毎年、新任の日本語教師や日本語新規開設校が生まれているわけですが、各高校に日本語担当教諭はたいてい1名なので、日本語教育の環境を整えたり、教師がレベルアップしたりするためには、教師同士がお互いに助け合う必要があります。そのために、現在東ジャワ州では、教師ネットワークを利用しています。今後も教師同士で教授力の向上や情報交換ができるように、現在はネットワークの活性化を目標としています。

 また、インドネシアでは2004年に新カリキュラムが施行されました。それに伴い、教材、評価方法などが変わってくるので、それをいかに現場に浸透させるかも大きな課題です。これに関しても、教師会や勉強会で少しずつ取り組み、情報の共有ができるようにしていきたいと考えています。

 このように、私は、ネットワークの活性化と2004年カリキュラム移行に関する支援を東ジャワ州の課題と考え、業務に取り組んでいます。今回は、業務の中から、以下の3つについてご紹介したいと思います。

配属校勤務

配属校の生徒の写真
配属校の生徒

 2つの高校に週に1度ずつ通って、インドネシア人教師と交代で授業を行なっています。よりよい授業を行なうために、お互いの授業を見学しあい、授業後に話し合いを行なっています。始めは、「先生は日本人だから授業が上手」という声もありましたが、話し合いを続けていくうちに、わかりやすい授業や楽しい授業を行なうために、私がどのような工夫をしているかということがだんだん理解され、インドネシア人の先生たちの授業にも取り入れられるようになりました。1年の配属校勤務を通じ、お互い率直に意見を言い合うことで、先生たちには自分の授業に対する分析力や問題解決力がついたと思います。私も、先生たちの鋭い指摘に反省させられることもあり、お互いが同じ立場で学びあうということができたように思います。

 また、配属校の先生は、高校日本語教師会や地域勉強会でも活躍してくれています。そのような場で、この1年間で学んだことを東ジャワ州の他の先生たちにも還元してもらいたいと思います。

高校日本語教師会・地域勉強会

地域勉強会の写真
地域勉強会

 東ジャワ州高校日本語教師会は、約3ヶ月に1度開催されています。また、現在東ジャワ州には6つの地域勉強会と1つの専門高校勉強会があり、2ヶ月に1度から半年に1度程度の頻度で開催されています。教師会と勉強会は、すでにインドネシアの先生たちで自主的に運営がなされているものが多いので、私は先生方のリクエストに応え、出講を行なうという形で協力しています。模擬授業や授業のビデオを見てのディスカッション、教材分析などを行なうほかに、書道やゆかたの着付け、季節の行事などの日本事情の紹介も行なっています。インドネシアでは、第2外国語としての日本語教育なので、先生たちは効率的に日本語を教える方法だけでなく、いかに生徒に日本語に興味を持って勉強してもらうかということにも腐心しています。そのため、教師会や勉強会では、教授法や日本語能力向上だけでなく、日本事情や日本文化も扱って、より楽しい日本語の授業になるような方法をみんなで考えていきたいと思っています。

学校訪問

 普段先生たちとじっくり話す機会がなかなかないので、学校訪問を通して、授業を見学し、授業やその他抱えている問題を話し合うことを目的に行なっています。また、現在作成中の2004年カリキュラム準拠教材(試用版)の使用状況や問題点の把握も目的としています。こうして一人一人の先生とじっくり話し合う機会を持つことで、現場の先生たちが直面している問題が把握でき、そうすることで東ジャワ州の現状が浮かび上がってきます。それを、中央のジャカルタ日本文化センターで行なわれている教材作成プロジェクトや教師研修に反映させていくことこそが、地域に派遣されているジュニア専門家の大切な役割だと思っています。

今後

 東ジャワ州にジュニア専門家(青年日本語教師)が派遣されて10年になります。その間、地域ネットワークが作られ、優秀な教師が着々と育ってきているのを実感します。来年度は東ジャワ州独自での新人教師向け小研修や新教材勉強会も予定されていますので、そのような場を通じて、さらにたくさんの先生たちに活躍してもらいたいと思います。教師一人一人の成長が、東ジャワ州日本語教育の発展につながり、そして、生徒一人一人の幸せにつがなるよう、これからもどのような協力をすればよいか考え、実行していきたいと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
東ジャワ州におけるジュニア専門家の派遣開始年は1996年である。現在、東ジャワ州の高校では、172校で日本語が学ばれ(うち普通高校127校)、165名の教師が日本語を教えている(うち普通高校124名)。ジュニア専門家は、配属校勤務、高校日本語教師会・地域勉強会への協力、教材作成等の業務を通じて、インドネシア人日本語教師の日本語教授力及び日本語力向上を支援する。また、配属校勤務や学校訪問を通じて、生徒の日本語学習に関する動機付けを行なう。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-61, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名

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