世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 中等教育機関への日本語教育支援 ―インドネシア、北スラウェシ州―(2006)

北スラウェシ州地域派遣
吉田 好美

 インドネシアでは日本語が第2外国語として教えられており、普通高校と宗教高校では主に2、3年生の語学系クラスで、専門高校では観光サービス専攻科やホテル専攻科で教えられています。

 現在北スラウェシ州では、日本語が教えられている高校は約60校あり、日本語教師も60名ほどいます。同州ではここ数年で、日本語教師の公務員採用者が急速に増え、それに伴って、日本語教師数や日本語を教える高校が増えました。街を歩いていると高校生から「こんにちは」「お元気ですか」と、声をかけられることもしばしばあります。日本語を勉強する高校生が増えてきていることは、教師としてはうれしい限りです。

 それではここで、今年度の主なジュニア専門家(以下JJLE)の活動について、紹介しましょう。

配属校業務

配属校の写真
配属校

 今年度の配属校は、国立マナドモデル普通高校と国立トンバシアン第1普通高校でした。国立マナドモデル普通高校はマナドで唯一のイスラム教の宗教高校です。日本語を選択した生徒のほとんどが男子で、いつも元気すぎるぐらい元気に授業に参加していました。国立トンバシアン第1普通高校は、非常に規律正しい学校で、生徒たちは皆まじめで真剣に授業に取り組んでいました。

 今年度は先生たちへの指導だけでなく、新しい教科書の試用版を使っていたため、使ってみた感想や改善点についてもディスカッションしました。

高校日本語教師基礎研修

高校日本語教師基礎研修の写真
高校日本語教師基礎研修

 2005年11月に、インドネシア国家教育省語学教員研修所と国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの共催で、北スラウェシ州の日本語教師を対象とした高校日本語教師基礎研修が開催されました。同研修では日本語演習や日本語教授法などの授業を行いました。日本語演習では、高校生に教えるのに最低限必要な初級文法を復習し、文法知識を定着させました。また日本語教授法では、授業の流れや授業の組み立て方、活動のやり方などを、理論だけでなく普段の授業ですぐに役にたてられるような内容を習得することを目標としました。JJLEも講師として出講し、研修生の指導にあたりました。研修生の先生方は非常に熱心で、宿泊施設では夜遅くまで宿題をしたり、模擬授業の練習を行ったりしていました。

学校訪問

 今年度は主に、上述の高校日本語教師基礎研修のフォローアップ学校訪問を行ないました。研修で学んだことが、普段の授業で生かせているかを確認する目的で訪問したのですが、先生方は研修後で教授法の知識が身についていたため、授業そのものだけでなく、授業後の反省点や問題点を指摘する力も向上したように思いました。

 また今年はフィリピン国境近くのサンギル島にも訪問しました。このような離島部でも日本語を熱心に学習している高校生はたくさんおり、日本語教育が広範囲に広がっていることがわかります。

小研修

 2005年9月に北スラウェシで小研修が実施されました、新人日本語教師を対象に、北スラウェシのインストラクターが教授法についてレクチャーし、参加者は模擬授業を行ないました。JJLEは小研修後に参加者の学校訪問をして、フォローアップをしました。

日本語教師会

 北スラウェシの普通高校日本語教師会は毎月1回定期的に行なわれています。今年度は専門高校日本語教師会も2回行われました。専門高校の教科書が新しくなり、その新しい教科書を使った授業のやり方が知りたいという希望が、先生たちから出てきたからです。普通高校日本語教師会とは違って、少人数ですが、アットホームな雰囲気で行なわれました。

地域別教材作成会議

 今年度は12年生(高校3年生)用新教材の作成だけでなく、11年生用(高校2年生)の試用版の評価会議も行ないました。実際に試用版を授業で使ってみた先生たちが、試用版の問題点を指摘し、改善すべきポイントなど、よりよい教科書を作るための話し合いが行なわれました。

 今後JJLEとしては、北スラウェシの先生方の日本語力及び日本語教授力を底上げすること、インストラクターのレベルアップ、また新人日本語教師や日本語を開講したばかりの高校へのフォローなど、やるべきことがたくさんあります。北スラウェシの日本語教育がますます発展していくことを願って、これからも先生方への支援を続けていこうと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
北スラウェシ州に初めてジュニア専門家が派遣されたのは1997年。ジャカルタセンターから打ち出されている業務方針に従って、以下の業務を行う。(1)配属校(国立マナドモデル宗教高校と国立トンバシアン第1普通高校)において日本語教育に関する指導及び11年生用教科書の試用を行う。(2)高校日本語教師会に対して支援を行う。(3)地域の学校を訪問し、日本語教育に関する助言、指導を行う。(4)高校用日本語教材作成に協力し、地域別教材作成会議への支援を行う。(5)日本語教育機関調査(6)高校日本語教師研修に講師としての参加、指導を行う。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-61, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名

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