世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ジャカルタ日本文化センターの日本語教育支援(2007)

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター
登里民子・吉田裕子

 ジャカルタ日本文化センターには、日本語教育専門家2名とインドネシア人講師2名が勤務し、日本語教育支援業務に携わっています。センターの主な業務は、インドネシアの中等教育支援・ジャカルタを中心とする首都圏特別地区に対する支援・学習者に対する直接支援の3つに分かれています。

中等教育支援

 インドネシアの日本語学習者の約70%は高校生です。これは、日本語が高校の第2外国語の1つになっているためです。センターでは、インドネシア教育省や高校教師会と積極的に連携し、次の3つの業務を柱として支援を行っています。

カリキュラム・シラバス開発への協力

 高校の日本語科目の学習内容は、教育省のカリキュラムによって定められています。カリキュラムは10年に1回改訂され、現在は04年に策定されたカリキュラムが導入されています。センターは教育省からの依頼により、日本語カリキュラム及びシラバスの改訂作業に協力しています。

教材開発プロジェクト

完成した『にほんご1』の写真
完成した『にほんご1』

 センターでは、03年度から5ヵ年計画で、教育省との共同プロジェクトとして、普通・宗教高校用日本語教科書の開発を行ってきました。07年3月に11年生(高校2年生)用教科書『にほんご1』が完成しました。12年生(高校3年生)用教科書『にほんご2』と付属カセットテープも、7月までには完成し、インドネシアの新学期である7月から、全国の高校で使われる予定です。

高校教師研修

 センターでは、教育省が主催する教師研修に出講して、日本語および日本語教授法を中心に、現職教師の研修を行っています。1回の研修は2週間で、20人の教師が参加します。06年度には、最も基礎的な研修である「基礎研修」を3回、その上のレベルである「継続研修」を1回、また、将来的に教師研修を企画・運営していく教育省職員を対象とする研修を1回実施しました。

 その他に、06年度から5ヵ年計画で「インドネシア中等教育日本語教師研修」というプログラムを行っており、今年はその2年目にあたります。これは、5年で計100名の普通高校教師を国際交流基金日本語国際センター(埼玉県さいたま市)に招聘し、主に日本語能力の向上と日本文化の理解を目指す研修を行うというものです。

ジャボデタベック(首都圏特別地域)支援

 センターでは、ジャボデタベックの高等教育、主に大学教員向けに、さまざまな形での支援をおこなっています。中級以上のレベルを教えられる教師の育成を目指し、教師の日本語力向上に取り組んでいます。「中級日本語研修」は04年7月に始まり、06年5月にコース1からコース4(2級レベル)まで一通り修了しました。06年7月からは2期目を迎え、コース1から開講しています。大学教員、民間日本語教育機関の教員、高校教員など様々な立場の教師が集い、情報交換もしながら楽しく学習を進めています。
また、インドネシア日本語教育学会ジャボデタベック支部が開催する土曜勉強会・研究会などにも出講し、教員の日本語力・教授力の向上を計っています。
 そのほか、経験が浅い教師のために「初級日本語教授法研修」を開催したり、大学訪問を行うなど、地域に密接した支援を行っています。

学習者に対する直接支援

一般日本語講座の課題発表会の写真
一般日本語講座の課題発表会

 ジャボデタベックには多くの民間日本語学校や大学等の日本語コースがあり、また日系企業も多いことから、インドネシアの他地域に比べ日本語を勉強する環境に恵まれています。しかし、中級以上の日本語を学べる機関は非常に限られています。ジャカルタ日本文化センターでは、中・上級者対象の一般日本語講座を開講しています。中級1クラス、上級2クラスで学生数は約80名、一回90分の授業が週2回あります。中級はインドネシア人講師が2名で、上級1はインドネシア人と日本人講師、上級2は日本人講師が2名で担当しています。学習者は会社員、大学生、主婦、そして高校や民間日本語学校の日本語教師などです。各クラスの授業では、受身的な「勉強」ではなく、学んだことを積極的に使う場として授業に参加するよう指導しています。「理解・発信・交流」をモットーに、グループ発表やクラスでの意見交換などを積極的に取り入れています。どのクラスでも学習者同士が仲良く、そして熱心に課題に取り組み、グループ内でも日本語で話したり、ときには日本語で冗談が飛び交うような場面も見られるほどです。中級クラスでは、例年ほとんどが上級クラスへの進級を希望しています。

東南アジア日本語サミット

東南アジア日本語サミットの写真
東南アジア日本語サミット

 東南アジア諸国の日本語教育の連携強化と活性化を目的として、「東南アジア日本語サミット」と称するシンポジウムが、06年6月、インドネシア日本語教育学会との共催で、ASEAN発祥の地であるバンドンで開催されました。フィリピン・シンガポール・マレーシア・タイなどから日本語教育関係者が集まり、2日間にわたって活発な情報や意見交換が行われました。東南アジアの日本語教育関係者が一同に会するイベントは、今回が初めてだそうです。アジアアフリカ会議以降のASEANの発展同様、このシンポジウムが、東南アジアにおける日本語教育の連携と発展の歴史的な第一歩となるよう、願っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国際交流基金ジャカルタ日本文化センターは、インドネシア各地に派遣されている日本語教育専門家、ジュニア専門家、及びインドネシアの各機関と連携をとりながら、インドネシアの日本語教育支援をおこなっている。中等教育においては、国家教育省と協力し、カリキュラム・シラバスの開発、教材開発、教師研修会を実施している。高等教育、民間の日本語教育に対しては、教師研修やセミナーを実施する他、定期的に主要大学を訪問し、カリキュラム変更や教材分析のサポート他、コンサルティングを行っている。また、中・上級者向け一般日本語講座を運営している。 四半期に一度、ニューズレター『EGAO』を発行している。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lt.2-3, Jl. Jend. Sudirman Kav.61-62, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家2名

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