世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 西ジャワ州ジュニア専門家の業務(2007)

ジャカルタ日本文化センター(西ジャワ州地域派遣)
小原亜紀子

 「ドラえもん」はもちろん、「名探偵コナン」も「NARUTO」も大好き。宇多田ヒカルも浜崎あゆみも歌えます!…現在、多くの国でそうであるように、インドネシアで日本語を勉強している高校生や大学生には、そんな人が多いです。書店に行けば、日本の漫画のインドネシア語版がぎっしりと積まれていますし、テレビをつければ日本のアニメやドラマが放映されています。最近、日系企業のエアコンやお菓子のCMで日本語が使われているものがあり、それを見た子どもが意味もわからず日本語の歌を歌っていたりします。

 そんなインドネシアで少しでも日本語を楽しく勉強してもらいたいと、ジュニア専門家が各地の高校で日本語学習のサポートをしています。その業務内容を簡単に報告したいと思います。

西ジャワ州の概要

 現在西ジャワ州には、日本語教育を実施している高校がおよそ200校程度あり、それに携わる現地日本語教師は200名ほどいます。インドネシアの高校では、語学系クラスの必修第二外国語としての日本語、選択科目としての日本語などがありますが、現在、選択科目の日本語クラスが増加しています。

ジュニア専門家の業務

 ジュニア専門家の業務は多岐に渡りますが、ここでは、(1)配属校勤務、(2)地域の高校日本語教師会支援、(3)高校用日本語教材の作成について、簡単に説明します。

(1)配属校勤務

 1年に2校程度、担当する高校が決められます。そこで日本語を担当するインドネシア人の先生とペアを組んで、1週間に1回、1つのクラスで教えます。ペアといっても二人が同時に教えるのではなく、毎週交替でお互いの授業を観察し、授業後に改善案についてのディスカッションをしています。インドネシア人教師に対する教授力向上のためのサポートと、あまりネイティブと接する機会のない高校生の学習意欲の向上を目的としています。

 学生たちは、初めて日本人の授業を受けるということで、最初はおっかなびっくりで緊張しています。でも、徐々に慣れていくと、学生が例文に冗談を盛り込んだりして、雰囲気が明るくなっていきます。高校の語学クラスですから初級レベルの学習ですが、だからこそ、それを「楽しい」と思ってもらえるように、日々工夫を考えています。

(2)地域の高校日本語教師会支援

MGMP(高校日本語教師会)の写真
MGMP(高校日本語教師会)

日本語文化祭習字コンテスト優勝作品(右「学生」)の写真
日本語文化祭習字コンテスト優勝作品(右「学生」)

 高校で日本語を教える教師の教師会があり、それをMGMPと呼んでいます。年に4‐5回程度開催され、情報交換や日本語教授法・日本語学習の場となっています。この会にジュニア専門家も参加し、日本語の授業や日本文化の紹介をしています。

 この日本語教師会の活動として、インドネシア人教師に対して、地域での研修や勉強会を開いています。研修では教え方について、勉強会では日本語を主に扱っています。自分で日本語をブラッシュアップしようにも、インドネシアにはあまり良い日本語教材がありません。1か月に1回の勉強会でできることは限られますが、少しでも日本語に、日本人に接する機会を増やすことで、先生方の日本語に対するモチベーションを維持できればと考えています。

 ほかにも日本語教師会の行事として、1年に1回、高校生を対象とした「日本語文化祭」を行っています。習字コンテストやスピーチコンテストの部などがあります。習字では、「私よりも上手」と思うような人が優勝しました。どうしてそんなに上手なのか、どうやって練習しているのか、聞いてみたい気がします。

(3)高校用日本語教材の作成

 2003年度からインドネシア国家教育省中等教育局と国際交流基金ジャカルタ日本文化センターが協力して作成していた日本語の教科書が完成し、次の新学期(2007年7月)からインドネシア全国の高校で使用されます。現場の高校の先生も参加して、みんなで何回も話し合って作ってきたものです。それがやっと完成して使用できるというのは、ひとつ大きな仕事が終わったという感じがしています。

 この教材が少しでも浸透し、より効果的に使われるように、教師会などで使い方のアイディアを提示したり、模擬授業をしたりするのがこれからの仕事です。

今後の課題

 バンドゥン市で始めた勉強会が、バンドゥン県以外でも2箇所で開かれるようになりました。バンドゥン市が中心になりがちだった西ジャワにおいて、各地域で自主的な取り組みができていくのは嬉しいことです。大勢が参加する日本語教師会よりも、地域の勉強会のほうがよりニーズに合った内容を扱うことができるでしょう。これら3箇所については継続ができるよう、他の地域については勉強会が開かれるよう、働きかけを続けたいと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ジャカルタ日本文化センターを派遣先(帰属)として、インドネシア各地域の中等教育機関を対象とした配属校勤務、日本語教師会(MGMP)への参加、勉強会等の開催、その他関連行事のサポートを行う。現地日本語教師に対する教授法に関する技術移転、日本語能力の向上を目指すと同時に、日本語を学習する高校生に日本語ネイティブとの接触の機会を与えることも目的としている。2003年度から教材作成プログラムを遂行中であり、07年7月に完成版出版予定。6地域へ6名派遣(2007年5月現在)。西ジャワ州への派遣は1997年から。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-61, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名

ページトップへ戻る