世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ジュニア専門家の活動 インドネシア中部ジャワ州およびジョグジャカルタ特別州(2007)

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター 地域派遣
ジュニア専門家 齊藤真美

 親日国のひとつ、インドネシアでは中等教育機関(主に高校)での日本語教育が盛んです。その支援の一環として国際交流基金から地域へ日本語教育専門家が送られています。その中でジュニア専門家(以下JJLE)はインドネシアに5名、主に現地教師たちの支援をしています。各地域で特色はありますが、ここジャワ島の真ん中、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州ではJJLEの支援が導入されて7年目。年々日本語教育は盛んになっており、今では約160校で140名ほどのインドネシア人教師が第2外国語の科目として日本語を教えています。

 2つの州を合わせた面積はほぼ四国全域と同じくらい。その広い地域の様々なところで日本語が教えられています。8時間の距離を移動したり、宿泊しながら学校を訪問することもあります。街から遠く離れた、日本人もいない小さな町で日本語を勉強している学生がいることは、驚きとともに感動を与えてくれます。では、その具体的なJJLEの活動内容を項目に分けてご紹介します。

配属校勤務

 赴任してから2年間、私はジョグジャカルタ特別州に滞在していました。ジャワ島の南に位置し、2006年5月末の震災で大きな被害を受けたところですが、徐々に復興しつつあります。ジョグジャカルタの高校生は観光客として訪れた日本人と接する機会もあり、非常に熱心に勉強しています。任期3年目からは中部ジャワ州の州都スマラン市へ活動拠点を移します。こちらは日系企業がいくつか参入しており、日系企業での就職を目指して日本語を勉強している学生がたくさんいます。州をあげて国立高校でも日本語教育が多く導入されています。その中の二つの高校に1年間毎週通い、重点的に教師指導にあたり、毎週授業内容や教案のチェック、モデル授業の提示、授業終了後のディスカッションなどを行い、1年を通して先生と生徒達の成長を見守ることも出来ます。また昨年まで試用していた教科書が完成し、その内容を一緒に検討し、教科書の使いやすさ、効果を配属校ではかることも大切な役目の一つです。

学校訪問

 160校ほどある内の2校だけでの活動ではもちろんありません。配属校以外の学校は、リーダーになる先生に活躍してもらうために、学校訪問という形で順番に回っています。授業見学前から教案のチェックやその後の授業に関するアドバイスやそのほか教授法、授業に関する問題点など様々な相談に応じます。個々の先生方の問題点を含めて時にはすばらしいアイデアや提案をもらったりもします。また、学校長との話や学生とのふれあいはお互いの異文化交流の場としてとても貴重です。

高校日本語教師会

会議の様子の写真
会議の様子

 2つの州をあわせて四国ほどの大きさですが、その全域から先生方が集まってくる機会があります。年に4回行われる日本語教師会合同会議です。そこでは様々な情報提供を始め、教材の使い方、教授法ワークショップ、テスト作成方法論など普段の授業をよりよいものにするために様々な活動が行われます。遠くからやってくる先生方のためにも、情報が満載です。その準備のために開催地の先生方が集まり、何度も議論を重ね、会議の内容を検討します。先生方自身で必要なものを考え、選び出していく力もつきます。そして、そこからネットワークを広げ、情報を交換し、助け合いながら自分たちで問題解決を図る、いわゆる現地教師の自立化を支援することがJJLEの大きな役目でもあります。また、先生方自身の日本語能力向上のために地域別の勉強会では日本語指導も行っています。教える立場になると、日本語を「学ぶ」場は少ないので、日本語のブラッシュアップもしてもらいます。

高校日本語教員研修

新教材の写真
新教材

 教授法や日本語を学ぶ貴重な機会の一つに日本語教員研修があります。これは国際交流基金ジャカルタ日本文化センターと、インドネシア教育省語学教員研修所の共催で行われています。その研修にもJJLEは講師として出講します。そこでは2週間集中的に日本語をはじめ教授法、評価、教材教具について様々なことを学びます。研修を受けられる人数は限られているので、ここで学んだことは自分の地域に帰ってまだ研修を受けていない他の先生方に勉強会で伝えられます。またJJLEが研修効果や定着を確認するために、研修を受けた先生方の学校を一つ一つ、巡回訪問します。

その他の活動

 日本語の学習を盛り上げる一つとして、各地で文化祭やひらがなコンテストやスピーチコンテストなどがあります。その企画や問題作成、審査などの手伝いもしています。大会で上位を取るとトロフィーがもらえたり、記念品、参加証明書などがもらえたり、学生にとっては大きな楽しみの一つです。そのトロフィーは学校の玄関や校長室に飾られます。各学校を訪問し、飾られた多くのトロフィーをみると、いろいろな行事でがんばった学生達の笑顔が浮かんできます。また、学校訪問や、学生や先生方が集まる機会を利用して多くの情報を集め、日本語教育の実態調査も行っています。

これからの課題

 日本語教育が各地域で発展していくために、国や州の教育省、各学校、校長、そして日本語教師会とがつながりを持ち、ネットワークを維持、拡大しながら現地の先生方がよりよく仕事をしていける環境を作っていくこと、自立化できるように支援していくことが大きな目標になります。そしてそのためにも中心となるリーダー教師の育成に現在力を入れています。また、先生方にあらためて、日本文化や日本語というものをみてもらい、楽しみながらそれを学生に伝えていける環境を提供できればと思っています。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当地域、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州における中等教育機関(高等学校)において
1.配属校における日本語教育・教授法指導
2.現地教師支援
a)高校日本語教師会活動支援、日本語教授法指導
b)担当地域の高校訪問、授業見学と教授法等の指導
3.高校日本語教師研修(インドネシア教育省主催)へ講師として参加、指導
4.高校用教材作成、支援
5.地域日本語教育事情の把握と情報収集、報告書の作成
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas 1 Lt.2/3 Jl.Jend.Sudirman, Kav 61-62 Jakarta Selatan
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家1名

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