世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) ジャカルタ周辺地域におけるジュニア専門家の活動

ジャカルタ日本文化センター(ジャカルタおよび周辺地域)
平岩 桂子

 現在インドネシアには6つの地域にジュニア専門家が派遣されています。筆者はその1つ、ジャカルタとその周辺地域を担当し、現地の高校日本語教師に対する支援活動を行っています。

 日本人にとっては、インドネシアと言えばバリ島で、「ジャカルタってどんな町なんだろう」と思う方が多いかもしれません。バリ島はヒンドゥー教の島、癒しの島といった印象がありますが、実はインドネシアは国民の約9割がイスラム教徒で、ここジャカルタも例外ではなく、また、ひどい交通渋滞が名物という、バリ島とは全く違う雰囲気の町です。

 そんなジャカルタでの筆者の活動をご紹介したいと思います。

1.配属校業務と学校訪問

高校での授業の様子の写真
高校での授業の様子

 ジュニア専門家は毎年、いくつかの学校に配属され、週に1回ずつ勤務します。2006年度、筆者は2つの高校に配属され、現地の高校日本語教師と共に授業に入り、お互いの授業見学と授業前後のディスカッションを通して現地日本語教師の教授力向上を目指してきました。1年かけて、1人の先生とじっくり向き合って話し合いを続けるということは筆者自身にとっても、非常に勉強になることが多いです。

 ある配属校では、日本語を学んでいる学生が200名近くいます。高校生を見ていると、日本のアニメ、漫画、歌、ファッションに興味があるようで、最近はインターネットを通じて日本に関する様々な情報を得ています。少し前まではインドネシアで有名な日本の歌と言えば、なぜか五輪真弓の「心の友」でしたが、今の高校生はJ-POPと呼ばれる新しい日本の音楽が好きなようです。 

 配属校勤務とは別に、担当地域の学校訪問も行っています。主な目的は、日本語教師向けの研修に参加した教師のフォローアップですが、学生にとっては日本人と直に話すことができるめったにない機会です。「普段は着物を着ているのか」「木村拓也に会ったことがあるか」など、高校生から次から次へと出てくる質問に答えるのも楽しいものです。

2.教師会支援

 インドネシアには各教科毎の高校教師会が存在していて、日本語教師会もあります。ジャカルタ周辺地域の場合、普通高校の日本語教師会と専門高校の日本語教師会があります。どちらも基本的には月に1回開催され、様々な情報交換や教授法の勉強、日本語の勉強会などを行っています。ジュニア専門家はオブザーバーとして毎回参加しますが、依頼に応じて講師として参加することもあります。地域に約150名いる教師1人1人の教授力や日本語力を伸ばすためにも、この教師会ネットワークは欠かせません。

 それぞれの教師会主催で年に1回日本語を学ぶ高校生のための「日本文化祭」が開催されています。日本に関するクイズ大会や書道大会、弁論大会などが行われ、毎年非常に盛り上がっています。こうした活動も、高校生が日本語を学ぶ動機付けに一役買っています。

3.ジャカルタ日本文化センターへの協力

研修での模擬授業の写真
研修での模擬授業

 インドネシアでは様々な高校日本語教師向けの研修がありますが、ジャカルタ周辺地区配属のジュニア専門家の場合、こうした研修に出講する機会が多くあります。配属校や教師会支援などの通常業務は1人で動くことが多いのですが、こうした研修の場合、ジャカルタ日本文化センターの日本語講師や他のジュニア専門家と協力して1つの仕事をすることになります。

 また、2003年からインドネシア政府による5カ年計画で動いている中等教育向けの教材作成プロジェクトがあります。筆者は2004年からこのプロジェクトに関わっていますが、現地の高校日本語教師と一緒に会議を重ねて少しずつ形を作ってきたものが、完成するということは非常に感慨深いものがあります。このプロジェクトを通じて、教材作成に関わってきた地域の日本語教師も、力をつけてきています。

 以上、多岐に渡る地域活動の一部分を書いてきましたが、どれも地道な活動で、実際に教師の教授力や日本語力を伸ばすために、それが継続するためには、まだまだ時間がかかります。それでも、熱心に教師会に通ってくる先生達が、将来、地域のリーダーとして活躍してくれるといいなあと思いつつ、活動を続けている毎日です。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ジャカルタ周辺地区派遣のジュニア専門家は、地域の高校日本語教師の日本語教授力向上と日本語能力向上、また、地域内のネットワーク構築を支援するため、主に以下の業務を行う。(1)配属校業務を通じて、日本語教師の教授力向上を支援する。(2)高校日本語教師会の運営をサポートし、地域内で行われる小研修に出講する。(3)各種研修のフォローアップとして学校訪問を行う。(4)普通高校・宗教高校用教材作成に協力する。(5)高校日本語教師研修に講師として参加し、指導を行う。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation,Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-61, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家1名

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