世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 西ジャワ州ジュニア専門家の業務(2008)

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター(西ジャワ州地域派遣)
小原亜紀子

 インドネシア人の日本語の先生方が「今日の日はさようなら」を歌いながら、プレゼントを手渡し、握手をし、いっしょに写真を撮り…。その列が70名ほど続いたでしょうか。先日の高校日本語教師会での光景です。

 それは私にとって最後の教師会で、先生方がお別れ会をしてくれたのです。2005年に派遣されて以来、先生方からたくさんの思い出をいただきました。

 私がインドネシア西ジャワ地域担当のジュニア専門家として3年間関わってきた業務について、紹介したいと思います。

西ジャワ州の概要

 現在西ジャワ州には、日本語教育を実施している高校がおよそ200校程度あり、それに携わる現地日本語教師は200名ほどいます。インドネシアの高校では、語学系クラスの必修第二外国語としての日本語、選択科目としての日本語などがありますが、現在、選択科目の日本語クラスを開講している学校が多くなっています。

ジュニア専門家の業務

 ジュニア専門家の業務は多岐に渡りますが、ここでは、(1)配属校勤務、(2)地域の高校日本語教師会支援、 (3)高校選択クラス用日本語教材の作成について、簡単に説明します。

(1)配属校勤務

 1年に2校程度、担当する高校が決められます。そこで日本語を担当するインドネシア人の先生とペアを組んで、1週間に1回、1つのクラスで教えます。ペアといっても二人が同時に教えるのではなく、毎週交替でお互いの授業を観察し、授業後にディスカッションをしています。インドネシア人教師の教授力向上と、ネイティブの日本人と接する機会のない高校生の学習の動機付け目的としています。

 今年度は、一つの高校で3名の日本語担当の先生をパートナーとしました。教え方について同じようにディスカッションをしても、吸収の仕方が様々で、改めて、相手の個性や学習方法に合った指導をすることの難しさを感じました。

(2)地域の高校日本語教師会支援

MGMP(高校日本語教師会(書道の体験))の写真
MGMP(高校日本語教師会(書道の体験))

日本語文化祭(参加登録する学生たち)の写真
日本語文化祭(参加登録する学生たち)

 年に4‐5回程度開催され、情報交換や日本語教授法・日本語学習の場となっています。この会にジュニア専門家も参加し、日本語の授業や日本文化の紹介をしています。

 教師会の活動として、インドネシア人の先生方に対して、研修や勉強会を開いています。研修では日本語の教え方について、勉強会では日本語を主に扱っています。1か月に1度の勉強会ですし、皆さん仕事があるので、毎回出席できるとは限りません。1回の勉強会で得るものがあったと感じてもらえるように、テーマを考えなければなりません。

 ほかにも、1年に1回、高校生を対象とした「日本語文化祭」を行っています。習字コンテストやスピーチコンテストの部などがあります。このスピーチコンテストで優勝、準優勝した学生は、ジャカルタで行われる全国大会に参加することができます。今年、西ジャワ代表の学生が全国大会で優勝しました。去年は入賞者を出すことができなかった悔しさから、先生も学生も奮起したのでしょう。結果を聞いて大喜びする皆の笑顔が印象的でした。

(3)高校選択クラス用日本語教材の作成

 語学系教材に続いて、選択クラス用の日本語教材を作成しています。これは、選択クラスが増えていて、担当の先生方から、「語学系の教材では選択クラスの学生には難しい」「分量が多すぎる」といった声が多数聞かれたからです。

 そこで、語学系教材を基にして、そこから文型や語彙を選別し、語学系と選択系の両方で教えている先生に負担にならないような構成にしました。また、語学系と比較すると選択系の学生は学習動機が低いということから、楽しく日本語が学習できるように、国際交流基金が高校生の日本語学習者を対象に作成した『エリンが挑戦!日本語できます』の一部を、文化ページとして使用しました。日本の高校生の授業の様子や修学旅行、携帯電話のメールの書き方など、インドネシアの高校生が興味を持てるようなテーマを選んで、日本語を勉強しながら、日本文化について読んだり考えたりできるようにしました。

 今年の7月の新学期から試用を始めます。楽しく勉強して、もっと日本や日本語を好きになってもらえたらいいなあ、と思っています。

今後の課題

 西ジャワ地域のジュニア専門家派遣は今年で終了し、今後は専門家に業務を引き継ぐことになりました。西ジャワの先生方が、自分たちで教師会の運営や研修ができるようになったからというのが理由ですが、「もっと日本語が勉強したい」「まだ教え方に自信がない」といった声も先生方から聞かれます。少しでも多くの業務を専門家に継続してもらえるように話し合っていきたいと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
ジャカルタセンターを派遣先(帰属)として、インドネシア各地域の中等教育機関を対象とした配属校勤務、日本語教師会(MGMP)への参加、勉強会等の開催、その他関連行事のサポートを行う。現地日本語教師に対する教授法に関する技術移転、日本語能力の向上を目指すと同時に、日本語を学習する高校生に日本語ネイティブとの接触の機会を与えることも目的としている。5地域へ5名派遣(2008年5月現在)。西ジャワ州への派遣は1997年からで、2008年6月をもって派遣終了。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
ハ.所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-61, Jakarta
ニ.国際交流基金派遣者数 ジュニア専門家:1名

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