世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 1年目の業務で気づいたこと

国立スラバヤ大学
山下美紀

1.業務の内容とこれまでの活動

 これまで東ジャワ州には日本語教育専門家(以下、専門家)1名、ジュニア専門家1名が派遣されており、専門家は高等教育を、ジュニア専門家は中等教育を支援してきました。しかし2007年6月にジュニア専門家派遣が終了となり、専門家1名となりました。それに伴い、専門家業務はこれまでジュニア専門家の業務であった中等教育支援の一部も担うこととなりました。私の業務は大まかに以下の3点です。

  1. (1)派遣機関支援
  2. (2)東ジャワ州の高等教育支援
  3. (3)東ジャワ州の中等教育支援
(1)派遣機関支援:
担当授業のほかに主に他の先生からの日本語や日本事情等に関する質問に答えたり、試験問題作成などの相談にのったりしています。
(2)東ジャワ州の高等教育支援:
日本語や日本文学を主専攻とする大学はスラバヤ市、マラン市、ジョンバン市にあります。これらの地域で定期的に教師を対象に勉強会を行ったり、学校訪問をしたりしています。ベテランの先生もいれば、まだ経験の浅い先生もいるし、日本に留学したり何度も渡日経験のある先生もいれば、まだ日本に行ったことのない先生もいますが、どの先生にもとっても教えるときに難しいと感じる文法項目などを取り上げて一緒に問題点を考えたりしています。勉強会の他には、日本語教育学会の東ジャワ支部の活動も支援しています。最近は、支部の新しい活動として日本語能力試験に向けた教材を作成することになりました。まだ活動は始まったばかりですが、有志を募ったところ、予想以上に多くの先生がぜひやりたいと名乗りを上げてくれ、大変嬉しく思います。このような学会の活動は機関の枠を超えたネットワーク作りになるので、今後ともうまく軌道に乗るように先生方の声を聞きながら活動していきたいと思っています。
(3)東ジャワ州の中等教育支援:
これまでジュニア専門家が行っていたような学校訪問や授業はできませんが、教師会や地域での研修に参加して先生方が自分たちだけでいろいろな活動を行っていけるようアドバイスしています。日本語を教えている高校は、大学と違い州のあちこちに散在しているため、遠方の先生が教師会に参加することはとても大変です。それにも関わらず、片道4時間かけて来たり、前日から泊まりがけで教師会に参加する熱心な先生も多いです。ただ教師数が多いため、なかなか先生方の顔と名前を覚えることができないのが残念です。今後少しずつでも先生方の名前を覚えていこうと思います。高校の先生方は学生のために少しでもいい授業をしたいという気持ちが強い人が多く、その姿を見ると、私も自分にできることはないか、どうしたらもっと力になれるか、と自然に考えさせられ、逆に刺激を受けることも少なくありません。ジュニア専門家がいなくなったことで、先生方の中に不安もあるかと思いますが、これを機にジュニア専門家がいなくても自分たちだけで活動を運営できるという自信をもってもらえるように支援していきたいと思います。

2.今後の活動

 まだ着任して半年なので自分自身わかっていないこともまだまだありますが、これまで地域の先生方と一緒に仕事をしてきて感じたことは主に以下の二つの点です。

  1. (1)自立する潜在的な力はあるが、それを裏付ける自信がない
  2. (2)漠然と問題点は感じているが、どうしていいかわからない

 先生方は皆多忙なので、改善したいと感じていてもそれについてきちんと考えたり、腰を据えて取り組んだりする時間や機会がないように思います。今後は先生方のそのような状況を考慮しつつ、少しでも自信をつけてもらえるようサポートしていきたいと思います。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
1981年スラバヤ国立大学(以下、「UNESA」)の前身スラバヤ教育大学に東部ジャワで初めて日本語プログラムが設けられた。1999年に総合大学へ改組したことから中等教育の日本語教員養成という設立時の目標に多少の変化が見られる。しかし、東部ジャワ地域の中等教育機関の日本語教師の多くが本学出身であり、また、相対的に以前より少なくなったものの、高等教育機関の日本語教員も本学出身者が多数を占めることを考えれば、当大学の果たす役割は以前と大きく変わらないと言ってよいだろう。日本語教育専門家の業務は日本語教授、カリキュラムへのアドバイス、教員養成である。また、地域業務として、域内の中等・高等教育機関へのサポートを行う。
ロ.派遣先機関名称 国立スラバヤ大学
The State University of Surabaya
ハ.所在地 Lidah Wetan, Surabaya, Indonesia
ニ.国際交流基金派遣者数 日本語教育専門家:1名
ホ.日本語講座の所属学部、
  学科名称
言語芸術学部外国語外国文学科日本語プログラム
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1981年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1981年
(ロ)コース種別
主専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤15名(うち邦人0名、3名留学中)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年~4年 各学年とも70~80名程度
(2) 学習の主な動機 「日本文化への興味」、「日系企業への就職」、「日本語教師志望」等
(3) 卒業後の主な進路 一般企業(日系企業を含む)、中等教育の日本語教育機関
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力レベル:3級以上2級未満
(5) 日本への留学人数 多数(主に文部科学省日研生)

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