世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 専門家の活動 インドネシア中部ジャワ州およびジョグジャカルタ特別州

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター(中部ジャワ州地域中等教育機関)
岩田 敏和

 私がインドネシアに来て早いものでもう2年が過ぎようとしています。1年目は組織(教師会)の結びつきを強めることに主眼を置いてきましたが、それがある程度成し遂げられてきた2年目は、長期的視点に基づいた計画とその始動が大きな目標となってきました。今日はそんな中から現在進行中の4つのプロジェクトについてお話しようと思います。

IT研修プロジェクト

 最近、特に私の活動地域である中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州では、現地の先生方が学校(校長)から、授業にIT技術を取り入れることを求められることが多くなってきました。パワーポイント(以下PPTと記述)を使って授業をするということが主なのですが、実はPPTを使って有効な授業をするというのは意外と難しく、黒板と絵カードを使って授業をする方がよっぽどやりやすいということが少なくありません。ただ、それを学校から求められる以上、先生方も無視するわけにはいかず、あちこちで混乱がおきていました。そこで教師会によって日本語入力の仕方から始まり、PPTを使った有効な授業の仕方までをカバーする研修を企画してきました。ある程度形ができてきており、9月ごろには実施が可能になりそうです。

問題集作成プロジェクト

教材作りの写真
教材作り

 昨年から新教科書が使われ始めましたが、実はこの教科書に沿った問題集はまだありません。また、インドネシアでは生徒が教科書を持っていないことも多く、安価で提供できる問題集を作ることは予習復習に役立つだけでなく、教科書を持っていない学生にとって教科書を持つことと同じぐらいの意味を持ちます。現在、教師会の有志が集まり、この問題集を作成しています。試用版はほぼ完成しており、これから徐々に修正作業に入っていくと思われます。

 またインドネシアでは、こういった問題集は日本語以外の科目では既に揃っており、その販売ルートというのも確立されています。それにならって日本語の問題集も販売することにより、そこから生じる利益を教師会の運営資金とすることができます。いつも活動費に頭を悩まされる教師会ですが、これで少しは運営が楽になるかもしれません。

第二外国語合同教師会の設立

教師会の風景の写真
教師会の風景

 インドネシアの高校では第二外国語として日本語の他にアラビア語、ドイツ語、フランス語、中国語が教えられています(これら全てを勉強するわけではなく学校の裁量等により1~2言語が選択されます)。ところで、これら第二外国語はあくまでも選択科目であり、英語や数学などと比べると、教師会の規模も蓄積されてきた経験もわずかです。そのため、認知度もまだまだ低く、州政府からのサポートも余り受けられないというのが現状です。そこで、現在日本語以外の第二外国語科目の教師会とも手を組み、第二外国語合同教師会の設立を企画しています。同じ外国語科目として共有できる知識、技術を共有する他、語学オリンピック等のイベントの開催などを通じて内外にPRし、今以上に活動の裾野を広げていくのが目的です。現在各科目の代表者が集い、組織設立へ向けて調整が始まりました。

その他の活動

 その他にも昨年までと同様に配属校業務、研修、弁論大会等日本語/文化に関する様々なイベント、個別相談等様々な業務があります。また、最近では大学生による学生会と教師会が手を組み、地元の中高生に向けて日本文化を伝えるワークショップを開催するなど、新たなネットワークと可能性が開けてきました。これからはこれらひとつひとつの活動の「質」をより高め、途中で諦めることなく、根気強く各プロジェクトを進めていくことが課題になってくると思われます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
担当地域、中部ジャワ州とジョグジャカルタ特別州における中等教育機関(高等学校)において
 配属校における日本語教育・教授法指導
 現地教師支援
   高校日本語教師会活動支援、日本語教授法指導
   担当地域の高校訪問、授業見学と教授法等の指導
 高校日本語教師研修(インドネシア教育省主催)へ講師として参加、指導
 高校用教材作成、支援
 地域日本語教育事情の把握と情報収集、報告書の作成
所在地 Lantai 2-3, Summitmas I, Jl.Jend.Sudirman Kav. 61-62, Jakarta 12190, Indonesia
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 2001年

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