世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 国立スラバヤ大学/東ジャワ州地域派遣 任期を終えて(2010)

国立スラバヤ大学/東ジャワ州地域
山下 美紀

1.業務の内容とこれまでの活動

 2007年7月に当地に派遣され、早いものでまもなく任期が終了します。これまで行ってきた私の業務は大まかに以下の3点です。

  1. (1)派遣機関支援
  2. (2)東ジャワ州の高等教育支援
  3. (3)東ジャワ州の中等教育支援
(1)派遣機関支援:
担当授業のほかに主に他の先生からの日本語や日本事情等に関する質問に答えたり、試験問題作成などの相談にのったりしました。その他、必要に応じて学生の卒業論文資料のチェックもしています。
(2)東ジャワ州の高等教育支援:
日本語や日本文学を主専攻とする大学はスラバヤ市、マラン市、ジョンバン市にあります。これらの地域で定期的に教師を対象に勉強会を行ったり、学校訪問をしたりしました。勉強会ではどの先生にとっても教えるときに難しいと感じる文法項目などを取り上げて一緒に問題点を考えたり、授業の進め方の例を提示したりしました。勉強会の他には、インドネシア日本語教育学会東ジャワ支部の活動支援もしました。学会の主な活動は支部セミナー、先述の勉強会があります。他に約2年前に始めた中級レベルの表現文型の解説書の作成があり、インドネシア人の有志の先生たちと一緒に1か月に1~2度集まって作業をしています。あと少しで内容の検討作業が終わるところです。この教材を使って、インドネシアの学習者が独学でも中級レベルの日本語が学べるようになり、また、先生も日本人の助けなしに中級が教えられるようになってくれたらいいと思っています。
(3)東ジャワ州の中等教育支援:
東ジャワ州には現在普通高校教師会、職業高校教師会があり、それぞれ約3か月に1度教師会が開かれています。教師会では教授経験の長い教師によるシラバスや授業計画、授業例などの提示、また、研修参加者による報告やモデル授業などがテーマとして取り上げられ、日々の授業に役立つような活動が行われています。その他に日本語上級専門家からも日本語を使った活動の紹介などをすることもあります。近年、普通高校も職業高校も日本語を教える学校が増え、それに伴い若い教師も増えています。しかし、教育省が行う研修の回数は少なく、その上、各地域から参加できるのはほんの数名のため、なかなかチャンスが回ってきません。そのため、地域で小規模の研修を開いたり、地域ごとの勉強会で知識や経験をシェアし合っています。高校の先生方は学生のために少しでもいい授業をしたいという気持ちが強い人が多く、私も初心を思い出し反省したり刺激を受けたりすることも少なくありません。

2.3年間の活動を通して感じたこと

スラバヤ勉強会の写真
スラバヤ勉強会

 これまで地域の先生方と一緒に仕事をしてきて感じたことは主に以下の二つの点です。

  1. (1)自立する潜在的な力はあるが、自信と力を発揮する場所がない
  2. (2)問題点は感じているが、どうしていいかわからない

 この数年インドネシアでは修士課程、博士課程に進学する大学教員が増加し、どの大学も人員不足に悩まされています。そのため、目の前の業務に追われて、問題の解決が先延ばしになってしまう(そうせざるを得ない)のが実情です。その中でできることを見つけていくのがこれからの課題と言えるのではないでしょうか。しかし、一方で中等教育、高等教育とも地域で中心になって活動を行える力のある教師が出てきつつあるので、その人たちの意欲と潜在能力を高められるようなサポートの継続も望まれます。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称 国立スラバヤ大学
The State University of Surabaya
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
1981年国立スラバヤ大学(以下、「UNESA」)の前身スラバヤ教育大学に東部ジャワで初めて日本語プログラムが設けられた。1999年に総合大学へ改組したことから中等教育の日本語教員養成という設立時の目標に多少の変化が見られる。しかし、東部ジャワ地域の中等教育機関の日本語教師の多くが本学出身であり、また、相対的に以前より少なくなったものの、高等教育機関の日本語教員も本学出身者が多数を占めることを考えれば、当大学の果たる役割は以前と大きく変わらないと言ってよいだろう。日本語上級専門家の業務は日本語教授、カリキュラムへのアドバイス、教員養成である。また、地域業務として、域内の高等教育機関へのサポートを行う。
所在地 Lidah Wetan, Surabaya, Indonesia
国際交流基金からの派遣者数 上級専門家:1名
日本語講座の所属学部、
学科名称
言語芸術学部外国語外国文学科日本語プログラム
日本語講座の概要
沿革
講座(業務)開始年   1981年
国際交流基金からの派遣開始年 1981年
コース種別
主専攻
現地教授スタッフ
常勤16名(うち邦人0名、3名留学中)
学生の履修状況
履修者の内訳   1年~4年 各学年とも80名程度
学習の主な動機 「日本文化への興味」、「日系企業への就職」、「日本語教師志望」等
卒業後の主な進路 一般企業(日系企業を含む)、中等教育の日本語教育機関
卒業時の平均的な
日本語能力レベル
3級以上2級未満
日本への留学人数 多数(主に文部科学省日研生)

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