世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 自立化に向けて ―北スラウェシ州―

国際交流基金ジャカルタ日本文化センター(北スラウェシ州中等教育機関)
工藤 聖子

MGMPで書道体験の写真
MGMPで書道体験

 大変広いインドネシアの中で、北スラウェシ州は距離的には日本に一番近く、アルファベットの”K“のような形をしている島です。その首都マナドは”K”の北の先っぽに位置しています。他州に比べると日本人も少ないですが、80校あまりの高校で日本語が教えられ、インドネシア人教師も約100名にまで増えました。

 専門家として、彼らインドネシア人教師をサポートするため、配属校業務、教師会・勉強会支援、学校訪問、高校日本語教師研修への出講、教材作成、情報法収集など、多岐にわたる業務を行っています。しかし、今年度はマナドへの専門家派遣が最後の年になるので、特に教師会自立に向けての支援に特に力を注いできました。

 また、4年ぶりにマナドで高校日本語教師研修が行われ、2週間にわたる研修を無事終了させることができました。今回は教師会支援と、マナド高校日本語教師研修を中心に業務の紹介をしたいと思います。

教師会支援

 北スラウェシ州では1カ月に一回、日本語教師が同州各地から集まり、教師会が行われています。活動内容は、模擬授業と模擬授業後のディスカッション、スピーチが主な内容でした。しかし、今年度は今以上に魅力ある内容にし、教師会を活性化したいという先生たちの思いから、模擬授業やスピーチだけではなく、シラバスの作り方や、テスト問題の分析・作成、応用練習の効果的なやり方、クラスコントロールについてのディスカッションなど、先生たちが具体的に勉強したいという内容をもとに、活動内容を決めました。これらの活動は、専門家主導ではなく、専門家はアドバイスをするにとどめ、インドネシア人教師の担当者を決め、責任を持って行ってもらうようにしています。一つの活動を行うために、何度も会議を行い、準備をし、活動が成功するという流れを体験し、先生たちの自立化への自信が深まっています。

 また、今年は5年ぶりに小研修を行い、今年教師になったばかりの若い公務員の先生を対象に、二日間にわたって、インドネシア人インストラクターによる授業の流れの講義・研修生による模擬授業を行い、参加した研修生たちからは「大変勉強になった、またぜひ参加したい」と高い評価を得ることにより、教師会の活性化につなげることができています。

 また、日本文化への理解を深めるために、書道体験や、盆踊り、日本語の歌などの活動も行いました。先生たちは、自分が教えている高校生たちに早速教え、高校生たちのモチベーションも上がっているようです。

マナド高校日本語教師研修

マナド教師基礎研修の様子の写真
マナド教師基礎研修の様子

 高校日本語教師研修は、国際交流基金ジャカルタ日本文化センターと、インドネシア教育省語学教員研修所と共催で行われています。この研修が12月にマナドで行われました。 北スラウェシ州からの教師18名と、カリマンタンからの教師2名の20名が参加し、研修生は研修所に泊まりこみ、日本語演習を1週間、教授法演習が1週間の計2週間行われました。この研修に、インストラクターとして北スラウェシ州教師会からも先生たちが出講します。インストラクターとしての業務が行えるよう、サポートすることも私の仕事の一つです。準備段階から、日本語演習のための教材の作成、インストラクターの育成・サポート、講義への出講、また、研修後、研修効果や定着を確認するために、研修を受けた先生方の学校への巡回訪問などの業務を行いました。

 この研修では、研修生の日本語能力、日本語教授力の向上だけではなく、インストラクターとして出講した教師たちのモチベーション向上の効果があり、前述の小研修開催につなげることができました。

今後の課題

 北スラウェシ州への専門家派遣は2010年6月で終了します。自立化が進んだ、というのが理由ですが、まだ教え方に自信がない、もっと日本語を勉強したいという声もあり、また、今後も新しい先生が増えることも予想されます。今後は、教師会が若い教師のサポートをし、全ての活動を自分たちで行わなければなりません。残りの任期はわずかではありますが、真の自立化のため、自分たちで問題点を見つけ、解決していくことで、さらに教師会の活性化・自立化を目指すために、一人でも多くの先生たちと話し合いを行い、活動の場を作っていきたいと考えています。また日本人や、専門家の知恵を借りたい場合もあると思われます。地域の日本人会や、ジャカルタ日本文化センターへの協力を仰ぎ、円滑に進めていくことができるようサポートしていきたいと考えています。

派遣先機関の情報
派遣先機関名称
The Japan Foundation, Jakarta
派遣先機関の位置付け
及び業務内容
JFジャカルタ日本文化センターの業務方針に従い、主に以下の業務を行う。 北スラウェシ州において
 配属校での日本語教育に関する指導
 派遣地域の現地教師に対する支援
  高校日本語教師会活動支援、日本語教授法指導
  担当地域の高校訪問、授業見学と教授法等の指導
 高校日本語教師研修の実施協力
 高校日本語教材の作成
 派遣地域の日本語教育に関する情報を収集、報告書作成
所在地 Summitmas I, Lantai2-3, Jl. Jend Sudirman Kav.61-62, Jakarta
国際交流基金からの派遣者数 専門家:1名
国際交流基金からの派遣開始年 1997年

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